白鳩さんがモンコレで駄弁るブログ

わたくし白鳩がカードゲームの話を書き連ねるブログ

禁樹竜ラードーン

2010年04月08日 23時59分59秒 | 連載カード考察企画
カード考察第18回。
今回は久しぶりにリクエストを頂きまして
禁樹竜ラードーンです。

復活の破壊神で登場した英雄点2点の極稀カードですが
このユニットが英雄点2点を持つことに
納得している人はいないでしょう。
仮に英雄でなかったとしてもかなり使い辛い、
弱いといっていいカードです。
まず目に付くのは攻撃力0点。
別に相手にダメージを与えられる能力を持つわけでもありません。
代わりに攻撃力を上昇させる能力「大地の守護」がありますが
発動条件のイニシアチブ修正を与えること、は
それほど容易い条件ではありません。
またどうにかしてイニシアチブを与えても
完成するのは7/8/8のユニット。
イニシアチブ修正を与えるためにおそらくレベル1のユニットが
行動完了していますから実質8/8/9ですね。
イニシアチブ修正を与えるユニットを失うと
パーティが崩壊しますので
壁には出来ないと考えたら8/8/8かもしれません。
コンボでやっと完成させるパーティにしては弱すぎますね。

また土魔のスペル枠を持ちますが
土魔でイニシアチブを与えれるのは辛うじてメルトくらいです。
攻撃力と防御力を大幅に上げられるとはいえ
2枠スペルを使うのはコストが高いです。

土魔スペルとイニシアチブ修正を得ることで強化される特殊能力は
星剣姫のザッハークが引き継いだ性質ですが、
ザッハークデックがラードーンの強化のために加入した新勢力で
同じデックに収まるか、というと全くそんなことはないですね。
レベル7ですので偶数で統一されているザッハークとは
相性が良くもありません。
ザッハークと比較してみると、ラードーンの不完全さは
より顕著になるでしょう。
ザッハークの強みは特殊能力を無視しても
完成しているスペックにあります。
特殊能力が、それ単一で成立しているものでない場合は
それ以外のスペック面で標準に達していない限り
実戦に耐えられるユニットにはなりません。
コンボ前提の能力で且つスペックも標準に達していないユニットは
モンコレでは基本的にファンデックの範疇になります。
(幸いにしてGレギュではそういうカードは少ないです。
 あえて例を挙げるとすれば、ブリュンヒルドなどがそれ)
またイニシアチブをつけるタイプのコンボは、
数としては多彩ですがユニット間に互換性が低く
その意味であまり優遇されていないコンボだとも言えます。
イニシアチブ付与能力を主軸にしたコンボデックが
存在していればその系統の能力を持つユニットは
それだけで最低限の需要は満たすわけですが
ユニットばかりが増えるのにデックはいつまでも完成しないので
それ以外の要素で強くない限りは使われません。

さてこのユニットには他のユニットと
根本的に大きく一線を画す性質がありますね。
pixivイラストコンテストでイラストを募集したカードだという事です。
モンコレがイラストを募集するのは今回が初めてではありません。
Sレギュレーションの話になりますが
モリガンやカイム、アジ・ダハーカも
募集イラストを採用してカード化されました。

ただし今回と前回とで異なる点として、
今回はラードーンのスペック、能力が
企画段階のものすら公開されていないというのがあります。
これはかなり無茶な条件というか、
イラストレーターにイメージを丸投げした形になっています。
何しろ名前だけでは種族ドラゴンであるという事だけしか分かりません。
元ネタを探ると林檎を守る竜だという事は分かりますが、
モンコレではそれはあまり重要視されない部分がありますし
植木鉢を守るレベル1のドラゴンなのか、
世界樹を守るレベル8以上のドラゴンなのか、
どちらでもありでしょう。
ドラゴンといえば多くがレベル6かせめて偶数レベルなところを
正解はレベル7だったんですから計算違いをされた方も多いと思います。
ドラゴンマガジンの募集要項には英雄であるという事も書いていませんね。
もっとも、募集をかけたドラゴンマガジン9月号の発売日は7月18日。
英雄ユニットが初登場する構築セット2種の発売日は7月25日で
英雄がどういうものかの詳細なんて説明する事自体不可能だったわけですが。
イラスト的にはレベルが高いのに
ユニット性能とあまりにもかけ離れた竜を描いてしまったため
落選した方も居ないとは限りません。
推測ではありますが、これは
pixivイラストコンテストで募集を描けた時点では
ラードーンの能力は全くなにも決まっていなかったため、
ということはないでしょうか。
デザイナーはラードーンのイラストを見てから
インスピレーションを得てカードのデザインを考えたのでは。
そして出来たのが製品版の禁樹竜ラードーンだったのでは。

というのは、ラードーンのデザインは
英雄点2に見合わないその弱さを含め
やっつけくさいというか、テストプレイ不足の感があるからです。
特に怪しいのが能力で、ラードーンの能力は
「攻撃力にこのユニットの防御力を+する能力」です。
基本防御力ではありません。
ゲーム中に常に変動するデータであるその時点の防御力を
適宜+して防御力が変動する度に攻撃力も変動する
という難解な処理を要求しています。
ファントムの表記変更にその痕跡が見えますが
Gレギュレーション以降は、ステータスを増減する常動能力は
一旦数字が決まるとその戦闘中はその数字で固定になるように
表記に気を使うようになったんですね。
処理が煩雑になったら面倒だから。

まあ、ファントムはもっと表記を厳密にするために
 ○遺恨[戦闘]
 〈対象:このユニット〉
 「隊列変更タイミング」の開始時に、対象を「攻撃力:+n」する。
 「n」は自軍プレイヤーの隊列変更タイミングの開始時の手札枚数。
と書くべきだったと思いますけど。
今の表記だと読みようによってはやっぱり手札が減るたびに
攻撃力も減らすのか?と読めない事もないですから。

ラードーンのその時点での防御力を+する効果は、
ルール解釈に齟齬がでるような致命的な矛盾は発生しませんけど
イニシアチブの付いた7/8/8のラードーンに
キュクレインフラッドを使うと7/0/4になるという
少し小難しい計算を要します。
通例に乗っ取るなら「+基本防御力する。」と書くところだし
バランス上それでは弱いと思ったなら
固定値で+10とかにしても良かったし、
わたしには詰めのチェック作業が不十分なまま
発売に至ってしまったように思えます。
ラードーンが弱い理由もそれではないかということです。
締め切り直前で発案するカードは
想定外の強さにならないために慎重になる傾向があり、
そういうカードは不自然に弱いというのはありがちなことですから。

しかもイラストコンテストのテーマ素材であるから
セットの目玉になりえるようなデザインが
条件付けられていたとしたら
極稀で大型で、そして英雄である事だけが
先に上から申し渡されていた状態でデザインしていたことになり、
この条件で締め切りギリギリに
最低限、想定外の強さにはならないカードをデザインすると
英雄らしからぬ強さになってしまうのはある程度必然です。

英雄カードである事はあらかじめ決まっていたのだとしたら
募集が開始された時点では英雄の詳細が非公開だったのは
すこしアンフェアに感じますね。
全くイメージが決まっていない状態で、
デザイナーにいかにインスピレーションを与えるか、
ゲームに使わせたいと思わせるイラストを提供できるかが
イラストコンテストの主旨だとしたら
植木鉢を守るレベル1を描いた人も世界樹を守るレベル8を描いた人も
条件はイーブンだった事になります。
もし小動物みたいなドラゴンのイラストにインスピレーションを感じたら
それが当選してラードーンはレベル2以下だった可能性も
なくはなかったわけですからね。
が、英雄である事だけは最低条件だったとしたら
弱い竜を描いた人はその時点で候補から外された事になります。
まあこれはさすがに想像の範疇で、真実は分からないんですが。

今回はかなり推測に寄った考察になってしまいましたが
閲覧者の皆さんにも考察の種を提供する面白さも
あるということでたまにはご容赦ください。
ラードーンのため、というよりザッハークのために
魔スペル1枠にイニシアチブ/普通/対抗で
イニシアチブ+1&攻撃力+1を与える戦闘スペルでも出れば
少しは使いやすくなるのではないかと思います。
土スペルではなく魔スペルであるのは
魔スペルはすでに同時回避、同時誘発に使える戦闘スペルを
持っているからですね。
土に新たに与えるのは危険だと思いますから。
防御力ではなく攻撃力アップなのは
防御力も一緒に上がると猛毒の体液とコンボしようとしても
ダメージが届かなくなる可能性があるからです。
メルトと猛毒の体液はコンボが成立するようで
実際は成立してないのであれはずるいでしょう。
同時攻撃誘発にも使えるカードですが、
お互いのイニシアチブが±0の場合
アンラックで同時攻撃に誘導できる確率は42%です。
このカードだと44%。
特別強い事もないです。

カード考察第18回は以上になります。
当ブログでは取り上げるカードのリクエストを
随時募集しています。
この記事のコメント欄でもふるってご応募ください。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
考察有難う御座いました。 (ShuU)
2010-04-09 00:26:58
ラードーンの残念さは土魔デックの将来に期待したいです。
(聖杯髑髏、メリア、アスタロトが止まらない……)

ということで、以下をリクエストします。
《人面蛇ザッハーク》
以上、宜しくお願いします。
Unknown (白鳩)
2010-04-10 14:13:29
人面蛇ザッハークはリクエスト対象外のカードになります。
考察シリーズの対象になるのは
神霊獣から破壊神までのカードとしています。
なんで星剣姫のカードは除いているかというと
発売までの間にかなりコメントしてしまっているからですね。

シリーズが始まる前の3月15日の
記事名「カード考察シリーズが始まります」で断ったきり
リクエスト要件の注意書きをしていなかったので
これはわたしの落ち度ですね。
すみませんでした。
承知を致しました。 (ShuU)
2010-04-11 19:41:17
では、ご注意のに則ります。
まだであれば、以下をリクエストします。

《聖炎の女神スケグル》
以上、宜しくお願いします。
Unknown (白鳩)
2010-04-14 20:24:29
スケグルの考察挙げました。
過去最大ボリュームになっています。
実はスケグル考察は
以前から書き溜めていたものを
加筆編集したものなんですが、
それでも1日で終わりませんでした。

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