治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

情報は使おう! 大久保さんの講座を終えて

2021-01-25 11:20:05 | 日記
昨日の朝、愛甲さんの質問会の当日、皆さんの質問に愛甲さんが答えたメモ書きを足したもの(ワードA4で37枚
)を見直してみました。
そうしたら第一問の方が、前日の大久保さんの講座をきいたかどうかが気になりました。
まさに大久保さんの実践に答えがあったからです。

名簿を見てみると、大久保さんの講座は取っていない。
押し売りになってしまいますが、後日配信でもいいので、きいてみていただきたいと思いまして営業しました。
そしてお申込いただきました。

なぜかというと
個人情報もありますので詳しいご説明はこの場では控えますが
重度の方で、成人の方
きちんと学校時代に学校現場に「大人になるまで少しでも伸ばせるところは伸ばそう」という発想があれば、これほどの苦労を親も子もなさらなかっただろうと思ったからです。

大久保さんはまさにそういう「消化試合の現場」を見て、御自分の進路をスイッチしてこられ、今ここに至っています。消化試合で終わらせようとする教育現場にできないことをするために独立の道を選んで家庭に介入されています。「凹を育てなおす」ヒントをご家庭に伝授しています。その発想と知見があればこの親子さんはラクになるだろうと思ったのです。

少し資料を公開します。
これは、昨年の9月に大久保さんと栗本さんが対談したときの音声を私ではない人がべたっと文字起こししたものです。出版するものではなく資料です。大久保さんが見てきたものを伝えるためにここに貼ります。

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大久保 その後、大学生なので養護学校とかの授業の補助で入ったりする時期もあって、学校を見たりしていると、「本当にこれでいいのかな」と、正直、思いました。
浅見 どういうところですか。
大久保 結局、45分授業があったとしても、最初の5分間、ねじを回すとか、ちょこっとやって、あとはビデオとか。体育というのも、体を動かすというけれども、ただマラソンをさせているだけ。10週走っておしまいにしているだけとか。あとは、ずっと横になっていたりしていて、この子たちの学びは本当にこれでいいのかな。片や、違う小学校とか行けば、朝の8時からちゃんと勉強して3時ぐらいに帰って来るのに、この子たちは勉強しなくていいのだろうか。純粋に、分からないから、そう思っていました。親御さんたちに聞くと、そういう情報はあまり知られていなかったりして。
浅見 そういう情報って何ですか。
大久保 学校でそんなふうに過ごしているのを知らない。
浅見 もっとちゃんと教わったりするとか。
大久保 個別支援計画はきれいに書きますので、知らないと。親御さんたちは、たぶん、学生に対してそういうのも聞きたいというのがあったのだと思います。自分は学校に見学に行けないけれども、学生は授業の補助とかで入っているので、大久保はどうなのだというのを聞いて、そういう話をするとか。で、学校の先生に対して、家庭でこういう問題がある、さっきのトイレで流す問題があるのだけど、どうしたらいいだろうと相談するけれども、先生は「もにょもにょ」と言って返ってこない。なぜ返ってこないのだろうかと相談されたりする。
 僕は学校に入っているから、「こういう話がありますが、先生はどう思われますか」と言ったら、「それは家の問題だから、僕たちは責任とれないでしょう」と、ボンと言われてしまったのですね。「僕たちはやらないじゃん。だって、それは学校の話でしょう」。で、親御さんはどうするかといったら、トイレにモノを流すとか壁をはがすとか、いろいろ問題は残る。でも、学校に相談しても返って来ない。支援何とかセンターに行って相談しても、よく分からない構造化の話をされて帰って来る。子どもは苦しい。親も苦しい。どうしようもない。じゃあ薬に頼るか。そういうのをずっと見てきたので、あまりにも。僕はもともと小学校の先生になって働きたいと思っていたのに、あまりにも現実とのギャップがあり過ぎて衝撃だったのですよね。
浅見 なぜ、そういう体制になってしまったのですかね。要するに学校が教育をしていないわけですね。
大久保 そうですね。結局は、僕も函館に住んでいるからだいたい想像がつくのですが、そこの地域に大きな福祉の施設があったりすると、どうせそこに行くだろうと、先生たちの目も親の目も全部そちらに向いてしまうのですね。子どもを見ていない。

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そして皆さんにお願いしたいのは
これをただの悪口で終わらせてほしくないのです。
花風社は「NEURO」発行時「凡医を問い詰める会」を作りました。
凡医が思考停止で「生まれつきの脳機能障害で一生治らない」等の決まり文句を使うとき、逆質問してあげましょうという会です。
花風社周りの情報もそうだし、もちろん廣木道心さんの「発達障害・脱支援道」もそうだし、党派の違う方ではありますが「発達障害バブルの真相」の著者の調査力もそうですが
情報として利用していただきたいのです。
思考停止で決まり文句として介入してこようとする医療や福祉や教育に対して。
「こういう情報ありますが、これなら我が子は任せられません」等の交渉道具に使っていただきたいのです。
その結果過剰な支援が引き下がるのもよいし、支援現場が意識を改めるのならいいことですし。
彼らに自浄能力がないのなら利用者が突っ込めばいいのです。

今回本にするかどうかもわからない編集の手が入っていないとりあえずの一次資料をここに公開したのは
こういう「支援校の消化試合の現場」を見たからこそ大久保さんは家庭への介入をお仕事にされたということ。
そして神田橋先生や栗本さん、灰谷さんに学び身体を徹底的に勉強して、たとえば字が書けるように至るまでの育て方を編み出したこと。
それをお伝えするためです。

だからある意味、大久保さんの実践は重度の方にとても強いと思います。
日本で一番重い方をみている施設で利用者さんと寝食を共にしてきた方ですしね。
重度の方で諦めたくない方、よかったら今からでも大久保さんの講座を見てみてください。

不要不急の旅ご報告

2021-01-17 11:18:19 | 日記
1月14日からGoToする予定でした。が、GoToに黄色信号が点り始めた頃。
とりあえずあちらがいやがっていないのなら、別に値段が高くなってもいいので行こうということになりました。
ただし、緊急事態宣言とかが出たら考えよう。
で、出たのですが、今回は県をまたぐのは云々とか言わない。
実は前回の緊急事態宣言で県をまたがないことだけは死守したのは「ゲーム神奈川」が面白かったからです。三浦半島にサイクリングに行ったし(一軒だけ自転車屋さんが開いてました)、箱根にも泊まりに行ったけど、県境はまたいでいない。ね?

今回、どうも現地の宿はGoToをキャンセルして別のお得なプランを勧めてくれたようで、それに乗っかることになりました。
全日空から機種変更のお知らせがきました。きっとキャンセル多くて飛行機が小さくなったのでしょう。
そして私たちが行く松山の親を訪ねた人が近所からバッシング受けたという話を聴き「今行って現地の人に嫌がられないのかなあ」と私が言ったら夫は「そんなの行ってみなきゃわからないだろう」と言いまして、本当にその通りだなと思いました。そして思い出しました。廣木さんは大阪の路上でヤクザと大立ち回りをしたようですが、夫はベルリンの路上で「外国人は出てけ!」とか叫ぶネオナチと口げんかしてきたのです。しかもドイツ語で。愛媛県人の神奈川県人に対する差別意識がどんなもんか知りませんがネオナチほど攻撃的であることは考えられないのでネオナチを乗り切ってきた夫は全く平気なようでした。

そして結果的に、なんの嫌な思いもせず、2泊3日の愛媛県旅行を楽しんできたのでそのご報告です。
花風社クラスタの皆さま「浅見さんの旅日記楽しみにしています!」と言ってくださる。卑屈じゃない人が揃っているのでね。だから旅日記を「見せびらかし」と取るような卑屈な人はこれ以上読まない方がいいから帰った帰った。

====キ====リ====ト====リ====線====

まず朝一番の羽田松山便は思っていたほど空いていなかった。
前の方は詰まっていたし、後ろのほうも三人がけの席に一人はいる感じ。
観光だか帰省だか出張だかわかりませんが、それなりに人は動いているようです。

着いてホテルに荷物を預けてホテルの人に勧められた正岡子規博物館へ。
貸し切りでした。そしてじっくり見てしまいました。二人とも文字を読むのが速いので説明を全部読んだ感じ。展示物より文字。もちろん正岡子規の人生については『坂の上の雲』等で知っていましたが、あらためて革命児としての生を生ききったことに感嘆した次第です。とくにそれまでの耽美主義の短歌にノーを突きつけた。それは「源氏物語」を初めとする貴族文化が大嫌いな私にはよくわかるのでした。源氏物語好き、っていう人はムードに酔っているだけだと思う。内容をよく読んだら、気持ち悪い変態ストーリーだとわかるはず。なんであんなものがもてはやされるのかわからない。
ついでに言うと正岡子規の友達だった漱石も私は嫌いです。実際どういう人だったか知りませんが、
作品はうじうじうじうじしてつまんないよね。病に伏しながら創作した子規の方がずっとのびのびした作風です。
まあともかく、たくさんお勉強して出てきたらプチ登山。ひなたぼっこが気持ちよかったです。



それから鯛飯(1)を食べてホテルへ。海鮮丼方面でした。


このホテルはチェックインが早いのです。これも非常事態サービスかも知れません。道後温泉の商店街は休業も多く、なんとコンビニまで休業。横浜より自粛している感じでした。人力車のお兄さんたちも手持ち無沙汰にしています。私は前夜睡眠時間が私にしては珍しかったので、お風呂に入って昼寝して、気がついたらお相撲をやっていました。

それからフルコースのディナー。
とても美味しかった。立派なワインリストもありました。ただ夫婦の間に無駄にアクリル板が立っていたのは笑いましたけど。

翌朝。
また上質な朝食をいただきバスで今治へ。
途中の道がくねくねと箱根の小さいのみたいで面白かったです。
四国にも山はある。それでこんな場所を通りかかり、きれいだな~と思ったらダムでした。水に困りがちな四国の貴重な水源ですね。



そしてしまなみ海道へ。
全長70キロで本州側、尾道まで続いているそうです。
うちは半日くらいしか遊ぶ気がなかったのでとりあえず15キロ弱走ることにしました。往復で30キロ。お天気もちょうどよくて、瀬戸内海上を自転車で走るのはとても気持ちよかったです。電動のレンタルがなかったので坂はきつかったですが、島に着いたときは感動しました。



帰りもえっちらおっちら自転車を漕ぎ、バスで松山に戻ります。心地よい汗を道後温泉のお湯で流し、お相撲、ディナー。
30キロ走って余力はある。筋肉痛もない。そのうち走破に挑戦したいなと思いました。


翌朝はゆっくりチェックアウト(これもサービスです)。
そして鯛飯(2 炊き込みご飯方面)を食べて以前も行った松山城へ。



お城はすなわちプチ登山。天守まで上って下りて路面電車で道後温泉に戻ります。ホテルで荷物を拾い、バスで空港へ。空港では四国の味を楽しみながら最終便を待ちました。


最終便もそんなに人は少なくなかった。
3列に2人はいた感じですから、三分の二は埋まっている。
思ったより人は動いているようです。

それでも今回、緊急事態宣言はそれが発令されている都会より、地方の方が打撃を受けるのではないかと思いました。また発令されていない地方においても「忖度自粛」も横行しているようです。
GoTo停止から日が経ち、それでも感染はやまず、GoToのせいではないことははっきりしましたが、GoToをやめろと行った医療も政府もそれを後押しした「世論」も観光を入り口とする第一次産業までの苦境にはなんの責任も取らないでしょう。

今回の非常時にわかったことは、いざとなると医療も政府もエビデンスなどかなぐりすてて試行錯誤するということ。その中で当たるものもあるのかもしれませんが、明らかに経済を縛ることは副作用の方が大きい。それでも彼らは責任を取らない。

そしてお上や医療が偉いと思いこんでいる人たちは、翻弄され、自由を明け渡し、損していますよね。

「生まれつきの脳機能障害で一生治らない」もそうなのですよ。仮説に過ぎない。
「社会が理解すれば生きやすくなる」に至っては、エビデンスなど一つもないのです。ただ自分たちができないことから目を背けさせるために社会にだけ努力を強いているだけ。今回医療が飲食を犠牲にしたように。
そういう医療や政府がてきと~に出してくる仮説を見極める目が大事です。その作業を怠って「一生治らないんだ!」と言い張る前世代は何かと邪魔をするでしょうが、コロナ以降の世界を生きる人たちは大きな教訓を得たと思います。

そんなことを思いながら帰ってきました。
さあ今度はどこに行こうかな。
私には自由があります。


大久保さん@てらっこ塾×浅見@花風社 対談内容

2021-01-13 12:32:32 | 日記
こんにちは。
1月23日に行われます大久保悠さんと浅見淳子の対談内容が決まりましたので貼っておきますね。
お申込はzoom☆kafusha.com(☆をアットマークに変えてください)までお願いいたします。
お名前と配信先メールアドレスをお知らせください。

内容は変更の場合もありますが、大筋は変わりません。
よろしくお願いいたします。

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大久保さん浅見対談『医者が教えてくれない子どものステキなところ』 予定内容

はじめに

なぜ発達障害を精神科でみることになったのか?
「生まれつきで一生治らない脳機能障害」なのに医療になんの役割があるのか?
コロナ禍を経てわかった医療の「弱点」。
→「治る」ためには医療と違う見方が必要
大久保さんの実践と医療の違うところは?


1.子どものステキなところを見抜くための準備

〇診断ってなに?
〇「全体的な遅れ」と「発達の凸凹」の違い
〇それは特性ですか、未発達ですか?
〇「遺伝」と「環境」
〇「発達」と「学習」
〇「治る」と「育つ」
〇年齢による神経発達の違い
〇子が伸びやかに育つ環境とは


2.子どものステキなところを見抜く視点:アセスメント

〇「名も無き遊び」「時間を忘れて没頭する遊び」
〇不意に出た動きが本当の発達段階(意識と無意識)
〇子どもの感覚は絵に現れる
〇ヒトは中心から育つ(背骨の発達、首の発達、背中の滞り)
〇地球との信頼、母体との信頼
〇自分という存在、他人という存在、社会という存在


3.子どものステキなところを育てる視点:発達援助

〇背中の滞りをとる
〇首を育てる
〇感覚を育てる
〇概念を育てる
〇愛着を育てる
〇自己肯定感を育てる
〇自分の頭で考えられる人を育てる


→自分の頭で考えられる人とは? 誰のこと? 学校の先生はどう? 支援者は?
学校との付き合い方について(過剰な感染予防対策等)



護道への反響の大きさについて

2021-01-10 10:33:02 | 日記
1月8日の23時15分からNHKBSプレミアムにて「明鏡止水 武~KAMIWAZA」に廣木道心さんが登場し、短い時間でしたが、護道についての説明がありました。
廣木さんの語り口、立ち居振る舞いともいつもと同じでした。
ご子息、おーちゃんさんの写真も映りました。

そしてそのあとTwitterを検索してみると、たくさんの一般の人たちが「自他護身」の武道、護道を初めて知り感心しているのを知りました。
よかったな~と思いました。

でも考えてみれば、当たり前だと思いませんか?

障害と全く関係ない人たちでも、なんとなく、障害のある方がパニックとか、そういうのを起こしやすいことくらいは知っていると思います。
また、身内の高齢化とともに、そういう問題を抱える経緯をたどった方もいるかもしれません。
そういう人たちにしてみれば、専門性のある人たちがどう対処しているかうっすらとでも知りたい気持ちがあるかもしれません。

それに対して専門性()のある人たちはどういうソリューションを用意しているか。
実態はひどいもんです。
まず「医療との連携」という美名のもとに薬。生体が抗して、量が増えていきます。ご本人の健康被害を伴い、なおかつどんどん効かなくなります。でも現行医療はこの他に打つ手を知りません。

では福祉はどうでしょう。
彼らがやっているのはアリバイ支援です。
もちろん強度行動障害の人はいて、その人たちに対応しなければという問題意識は現場も行政も持っている。でも実のところ、やり方を知らない。
それでも何もしないわけにいかないので、あまり効果のない方法もしくは障害者を犯罪者と見立てたような強硬な手段のセミナーを開く。主催者の福祉法人にはそれで大金が入る。高い受講料を参加者はいとわない。なぜならそれに参加しただけで報酬に加算がつくから。この加算が目当てであって、強度行動障害に実際に対処できるかどうかはあまり気にしていない。そしてこの報酬の加算は、もちろんみんなが納めた税金です。

こんな実効性のないことに税金が使われているのを知ったら、一般の人たちはびっくりするし怒り出すと思います。でも知らないから実は役に立っていないことがばれずに医療も福祉も助かっている。障害者の世界への無関心ゆえにギョーカイが助かっている。けれども障害のあるお子さんの親としてはこういうことを知った上で将来を決めるべきですよ、ということでそのあたりの洗いざらいを廣木さんは今回『発達障害・脱支援道』に書いてくれているわけです。

まとめてみましょう。
行動障害がある人に対し

1 本人の健康被害を伴うことも多い薬漬け。
2 たいして効果がない予防法や強硬な手段のセミナーを公金でアリバイ研修。

という手段と

3 武道家のお父さんが障害のある我が子に対応するためにどちらも傷つけないための介助法を編み出した

だったら、圧倒的に3が一番いいと思うのが常識的な感覚ではないでしょうか。

そこを1や2がいいと思うのは村社会の論理ですよね。

だからね

一般社会と共存したい支援者・事業所の皆さんは護道や介助法を学んでください。
それが一番受け入れられやすいですよ。

福祉の仕組みを知りたい方、なぜ護道が生まれたかその経緯を知りたい方は『発達障害・脱支援道』をお読みください。

具体的な介助法については『自傷・他害・パニックは防げますか?』をお読みくださいね。



この本『自傷・他害・パニックは防げますか?』に「二人称のアプローチで解決しよう!」と副題を付けたのは私です。
行動障害に対するギョーカイのアプローチはあくまで三人称なんですよ。虫取り少年たちの発想なの。観察が主。解決は二の次。

それを一人のお父さんとしての発想から身体を落ち着かせる方法と介助法を編み出し御自分の息子さんに対しては奏功し、その体験だけでは広められないと低賃金をも省みず多くの現場に飛び込んで多くの人を落ち着かせていったのが廣木道心さんなんですよ。

福祉の世界の狭い感覚ではなく、普通の感覚で選べば
時代は護道を選ぶと思いますけど。