ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

グイグイ来る看板。

2020-02-12 01:00:00 | Weblog
嵐山の隣に小川町という町がある。世界遺産登録をされたすごい町である。世界遺産に登録された町なんていうのは、日本に数えるほどしかない。すごいのである。

だがしかし、だがしかし、祝日に小川町の町中をテクテクと歩いていても、観光客なんてまったくいないし、「世界遺産」なんていう文字も目にしないし、まったくもって残念至極なのである。つまり、小川町という町は、まったくすごくない町なのである。
別にこれは、隣町の悪口を言っているわけではなくてな、「残念だなぁ」と、小川町の施策を嘆いているのである。

溢れるほどの自然と、古くて情緒のある街並みと酒蔵、安くて美味しい食べ物屋さんと世界遺産。そして全国に誇る有機野菜の産地。
観光客なんぞいくらでも呼べる、とはいかなくても、そこそこは呼べるはず。それだけのものは持っている。ポテンシャルはある。
でも、町は寂れきって、人影もまばら。賑わいとは縁遠い。にも程がある。

僕が思うに、小川町の町議会の議員なんてのは、ほとんどが保守派の年寄りでね・・・
僕が想像するに、革新的な意見も真っ当な意見も、ほとんどの保守派の年寄りに「反対!」って打ち消されてしまうんだろうなぁ・・・

とかね。

小さな町も、国も、同じ。

誰のためになんのためにやってんだ?

とかね。

まぁ、そんな話はいいとして。

小川町のかつての目抜き通りをテクテクと歩いていた。

「世界一旨え珈琲牛乳」という看板が目についた。

正確に書くと、「限定五杯、世界一旨え珈琲牛乳」。

どういうことだろうか?
謎である。
なぜ謎なのか?

それは、そこが、その店がラーメン屋だからなのである。

まぁ、書くのは自由だ。
世界一であろうがなかろうが、書くのは自由だ。
なんといっても、「旨え」というのは、主観だからね。
ミシュランが旨いといったものが絶対的に旨いというわけではない。

気になったから、道路を渡って、店の前へ行き、外から店内を覗いた。

メニュー表がある。
ラーメンのメニューがたくさん書いてある。まあな、ラーメン屋だからな。

一番下に書いてあった。

「世界一旨え珈琲牛乳、500円」

500円かぁ・・・。珈琲牛乳一杯500円。
・・・安くはない。

安くはないが、世界一旨え珈琲牛乳なら安い。

果たして、本当に世界一旨えのか?
そこが問題である。

どうするっかなぁ?と考えたが、気になって仕方がないので、ドアを開けてみた。

誰もいない。と思ったら、いた。おじさんがいた。

聞いてみる。もちろん
「世界一旨え珈琲牛乳、ありますか?」とね。

おじさんは言った。

「ないよ」

ないよ?
まあな、限定五杯だからな。

今日の分は売れてしまったのか?と聞いてみる。

おじさんは言った。

「今作ってるよ」

おっ、作ってるのか。

おじさんがさらに言った。

「出来上がるのは十日後だよ」

もはやわけわかめなのである。
謎なのである。

さらにおじさんは言う。

「出来上がっても、売る分はないよ」

さぁ、店を出よう。

すごく感じのいいおじさんだった。
旅先で会う旅人のおじさんのようなおじさんだった。嫌いじゃない。どちらかというと、好きである。

でも、謎すぎて、よくわからない。

再来週の木曜日くらいに行けば、もしかしたら世界一旨え珈琲牛乳を飲めるかもしれない。と推測する。可能性はないわけじゃないと推測する。

がしかし、やはり、謎すぎて、きっと飲めないと思う。

十日かけて作る珈琲牛乳。豆の焙煎から数えて十日らしいのだがね。まぁ、いいんだけどね。

嫌いじゃないおじさんだったから、また来ようと思う。
珈琲牛乳は飲めなそうだから、きっとラーメンを食べに来る。

無化調のラーメンらしい。きっと美味しいはずだ。

でもね、気になることが一つ。
メニュー表の一番上に書かれていたラーメンが、「トマトラーメン」だった。

うーん・・・そういう店には、あんまり行きたくないんだけどな。

小川町、面白い。小川町って、面白い。