老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

国民を馬鹿にした衆議院解散  その① ~解散・総選挙の意味~

2017年09月26日 20時20分31秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
 少し前から懸念されていた通り、安倍首相は9月28日の臨時国会冒頭で、所信表明演説もしないままに、即解散という挙に出るようです。まるで、“この国の政治には言葉は不要”とでもいうように…

 元々、海外の政治指導者と比べて、我が国の政治家は国民、特に若者たちの心を動かす言葉を発したことは殆ど記憶にありません。

その大きな要因は、政治家の多くが、

◆人間の根源に訴える誠実さや教養などに基づく言葉は、政治家にとって必要な要素だとは思っていないからでしょう。

◆彼らにとって“政治”とは所詮党内や政党間の駆け引きであり、自分あるいは自分の属する集団などの権益を守るものであり、国民の利益を守るために将来にわたる国家の在り方を真剣に検討するために自分達が権利を委託されている、国民の奉仕者であるというような自覚などは微塵もないのでしょう。

◆更に、敢えて言えば、独裁とは違って少数意見を汲み上げるシステムであるはずの民主主義を、小学校のクラスでも行わないような多数決が全てというような、システムだと考えているのでしょう。


 特に、安倍政権の酷さは目に余ります。

◆閣僚や官僚は、まるで全員が認知症でもあるかのごとく「記憶にない」とか、「記録にない」果ては「法に則って処理している」との繰り返し。

◆官僚は上の人の気持を忖度することを得意としていることは殆どの国民が気付いているにも拘わらず、自分や家族や友人が政策遂行に関連する所に名前を貸したり、或いは名前を使われるのを黙認しながらも、“自分は関与していない”と言い張る傲慢さ。

◆今までの国会等の演説で口にしたことでも、都合の悪いことはすぐ忘れる。
・2020年までに国家財政健全化の道筋をつける
・福島第1原発の事故はアンダーコントロール  など…
また、一番近いことでは、「仕事人内閣」と銘打った内閣が、国会で何らの仕事をしないままに総辞職になるのもこの類でしょう。

 目的は唯一つ“政権維持”だけで、政治に対する真心や一貫性などはなく、その場その場を一見目新しくは見えるものの、中身が空虚なスローガンで誤魔化かすと共に、説明困難な事項は少し焦点をずらして色々なコジツケを図る手段で乗り切っていますが、今回の解散・総選挙でも全く同じ手法を用いました。


 マスコミなどに今回の解散に大義名分がないと指摘されるのが余程嫌なのか、何と北朝鮮の挑発と、少子高齢化による財政悪化を何と“国難”として、これに対する政策を問うためというコジツケをしました。

◆前者は、何も解散の必要はなく、政権担当者として、日頃から準備しておくことでしょう。

◆後者についても、如何に安倍さんでもそこまで言うか??という感じです。
・随分前から少子高齢化は日本の重要な課題として色々取り上げられており、政権担当者として当然に色々な対策を立て置くべきものでしょう。また、全ての世代の社会保障に気を配るのは、どのような政権であっても当然なことで、何も安倍政権時に突然に湧いてきた課題などではないはずです。

・それなのに、少子高齢化がまるで突然に持ち上がった災難とでもいう捉え方で、不足する社会保障費に対して消費増税分の一部をこれに優先充当せざるを得ず、これによって消費税増税分の全額を国の財政健全化に回すことが出来なくなるので、国民の理解を取り付けたいとのコジツケです。

・これは、全く理論のすり替えです。
当初に安倍さんは、アベノミクスの推進で税収入を増やして増大する社会保障費に充当し、消費税増加分は、国の借金減少に当てて、2020年度には国家財政健全化の道筋をはっきりとさせると公言したはずです。

・その要であるアベノミクスが思うように効果を出せず、公約していた2020年度の財政健全化目安が難しくなり、その為に野党が以前から要求していた幼児教育の無償化という政策をまるでこれが自分達の政策かのように仕立てると共に、“全世代型社会保障”という訳のわからないスローガンを打ち上げて、あたかもこの為に消費税増加分の全額借金減少への充当が難しいという、理論にすり替えたのです。



 以上のように、今回の大義なきコジツケ解散・総選挙は全く意味なく国民を馬鹿にしたものであり、このような馬鹿げたことに対して、約600億円とも言われる国費を平気で浪費することに対する国民の対応が見ものです。

 更に、安倍首相は今までの選挙では、「安全保障関連法」「共謀罪法」も主たる争点として明確に訴えなかったのに、選挙後はこれらが最重要課題として、強行採決で成立させた実績がありますが、果して今回の選挙後には何を企んでいるのでしょうか。(まさ)