治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

親には言えない

2010-09-29 08:15:26 | 日記
著名な支援者の本を読み、著名な支援者とお会いする。
そうすると、数百人の告知に立ち会ってきたであろうベテランの先生方でも
告知に対する考え方がさまざまなのがわかる。

告知の是非とか。
タイミングとか。

私には支援級でお勉強している小学生のお友だちがいるので
告知されないまま、支援級にいる子どもたちの生の声を
ちょっぴり知ることができる。

人権教育をいくらしようと、心ない人々は後を絶たない。
普通級の子どもたち、あるいはその親たちからひどい言葉を投げつけられることもある。

○○学級はバカな子の集まるところ。
○○学級の子と遊んじゃいけません。

こういうつらい体験を、全部親に話すとは限らないんだね。

親には言えない。
親には言えない。

こうやって、一人悩む。
僕はどうして○○学級にいるんだろう。

普通級のお友だちが教室で勉強している日に
支援級だけ合宿がある。
市内の支援級が集合しての宿泊学習。

このときも悩む。

どうしてみんなが勉強しているときに、僕たちは合宿なんだろう。

支援級になぜいるかを教えてもらってないからね。

でもこの疑問を、まっすぐ親にはぶつけないらしい。

親には言えない。
親には言えない。

子どもたちだけであれこれ推察するそうだ。

子どもたちは、自分が他の子とちょっと違うのは小さいときから気づいている。
自分がちょっと差別されていることも
ちょっと特別扱いされていることも気づいている。

でも誰もその理由を教えてくれない。
親でさえ。

特別支援学級にいても
なぜいるのか、よくわからない。

修行の意味と目的がわからない。

そういう状態に置かれている子どもたちもいるんだね。

私の薬物体験

2010-09-28 08:52:00 | 日記
って言っても違法なものじゃありませんよ。

合法的な処方薬ね。

これ、本当に経験に乏しいです、私。

最後にのんだのは二年前くらいかな。
二週間くらい咳が止まらず、東南アジアに行くので現地でこじらせないように病院に行きました。
そうしたら喉が炎症を起こしているといわれて何種類かの薬を処方されました。
一つは胃薬だったと思います。お薬は胃を荒らすと言われて。

それを持って旅行に行ってまじめに服用して、帰ってからもう一度お医者さんに行ったら「治っている」と言われて通院終わり。

それ以来薬は飲んでいません。医者に行くほどの不調なんて、数年に一回あるかないかですから。

のどの前はさらに二年前、腕の裏にできたあせもみたいなものだったな。
こじらせたくなくて皮膚科に行ったら戒名みたいな長い病名を言われて。
ただのあせもじゃなかったみたいですね。
一週間の禁酒と服薬。
まじめに守ったら一週間で治りました。一週間も禁酒したのはあれが最後じゃないだろうか。

というわけで今も、
サプリもバッチフラワーも何にも飲んでないです。

神田橋先生には薬じゃなく焼酎を選んでいただきました。
今も鹿児島から取り寄せて飲んでいます。
だっておいしいんだもの。
お薬を選ぶ名人は、お酒を選ぶ名人でもあるんですね。

風邪はときどき引きます。でもだいたい数時間で治す。

薬は使いません。薬を嫌っているわけではありません。でもだいたい

熱燗/風呂/睡眠

で治ります。三時間くらいかかるかな。

何日も風邪が治らないという状態は想像できないです。

勤め人だったとき、上司に「社会人なら風邪は一日で治せ」と言われていました。
当たり前のことだと思っていました。

自分的に言うと、これまで経験した最大の体調不良は二日酔いです。

あれほどつらいものは世の中にないと思います。

でも薬はいりませんよね。二日酔いには水。これしかない。

なんでこういうことくどくど書くかというと

週末に薬害の本を二冊読んだから。

別に薬を忌避する必要はないと思います。副作用はなんにでもあるんでしょう。

でも本当に、想像できないんです。
薬が必要な状態が。
頭ではわかるけど、肌身ではわからない。

たとえば睡眠導入剤。なんで必要なのか。

夜になると眠くなるもんじゃないですか、人間は。
どうして眠るなんていうプリミティブな行為に薬が必要なのか。
でも、必要な人には必要なんですよね。たくさんの人がのんでいる。

こういう人だからね、自閉症の人の身体機能に興味を持ったんですよ。
睡眠障害とか、気圧の変化に弱いとか
こういうのが大変そうだと思いました。

そしてこういう人だから「わかるわ~」って言わないんです。自閉症の人に。

言うのは失礼だと感じているんです。

逆にね、不要な思いやりのわずらわしさがよくわかるんです。

たとえば「雨にぬれると風邪引くよ」とか言われても

そんなことくらいで風邪なんか引かないもん。

言った人は雨にぬれると風邪を引く人なのかもしれません。
でもくどくど「念のために傘持ってけ」とか言われるとうるさい。

「自分の身体の感覚を、こっちに押し付けるなよ」

とか思います。

雨にぬれたくらいで風邪なんか引かないし
引いたって三時間で治せるんだから。

強い人は弱い人の気持ちがわからないかもしれない。
でも弱い人も強い人の気持ちがわからないです。
余計な気遣いが面倒くさいっていうことが。

むしろ「弱いもの」として扱われることを
侮辱と感じている人、たくさんいます。

長年たくさんの支援職の人に会って思ったのは
自分が打たれ弱そうな人は修行勧めないな、っていうこと。

ご自分も芯がしっかりしている支援者の人は
修行勧めますね。

昨日もML登録ご希望の方から
「修行は大事だと思っています」とメールをいただきました。
当事者の方のようです。

ASDの人でも
心の強い人たくさんいるもんね。

向上心がある人もたくさんいるし

身体弱くても心が強い人もいるし

心がしなやかな人もいる。だから傷ついても立ち直る。

この人たちの強さに気づいている人、どれくらいいるんだろう?

神田橋先生はきっと、気づいていらっしゃいますね。

本の中の記述で、それがわかります。

ご自分も明るい方だし。

ふと思ったんですけど
修行系とそうじゃない系と
支援級の担任の先生とか選べると面白いですね。

どっちがたくさん選ばれるだろう?

打たれ弱い支援者に実は芯の強い被支援者。

このパターンつらいかもしれません。実はいっぱいあったりして。

受付嬢

2010-09-26 09:20:30 | 日記
さて、10月16日札幌近郊で講演します。
特別支援教育の先生と私が講師。
大雑把に分けると私が成人生活の話を
特別支援教育の先生が児童・生徒の話をする予定です。

もしかしたら一部対談になるかもしれません。
そうしたら私としては
告知の問題なんかをご質問させていただきたいと思っています。

詳細は花風社MLで流します。
MLに新たに登録ご希望の方はメアドを花風社に送ってください。
登録はいつでも解除できます。

受付のお嬢さんの一人が、もしかしたら白くま母さんかもしれません。

すすきので夜の部もありそうです。

楽しみです。

身体作りの成果は自分が一番よく知っている

2010-09-24 10:00:05 | 日記
さて、最近大地君が学校のマラソン大会で三キロを余裕で完走し
私たちはやんややんやと電子拍手を送った。

自閉っ子にありがちだが、大地君ももともとは運動が苦手。
まっすぐ走れなかったし、すぐ転んだし、靴の減りもへんてこだったらしい。
神田橋先生が「発達障害は治りますか?」の中で指摘したように、
骨のずれがあったかもしれません。

でも大地君の学校、支援級では身体作りに力を入れている。
何しろ毎日一時間目は身体作りなんだって。
そして、どうして身体作りが大事なのか、ちゃんと教えてくれているようだ。

授業中45分座っている。
マスの中にきれいな字が書ける。
こういうことには全身の協力が必要。
だから身体作りをしよう。

教えてもらっているから頑張れる。
そして大地君は三キロを走れるようになった。
カナーのお友達で、とても足の速い子もいるらしい。
電動車椅子のお友達は、先生達が慎重にアセスメントした距離を走るらしい。
みんな、ちょっとずつ頑張らなければいけない距離を、先生は一人一人に割り出すらしい。
そして達成感を感じられるようにする。

そして本当に、45分座っていられるようになった。
マスの中にきれいな字がかけるようになった。
止まっているボールも蹴れなかったのに、ドリブルができるようになった。

こういうことが、次のやる気につながるのですね。

私は今は三キロくらい毎日でも走れますが
大地君がはたちになるまで、この体力を維持しようと思います。
そして一緒に走って、おいしいビールを飲むのです。
走ったあとのビールほど美味なものはこの世に他にない。

私にも目標ができました。

「身体のホームポジション」

2010-09-23 08:05:08 | 日記
火曜日夕方、某専門家とお電話でお話していた。
ASDの人の聴覚の話。
その方の経験によると、聴覚過敏だけではなく、耳鳴りがある人も多いらしい。

耳鳴り?

どんなもんなんだろう?

自分では生まれてこのかた一秒も経験したことがない。

時計を見ると、ちょうどちゅん平さんが仕事から帰った頃だ。
聴覚問題といえばちゅん平さん。電話してみた。
明るい声で出た。本当に元気だと声だけでわかる。

耳鳴りの経験ってある? ときいてみるとあると言う。
でもあれほど大変だった聴覚過敏はだんだん治ってきたんだって。
前みたいに耳をかばわなくても外を歩けるそうだ。

へええええ。
聴覚過敏は治りにくいっていう話だったけど。
健康になったらマシになるのかな。



水曜日、朝から「身体のホームポジション」(藤本靖著 BABジャパン)を読んでいた。
すごい本だ。
これを読むと、感覚過敏が治るっていうのも可能なんだな、と思える。

自閉症の人の五感の特異性についてはよく
「取捨選択ができない」っていう表現が使われる。
定型の人が自然に入力を選択している五感が
どっと流れ込んできてしまう感じ。

この本を読むと
感覚の取捨選択って全身労働なんだと気づく。
だからちゅん平さんのように全身が以前より健康になれば
取捨選択力がついてくるのかもしれない。

すごい本だ! ばんばん読み進もう!

と一日で読み上げるつもりだったのだが

そんなに急いで読みすすめないでいい本だ。
ときどき実験やりながら読んだほうがいい。自分の身体を使ってね。

そして・・・

午後四時になるとテレビをつける弱い自分がいた。
四時まで我慢した。十両見なかった。えらいぞ自分。

ちょうど幕の内土俵入り。

そのままお相撲観戦。

絶不調稀勢の里、予測に反して勝った。

ちょうど稀勢の里が勝ち名乗りを受け手刀を切ったカリスマ的タイミングで電話が鳴った。

だれ? 

神田橋先生だった。

で、早速「身体のホームポジション」のお話をしたら・・・

「あれはすごい本です」とおっしゃってました。

身体機能に関心のある皆さん
これは必見の本です。
障害のあるなしには関係なし。
アスリートにもいいと思います。
自分の身体の使い方がわかります。
感覚過敏も偏食も、治すヒントが得られます。

現実認識能力

2010-09-21 08:51:30 | 日記

昨日、このHPを見た。
企業における発達障害者の活用。
学生から社会人へ育て上げるという視点。

この講演が行われたらしい。
そして事後のアンケートで賛否両論が寄せられたらしい。
福祉的手法とは間逆だと。

なるほど。

私は賛成だな。

私から見ると
現実を直視する力って、定型発達者よりむしろASDの人が優れているところだったりする。
こちらが意地悪な気持ちをもたず、現実をまっすぐ伝えると文字通り受け取ってくれる。
だからASDの人には直球がいいと思う。

でもしばしば、周囲が余計な気を使ってしまい
現実を教えないことがある。
それがASDの人を混乱させているように見えるんだけど。

現実を伝えつつ
社会は怖いところではないと伝える。
これが私のスタンスだなあ。

写真は横綱キティ。まだ雲竜型しか見たことありません。早く不知火型キティに登場してほしいです。

 


大人と子どもの違い

2010-09-19 07:45:45 | 日記
先日、私は大地君が新しくお友だちになった施設の職員さんと
ネット上でおしゃべりしているのを横から見ていた。

その職員さんの施設では、利用者の方たちが働いている。
売り上げに応じてお給料が払われる。
売り上げのいいときは、みんな給料日をいっそう楽しみにする。
そういう話を聞いていた。

そして夏休みには、旅行に行くらしい。
色々な嗜好の人がいるから、行く先もいくつかあって選べる。
グルメ系とかアミューズメント系とか。
気の合う同士で行くので、トラブルもあまりない。

もちろんどこにも行きたくない人には、「行かない」というオプションも用意されている。

これを聞いて大地君は飛びついた。
大地君にとって宿泊学習は苦手な修行。毎年毎年不安で仕方がない。
でも行かなくちゃいけない。
大人は行かなくていいのかな?

そうしたら施設の方は、大地君にわかりやすく教えていた。
子どもにとっての宿泊学習は修行。
でも大人にとっての旅行は楽しみなんだ。毎日働いている自分へのごほうび。
子どものときの宿泊学習は
働ける大人になるための修行だ。
大人と子どもはそこが違う。

これを聞いて大地君は納得していた。
大人になってお給料をもらったら、自分も行きたいところがあると。
宿泊学習は、自分でお金を稼いで行きたいところに行けるようになるための修行なんだね。

子どものネット使用にはいろいろ難しい面もあるけれど
こういう現実を教えてくれるお友だちができるといういい面もあるなあ。
横で見ていてそう思いました。

大地君の次の本でわかるのは
周囲のかかわる大人の多さ。
それぞれスタンスが違うけど、それぞれが成長に寄与していること。
子どもを地域で育てなくなったというけれど
支援級は擬似地域のような、多くの大人がかかわる環境を提供しているのだな、と思いました。

障害かどうかは自分で決めていい

2010-09-16 10:20:38 | 日記
さて、重度の、手帳取得が比較的容易な方はともかく
最近増えてきたのが手帳のとりにくい方たち。

うちの読者の方たちにも多いですね。

大地君もこの春手帳を取ったばかり。

それまでは未診断でした。

以前、自閉症の博士のところに相談に行ったときに言われたのは
「診断はいつでもできる。
それより大事なことがあるよ。
自分の得意なこと、不得意なことを知ること」

診断名よりそちらのほうが役に立つ、と。

たしかに。

でも大地君はずいぶん周りの大人を問い詰めたこともあったらしいですけどね。

「僕には障害があるの?」って。

特別支援教育コーディネータの先生はこう答えたんですって。

「障害があるかどうかは自分で決めていい」と。

で、大地君は考えた。

「障害があることにしておこう。だからこそ特別なトレーニングが大事なんだ。そう思っていたほうがいい」

=====

手帳を取る必要が出てきて、ついに確定診断を受けたとき
大地君はこういうメールをくれました。

「医者より前に、ママが見抜いていてくれたのは、超すごいことです」
「大丈夫です。必要な修行は一歳からしています」

そして

「できないことを自閉症のせいにしたら、僕はおしまいですから」

学校の先生に、こう教えてもらったようです。
意見の分かれるところだと思う。

でも

私はこの考え方を否定しません。
精神論や根性論としてたたえているのではなく
これから始まる新しい社会の中で
こういう考え方は、単純に「得」だと思うからです。

これからますます二極化が進みます。
グローバル化した大企業は、ゆとり教育でひ弱になった日本の新卒より
たくましいアジアの若者を雇う。
こういう社会がすでに現実となっています。
大地君たちが大人になった頃
果たしてどれくらい、雇用が国内にとどまっているでしょうか。

本当に、ASDの人たちに「ギフテッド」の面があるのなら
それを発揮できる人になったほうがいい。
もちろん、そのために「普通」を目指す必要はない。
すべての苦手を克服する必要もない。
でも診断名をきっかけに特性を知り
最低限の苦手は乗り越えておいたほうが、自分の得意な面を生かせる職業につきやすくなるでしょう。
大地君はその点、無理をしないで頑張ることができる子です。
苦手は修行しても苦手のままかもしれない。
でも修行しないよりはずっとマシ。
こういう言葉で表しています。

「横綱にはなれなくても、練習すれば大地も友だちとなら相撲が出来るということです。大事なのは、出来ないと思いながら練習しないこと。コツコツ続けること。そして一番は楽しむことだそうです。」

少なくとも体力はつきますね。
どんな仕事についても、体力は邪魔になりません。
体力がつけば、精神的なダメージを受けたときの回復も早くなるし。

完璧な人間じゃなくていい。
ただ、人と人の生きる社会のなかで
自分のやるべきことをやれる大人になったほうがいいでしょう。自分にとっても、周囲にとっても。
社会にとっても。

それが日の当たる場所でも、そうでなくても。
有名な人にならなくてもいい。
お金持ちにならなくてもいい。
もちろんなってもいいけど。
とにかく社会の中で自分の役目をきちんと果たせる大人が増えればいいと思います。

障害があろうとなかろうと。

数多くの診断・告知を地域活動の中でごらんになってきた岩永先生は、
大地君の診断・告知のケースを、稀にみるうまくいった例だとおっしゃっています。

でもそれには根拠がきちんとあるそうです。診断に至るまでの流れの中に。
診断・告知の成功を保障するのは
その一瞬のことではなく、それまでの積み重ねだと教えていただきました。

環境

2010-09-15 08:28:00 | 日記
二次障害は環境のせい、という言い方が必ずしも保護者を救わないのを最近知った。

そらそうだ。

一生懸命環境調整しているのに、まだ問題行動が見られることがある。

二次障害は環境のせい、という言い方は多分に政治的なメッセージでもある。

環境調整お願いね、と世間に頼むための。

神田橋先生によると
本人の身体も環境みたいだ。

だから自分でできることがある。

そのためのきっかけづくり。
それが「発達障害は治りますか?」が果たす役割だと思っている。

お金は想像を簡略化してくれる

2010-09-14 07:15:46 | 日記
さてさて、ニキさんに
「面白いソムリエさんに会った。自閉っ子の適職の一つにソムリエとかあるんじゃないか?」って言ったとき。

ニキさんはこう指摘しました。

「お客に薀蓄自慢の人がいて、自分の意見をあくまで通そうとするときとかの対応を覚えておいたほうがいいね」

うーん、たしかに。
ワイン関係者は薀蓄率高いからな。

SSTが必要だね。

でもSSTって、膨大に暗記しなきゃいけなかったりする。

でもニキさんは、あまり社会で場違いな振る舞いをしない一つの法則を見つけ出した。
そして「自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る」に書いてくれた。

それは、「お金」をインデックスにすること。

お金の流れを見ると、指揮系統がわかる。

これは、「お金がすべて」という意味ではない。
拝金主義っていうわけじゃない。
ただただ、お金は便利な目印っていうだけ。

ソムリエとお客がワインをめぐって意見を交わしても
最終的な決定権があくまでお客にあるのは
お財布からワイン代を出すのはお客だからですね。

「最終的な指揮権は、お金を出す人にある」

これさえ覚えておけば、膨大な暗記をしなくても不適切な振る舞いが減る。

ニキさんはまた、「他人の時間は無料ではない」という法則を見つけた。

他人はたいてい本業がある。
毎日いくばくかを稼いでいる。
自分のために時間を使ってくれるというのは、その稼ぎをいったん保留して好意を向けてくれるということ。

これを心がけているとね、ありがたさがわかります。

誰を頼っていいのか、誰を頼ると迷惑がられるのか、わかります。

好意でやってくれたことに、感謝を表すのを忘れなくなります。

で、世の中でムダに顰蹙を買う機会が減り

結果として世の中があまり怖くなくなります。

定型の人だったら(たいてい)あっさりわかるこういうことを
ニキさんはえっちらおっちら理解したわけです。
で、本に書いた。

「想像力の障害を補うのは
世の中に関する知識」

いい本ですよ。

福祉の外で生きていくことを希望するのなら
読んでおいて損はありません。

本当は福祉に面倒見てもらいたいけど
今の日本じゃ無理そうだなと思う人も
読んでおいて損はありません。