治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

無から有を生み出す(盛岡こねこプロジェクトご報告) その2

2019-06-11 09:23:14 | 日記
みるさんと待ち合わせして、タクシーで会場に向かいます。
みるさんは会場に電話して、会場借りてあるのは13時からなんだけど、いつから入れますかと質問していました。早く入れてもらえるのならその分設営が楽。
でもああいう会場、わりとぎりぎりまで鍵をくれないのが普通です。
そこは10分前に渡してくれるということでした。
そういう交渉がきちんとできるのがすごいなと思いました。

「ご挨拶考えてきました?」ときく私。
前日おっさんずと私で、今回の主催者はみるさんなのだから、そしてみるさんを応援するためにこそ皆さん寄付金を寄せてくださったのだから、最初のご挨拶はしないといけないですよ、と言っておいたのです。
みるさんはここのコメント欄にも「アシスタント」とか名乗っていますが違います。今回はみるさんが主催者です。でもびびっちゃったんだと思います。寄せられた寄付金のあまりの多さに。私も通帳みせてもらってびっくりしましたから。
それだけ花風社クラスタ、色々な意味で余裕がある、ということだと思います。そして気持ちが温かい。

そして講演後の昨日、早速ご参加くださった地元の支援学校の先生が「みるさんのご挨拶がすてきだった。チャーミングだった」という感想メールをくださいましたが、本当にいいご挨拶でした。
支援学校を出たこと。
だから上の学校に行けないこと。やりたい仕事にもつけないこと。だから今、学び直していること。
思い切って横浜の講座に出かけて、そこから良い展開が始まったこと。
それを盛岡に持ってきたかったこと。

満席の会場でうなずく人々を見て、このたくさんの人がみるさんの呼びかけから集まったんだなあ、と感動しました。
無から有を生み出したのです。
数ヶ月前は陰も形もなかった「盛岡でのコンディショニング講座」。
それを生み出したのはみるさんの思い。そしてそこに全国から応援が集まり、地元の人たちが参集してくれました。

私の講演が始まります。
私には最初から「発達障害治らないかな」っていう思いがあったこと。
でもそれは、「性格直してほしい」とかそういうことじゃなかった。
なぜなら最初に出会ったニキさん、藤家さんは付き合いやすいいい子たちだったから。
そして本来優秀な人たち。
なのに世の中に出られない。その障壁となっているこの四つの障害を治してあげたかった。

1 感覚過敏
2 睡眠障害
3 ボディイメージがわからない
4 季節の移り変わりに弱いこと

この四つの障害が治れば、情緒面でも社会性の面でも治っていくだろうという仮説があった。
そしてその通りだった。
それは治っていく人たちが証明してくれた。

最初私は、医療に期待していた。
私はほとんど病気をしない。だからこそ医療に幻想を抱いていた。
不具合は医療が治してくれると思っていた。
ところが発達の医療は違った。治さないどころか、治す気がない。
じゃあ他に治せる人がいないか。
そう思ってたどりついたのが10000パーセント無名のおっさんだった。
地元の神奈川にいた。誰にも知られずに。

そして今回みるさんが、声をかけてくれた。
お金がたくさん集まった。
みんなの応援の気持ち。
みるさんへの応援。
東北への応援。
それだけじゃあない。
「自分たちがこれほど助かったから、治るっていうことが広まればいいな」
そんなわけで数十万円集まりまして、
その上皆さんが会費を払ってきてくださっているので
花風社今後何度でも東北に何回も来られます。
ところが
一番抑えられないのは、このおっさんのスケジュール。
とにかく全国で引っ張りだこなので。
明日も仙台経由沖縄に飛ぶそうです。
でも秋田に9月8日、二人で来ます。それは決定。

という話をしました。

そして最後にみるさんの話を私からしました。

今回、まず「やりたい」って手をあげてくれて
告知文を作って
告知用のサイトを作って
全国から来る寄付をまとめてお礼メールを送り
チラシを作り
会費の入金を確認し、入場証を送り
名簿を作り

etc etc

全部一人でやったんです。
マルチな活躍です。
誰でもやれることではないです。
そしてこの人がね、養護学校卒業なんですよ。

そんなのもったいないと思いませんか?

もしかしたら青春時代、つらいことがあって不調だったのかもしれない。
でもこの人を一生障害者として扱い能力を活かせないなんて
ご本人の損失であるばかりではなく日本の損失です。

だから
「一生治らない」という決めつけは人権侵害なんです。
治そう! という気持ちを誰にも否定されずに話し合える場として
「治そう! 発達障害 どっとこむ」を作ります。

そういう話をしました。

そして書籍販売。
NEURO売り切れ。
その他もたくさん買っていただいて

お買い上げの時一人の方に声をかけられました。
「ツイッター見ています。
こうやって本を買うくらいしか応援できないんですけど」

ちょっと涙ぐんでらした。

セオリーオブマインドが働かない人は、一生懸命ネットで悪口言ってるのになぜ人が集まり金が集まるのか不思議がっているかもしれませんが

それは悪口言ってる方がどうみてもおかしい、と感じる人もいるからですよ。
おかしな連中が悪口言えば言うほど、支持する人もまた増える、ということですね。
だから特定通報も送られてくるんです。
あまりにひどい、という言動をしている人は必ず特定される。

そして私たちはリアルな世界に生きていますから

実際に送金し
実際にやってきてくれる人たち

実際に実行機能がある人とどれくらいつながれるかが大事なのです。

みるさんのお母様も参加してくださっていました。
みるさんが小学校のときお世話になった通級の先生と一緒に。
お二人にとって、我が子の、教え子の晴れ姿はきっと誇らしかったと思います。

さて栗本さんの講座です。
そこはさらりと流して、また飲み会の話。


続く

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1 コメント

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Unknown (みならい怪獣)
2019-06-11 09:57:31
盛岡公演のご成功おめでとうございます。
みるさんを浅見さんのブログで知ったときから
しっかりした文章を書かれる方なのに、
花風社の講座に参加するために、あまちゃん県から
交通機関を乗り継いこられるのに、
余暇は自分で計画をたて過ごす事も出来るのに、
何故福祉は要介護の患者とみなし囲い込みを続けるのか憤っていました。

一方で、今回の講座はみるさんの行動力や計画力が
なければ実現も成功もしなかったろうと思いました。
こんなに能力のある方は是非社会でも頑張って欲しいです。

治るというのは社会貢献ですね。