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ロサンゼルス1:UCLAの建築学科

2008-09-08 | インポート

いろいろあってロサンゼルスに来てます。他にいろいろあって、行ってる場合か?っていう感じもあったんだけれど、それを言ってると、年中「行ってる場合か?」なのと、一番大きな心配がほぼ解消したので、予定通り決行。

で、今回はUCLAの建築学科のレポート。

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こういうのをキャンパスっていうのか、って思うような、きちんとした雰囲気が備わっている。一つの街のようなスケールなんだけれど、広さも、緑の豊かさも、建築の質も、あるレベルを維持していて、計画全体として堂々としている。こういう由緒ありそうな建物もあれば、

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MLTW(C・ムーアら、シーランチを作ったチーム)のこんな建物や、R・マイヤーや、R・ベンチューリや、いろんなひとの建築がある。キャンパス内には、R・セラをはじめ、美術作品も少なくない。大学にこそ、もっとも質の高いものをっていうポリシーか。

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これが建築学科の建物。地下もあるのでかなり広い。キャンパス内のほぼ中央にある。2階のガラス窓の大きな部分が製図室。

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チェアマンである阿部仁史さんの部屋。就任して、もう1年半になる。今回は、LAでの阿部さんに会う、っていうのも目的の一つ。右が阿部さん。左奥は、アリ・セリグマンさん。くまもとアートポリスをテーマに論文を書いていたので、何度か会ったことがある。ここで再会するとは。


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部屋には、阿部さんらしいいろいろと気になるものが。仙台に戻るたびに、増やしていっているらしい。学科講演会のポスターとか、アニュアルの本とかも、ガンダムなテイストでまとめられている。プロの手によるデザイン。シャレも徹底している。

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製図室。明るくて広い。空間そのものも大きい。授業的にはオフシーズンなので、今はこの部屋は使われていないので片付いているが、戦いの後の空気感は伝わってくる。

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学生達の作品には、3次元局面の複雑で難しいかたちをしたものも少なくない。こんなものどうやってつくるんだろう、って考えていたら、模型製作用のワークショップ(工房)を見せてくれた。

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こういう大型木工加工機のがあるのは当然って言う感じで、いろんな種類の大きいマシンが並ぶ。ワークショップは当然、建築学科専用のスペースで、ここだけでもかなりの広さ。専従のスタッフや、機械の使い方の授業もある。

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これはレーザーカッター。PCに入力してアクリルとかを切り抜く。2台あって、どちらも需要が大きいらしく、24時間分30分ごとの予約表があった。休み中だけれど利用者がいた。こういう機械を用いる加工を、専門業者に発注したことはあるけれど…。

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これは3Dモデラー。どんなかたちの立体でもつくれる。いろいろなタイプがあるらしくて、UCLAにあるのは、トナーを積層させるようにして立体を立ち上げるタイプ。ギザギザもあまりない。当然、学生達も自由に使えるそうだ(材料費程度を負担)。

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学科専用の展示スペース。外部からの予算を元にした委託研究の成果などが展示されている(基本的に建築設計案)。こういう場所があるからこそ、予算も確保しやすい、っていうことか。

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学科の講演会スペースもある。人数が多い場合は、学内の別の場所を使うらしいが、ここもかなり広い。天井と壁には、学生達のプロジェクトでデザイン+自主制作したフェルト製の吸音パネル。まあ、ともかく、たくさんの意味で充実した研究環境でした。ワークショップくらいつくりたいもんだ。

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おまけ。
阿部さんの自宅には、自宅倉庫を改修した阿部仁史アトリエのロサンゼルスブランチがある。どこかのすっごい田舎町のように見えるけれど、ビバリーヒルズのすぐ脇の、街の中心。ハリウッドもUCLAも車で15分くらい。

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で、中にはやっぱりこれ。ぼくも自宅の設計をしているときに、等身大ZAKUを玄関において、印鑑置き場にしたいと思っていたことがあった(ぼくは量産型のほう)。ここで先を越されるとは。

ということで、LAレポート・UCLA編でした。

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