グッドイブニング、マイスィートホーム

wiiのダンス天国で勝負をしようと言われた。嫌だ、と断った。何が悲しくて男三人でAKBのI want you～を踊らなければいけないんだ？俺は帰る、と断った。どこに？と聞かれたのでこう答えた。

「my sweet home」

 

静かな僕の住処。ゆうべの風の轟音から一転して、今日は静かすぎるほど静かだ。

 

今日はダンプカーを運転して帰って来た。ダンプのウィーンって荷台が傾くやつ、あれ、初めてやった。面白い。

ドラッグスターは相変わらず、ひどく乗りにくい。クラッチは固いしアクセルは重いし、バックファイアの嵐 。緩やかなカーブでもステップが路面に着いてしまう。普通に乗っていてもマフラーに足が触れる。気がつくとズボンが溶けていた。借りておいてこんなことを言うのはなんだけど・・・最悪だ。基本的に最悪だ。

 

方向感覚がつかめない街がある。これは相性なのかもしれない。いくら居てもつかめない。そんな街がある。

富良野。大好きや町なのに、いまだに感覚がつかめない。坂戸の関間。中坊の頃から知っているのに、いまだに入り込むと迷ってしまう。アデレードもそうだった。

石巻。ここはまた格別。右に曲がって右に曲がったら、もと居た場所よりも遥か後方にたどり着いた。10分で行ける場所に、ゆうに30分はかかってしまう。もう迷いまくりなのだ。さっぱり分からない。

 

あと二週間でライブだ。久しぶりのシングソロ。高円寺の次郎吉。

石巻にいる間に、新曲を作って持ち帰るつもり。ぜひぜひ聴きにきて欲しい。10/30はシングソロライブ。高円寺の次郎吉。駅から徒歩三分。

 

今日は東松島に行った。色んな風景を心に刻んだ。
レールのない線路。高さ三メートルの水のライン。抜け殻になった家々。ボランティアに勤しむ人々。・・・コスモスの花。

 

昨日、ここに来て最初にしたこと。テントやタープ張るより先にしたこと。

テーブルを作った。そこらへんに転がってる端材を使って作った。テーブルがあると、キャンプが一気に快適になる。

簡単な作りだが、これがなかなかの優れもの。座っても壊れないほど丈夫。

 

グッドイブニング、マイスィートホーム。

今日はほんの少し疲れたよ。おやすみ。  

 

グッドモーニング石巻

ゆうべはさすがに眠かったはずだ。疲れていたはずだ。猛烈な睡魔に襲われること度々。でも・・・あまり眠れなかったな・・・。

ゴー！バタバタ！ゴー！バキッ！と音がするたびにテントから出て、タープを直す。緩んだロープや引っこ抜かれたペグを打ち直す。風の音が怖い。眠いのに怖い。

不思議なもので、なんとかしようともがいているうちは消えない恐怖や不安も、あきらめて、もがくのをやめるとあっという間に消えてしまう。

真夜中、バキッ、ズコッ、バキューン、ズダダダ、カランコローンという音。はい、もうあきらめたね。完全にあきらめたね、僕は。
もうそれからは、「あっ、テントに雨が当たり始めた。テントの上のタープが全部なくなったんだな」とか、「あっ、ポールが真っ二つに折れたなぁ」とか、ただぼんやりと想うばかり。だって、朝になって雨が止まない限り、僕に出来ることは無い。無い。無い。

そして朝。いまだに吹き続ける風の音で目を覚ます。雨は少し小降りになった。外に出てみる。・・・家屋以外は全壊だ。二枚の大きタープが、跡形もない。無残だ。


ここは石巻郊外の資材置き場。朝、何人かの人と会話を交わした。みんなが口々に言う。
「小屋の中で寝ればいいべ」
そう、ここには大きくて立派な小屋が二つ三つある。事務所にはエアコンも冷蔵庫もある。使用は自由だ。でも、そんなものは使わない。屋根と壁があったら、キャンプじゃないだろ？僕は旅行に来たわけじゃない。キャンプをしに来たのだ。この苦境に
打ち克って・・・

・・・あっ違う、仕事で来たんだった。

まぁいい。とにかく、敢えての格闘なのだ。

「ここの方が楽しいんで、大丈夫っす」と、僕は答える。本心だ。全壊した住処を目の前にして、ここの方が楽しいよなぁと、本気で想う。僕が変人たる所以だ。 うん、確実に変人だ。みんな笑う。

 

時間はある。  のんびりと快適な空間に変えて行こう。マイエボリューション。

 

グッドモーニング石巻。

雨は止まない。 

 

雨なのに、午後からは仕事だそうだ。雨なのに・・・。