「フレイル」という言葉をご存知でしょうか?
高齢化が進む日本では、75歳以上の後期高齢者が要介護状態となる原因に、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)や転倒、サルコペニア(加齢に伴う筋力の減少、又は老化に伴う筋肉量の減少)、尿失禁らと並んでフレイルがあげられており、この予防が大きな課題となっているようです。
私も先日の新聞でこの言葉を初めて知り、高齢者にとってはとても大事なことなので色々と調べてみました。少し長くなりますが概要をお知らせします。
(以下の内容は、「健康長寿ネット」や「糖尿病ネットワーク」などを参考にさせていただきました。
◆フレイルとは
厚生労働省研究班の報告書では“加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態”を言うようで、海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」に対する日本語訳です。
(「Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などになります。日本老年医学会は高齢者において起こりやすい「Frailty」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調したかったため、多くの議論の末、「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年5月に提唱したようです)
◆フレイルの基準
さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが採用されていることが多いです。Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。
1.体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
2.疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
3.歩行速度の低下
4.握力の低下
5.身体活動量の低下
即ち、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます
※ 以上は、少し抽象的な部分もありますので、国立長寿医療研究センターでは、もう少しわかり易いように、具体的な基準設定をしているようです。
1)体重減少:半年以内に2~3%の意図しない体重減
2)倦怠感:「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合
3)運動量:「軽い運動・体操(農作業も含む)を1週間に何日くらいしてますか?」及び「定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)を1週間に何日くらいしてますか?」の2つ問いのいずれにも「運動・体操はしていない」と回答した場合
4)握力:効き手で、男性27Kgs未満、女性18kgs未満
5)通常走行速度:(測定区間の前後に1mの助走路を設け、測定区間5mの時間を計測する)1m/秒(※時速に直すと3.6kmとなります)未満の場合
◆フレイルの状態になると
死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、
ストレスに弱い状態になっています。
例えば、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、転倒して打撲や骨折をする可能性があります。また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。
◆フレイルの予防
高齢者に発生しやすいフレイルは、適切に予防すれば日頃の生活にサポートが必要な要介護状態に進まずにすむ可能性があります。
フレイルの基準を提唱したFriedらは、フレイルサイクルについて下記の様なイメージ図を提示しています。

従って、フレイルの予防にはこのフレイルサイクルを断ち切る、或いはフレイルサイクルのスピードを遅くするための介入が必要で、フレイルの介入方法には、持病のコントロール、運動療法、栄養療法、感染症の予防などが挙げられています。
感染症に予防の為に、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種しておくのも必要ですが、基本はやはり運動と食事でしょう。
(運動)
・筋肉を増やすためには、有酸素運動が有効とされており、ウォーキングがもっとも取り入れやすい。最低でも1日5,000~6,000歩を出来るだけ早く歩くことで筋力の低下を防げるとされています。
・また、筋トレにも筋肉量増加の効果があり、ジムなどでトレーナーの指導のもと筋トレを中心とした運動を行うと効果的だが、家庭でもセラバンドというゴムのバンドを用いて安全に運動を行えるという。
(栄養)
・栄養状態が低下する前の食事面での早期介入も重要で、筋肉のもととなるタンパク質の摂取がポイントとなります。
高齢者では、タンパク質合成が低下しているため、タンパク質合成を促すためには成人以上にアミノ酸の血中濃度を上げる必要があり、十分なタンパク質を摂取する必要がある。
目安としては、フレイルの予防を考えると、性別を問わず体重1kg当たり1gのタンパク質を毎日食事から採ることが望ましいとされています。(肉や魚、大豆、牛乳などがタンパク質を多く含みます)
最近は良く聞くようになりましたが、高齢者も出来る限りタンパク質を摂取しながら、極力運動を続けることが、サルコペニアになるのを防ぎ、ひいてはフレイル予防になるようです。(まさ)
高齢化が進む日本では、75歳以上の後期高齢者が要介護状態となる原因に、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)や転倒、サルコペニア(加齢に伴う筋力の減少、又は老化に伴う筋肉量の減少)、尿失禁らと並んでフレイルがあげられており、この予防が大きな課題となっているようです。
私も先日の新聞でこの言葉を初めて知り、高齢者にとってはとても大事なことなので色々と調べてみました。少し長くなりますが概要をお知らせします。
(以下の内容は、「健康長寿ネット」や「糖尿病ネットワーク」などを参考にさせていただきました。
◆フレイルとは
厚生労働省研究班の報告書では“加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態”を言うようで、海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」に対する日本語訳です。
(「Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などになります。日本老年医学会は高齢者において起こりやすい「Frailty」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調したかったため、多くの議論の末、「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年5月に提唱したようです)
◆フレイルの基準
さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが採用されていることが多いです。Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。
1.体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
2.疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
3.歩行速度の低下
4.握力の低下
5.身体活動量の低下
即ち、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます
※ 以上は、少し抽象的な部分もありますので、国立長寿医療研究センターでは、もう少しわかり易いように、具体的な基準設定をしているようです。
1)体重減少:半年以内に2~3%の意図しない体重減
2)倦怠感:「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合
3)運動量:「軽い運動・体操(農作業も含む)を1週間に何日くらいしてますか?」及び「定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)を1週間に何日くらいしてますか?」の2つ問いのいずれにも「運動・体操はしていない」と回答した場合
4)握力:効き手で、男性27Kgs未満、女性18kgs未満
5)通常走行速度:(測定区間の前後に1mの助走路を設け、測定区間5mの時間を計測する)1m/秒(※時速に直すと3.6kmとなります)未満の場合
◆フレイルの状態になると
死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、
ストレスに弱い状態になっています。
例えば、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、転倒して打撲や骨折をする可能性があります。また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。
◆フレイルの予防
高齢者に発生しやすいフレイルは、適切に予防すれば日頃の生活にサポートが必要な要介護状態に進まずにすむ可能性があります。
フレイルの基準を提唱したFriedらは、フレイルサイクルについて下記の様なイメージ図を提示しています。

従って、フレイルの予防にはこのフレイルサイクルを断ち切る、或いはフレイルサイクルのスピードを遅くするための介入が必要で、フレイルの介入方法には、持病のコントロール、運動療法、栄養療法、感染症の予防などが挙げられています。
感染症に予防の為に、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種しておくのも必要ですが、基本はやはり運動と食事でしょう。
(運動)
・筋肉を増やすためには、有酸素運動が有効とされており、ウォーキングがもっとも取り入れやすい。最低でも1日5,000~6,000歩を出来るだけ早く歩くことで筋力の低下を防げるとされています。
・また、筋トレにも筋肉量増加の効果があり、ジムなどでトレーナーの指導のもと筋トレを中心とした運動を行うと効果的だが、家庭でもセラバンドというゴムのバンドを用いて安全に運動を行えるという。
(栄養)
・栄養状態が低下する前の食事面での早期介入も重要で、筋肉のもととなるタンパク質の摂取がポイントとなります。
高齢者では、タンパク質合成が低下しているため、タンパク質合成を促すためには成人以上にアミノ酸の血中濃度を上げる必要があり、十分なタンパク質を摂取する必要がある。
目安としては、フレイルの予防を考えると、性別を問わず体重1kg当たり1gのタンパク質を毎日食事から採ることが望ましいとされています。(肉や魚、大豆、牛乳などがタンパク質を多く含みます)
最近は良く聞くようになりましたが、高齢者も出来る限りタンパク質を摂取しながら、極力運動を続けることが、サルコペニアになるのを防ぎ、ひいてはフレイル予防になるようです。(まさ)