詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

共謀罪成立の日に、なぜ文部省の文書は公表されたか。(安倍の手口)

2017-06-17 11:14:31 | 自民党憲法改正草案を読む
共謀罪成立の日に、なぜ文部省の文書は公表されたか。(安倍の手口)
               自民党憲法改正草案を読む/番外86(情報の読み方)

 共謀罪が成立した日、加計学園に関する文部省の文書が公表されたか。
 共謀罪への批判を封印するためである。
 だれもが加計文書と文部省、内閣府の対応に注目する。実際、報道は加計学園文書に集中している。共謀罪がどのように運用され、市民生活がどんなふうになるか、もっともっと検証しなければならないのに、それはほったらかしにされている。
 今後、それがなふうに運用され、どんなふうに言論が弾圧されるかということに対しての議論は脇に追いやられてしまった。
 政府側の「あいまい」な答弁(説明)は、さらに共謀罪隠しに仕組まれている。
 あからさまな「嘘」を聞き、誰もが怒る。怒ると、思いはその「怒り」に集中する。
 共謀罪が成立した(強行採決された)ということが、「過去」に葬り去られる。
 たった一日で、そういう「印象操作」が行われる。

 このことを、私たちは忘れてはならない。

 安倍のブレーンが誰なのかわからないが(電通なのだろうけれど)、この世論誘導作戦は、昨年の参院選の「選挙報道をしない/報道させない」という沈黙作戦以後、非常に巧みになっている。
 私は、安倍が「加計学園の文書」を「徹底的に、速やかに調査するよう指示をした」というニュースを読んだとき、「時間稼ぎ」と思い込んでしまった。「調査中だから答えられない」というための「方便」だと思った。
 たしかに、それは「方便」だった。実際に、国会答弁は「調査中」と逃げまくっていた。
 だが、それだけではなかったのだ。
 「調査結果」を共謀罪を強行可決した日に公表し、強行可決したことへの批判をはぐらかすために工夫されたスケジュールだったのだ。
 あまりにも「巧妙」な手口である。
 だれも予測しなかった手口である。
 「答弁逃れ、時間稼ぎ」「共謀罪を成立させるため」という指摘は、他の人もいっていたが、だれも、共謀罪を強行採決したあと、批判がそこへ向かわないようにするために、つまり視線を逸らすために「仕組まれている」と予測しなかった。
 私自身、そういう予測はしなかったし、そういう指摘も読まなかった。

 参院選挙前まで、選挙とは「連呼」が象徴的だが、ともかく名前を売ること、有権者に触れることが「勝利」につながると思われていた。だからこそ政策をそっちのけで、ただ名前を叫ぶということが行われていた。
 ところが、実際に「効果的」なのは、選挙活動を封じることである。選挙があるということを知らせないことである。知らせないと、必然的に「有名な」、つまり巨大政党だけが目立つ。少数意見は誰の目にも触れない。--これが昨年夏の自民党が大勝した参院選の「沈黙作戦」である。

 大事なものに、目を触れさせない。大事なことを指摘させない。

 同じことが、強行採決→文部省の文書公開という過程で行われたのだ。
 安倍の意向が働いたのかどうか(行政が歪められたのかどうか)は、もちろん大事な問題である。しかし、この問題は「はぐらかし答弁」で逃げきることができる。内閣府の発表と文部省の言い分が食い違っているが、このことさえ、そこに国民の目を集中させるための、安倍の手口かもしれない。

 私たちのこれからの生活にじわじわと影響してくる共謀罪。それはいったいどういうものなのか。それを考えさせないための作戦なのである。


 
 で。(これから書くことは、別項です。)
 私は、あえて「加計学園問題」(安倍の意向問題)ではなく、共謀罪について書いておくことにする。

 共謀罪について、いろいろな例が語られている。こんな場合はどうだろう。
 安倍政権を批判する集会が開かれる。そこで、こんな発言がある。
 「安倍は許せない。安倍内閣は総辞職すべきだ」
 「総辞職に追いこもう」
 「打倒、安倍内閣」
 「安倍を倒せ」
 「安倍内閣を存続させてはならない。安倍内閣を存在させるな」
 みんなが、そうだそうだと叫んでいる。
 そして、ここにひとりのテロリストがいる。そのテロリストも、同じように叫んでいる。そしてテロリストは「安倍内閣を存在させてはならない」ということばを文字通り実行したとしよう。「倒せ」を実行し、「存在させない」を実行したとしよう。簡単に言うと、安倍を抹殺したとする。
 このとき、その集会に参加したひとたちはどうなるのだろうか。
 テロリストがいることを知らない。
 「倒せ」「存在させてはならない」が「殺す」という意味とは思わずに叫んでいる。「辞任」あるいは「総辞職」と同じ意味、「比喩」と理解している。けれど、実際にそのなかの一人がテロリストで、それを実行したとしたら?
 そこに参加していた人は、みんな「共謀罪」が適用されるのではないだろうか。
 安倍をたい追い込もう、辞任に追い込もう、総辞職に追い込もうという意味でつかっていたと主張して、その主張を聞いてもらえるのか。
 
 さらに、その集会に参加していた一人が、会社で、あるいは近所で、「私は安倍の政策には反対だ」と語ったとしよう。その会話のなにか参加していたら、そのひとがたとえ安倍批判の考えを持っていなかったとしても、あのとき、あの男と話していたではないか、ということで共謀罪の対象にならないか。あの男の話を聞いていた。きっと安倍批判の意見を持っている。テロリストと関係がある。

 さらに「関係」は拡大できる。
 最初に書いた集会に、たとえば私が参加していたとする。私はブログにいろいろな思いを書いている。詩を書いている。映画の感想も書いている。それを読んだ人は、また、安倍批判の考えに同調しいる人だと判断される。つまり、テロリストと関係がある。

 そのなかに、たとえば、こんなふうに考える人がいる。
 あ、あの男は安倍批判をしている。きっとテロリストと関係がある。私はたまたま同じ会社(家が近くだった)ために、その男の話を聞いた。「安倍を許さない」という発言に対して、即座に「いや、安倍は正しい」と反論しなかった。何かあったとき、疑われては困る。疑われる前に「あの男は安倍批判を言いふらしていた」と密告しよう。密告することで自分の安全を守ろう、と思うことはないだろうか。
 自分が疑われないために、疑われて共謀罪を適用されないために、疑わしい奴を密告する。密告することで、自分が「権力の味方」だと知らせよう。そう思う人が出てくるかもしれない。

 テロというのは、権力の側から反権力に向けておこなわれることもあるだろうが、一般的には反権力の側から権力に対して行われるものだろう。権力を持たない人間が、権力に対して打撃を与えるために(あるいは自己主張をするために)行うものだろう。
 権力批判は、ある意味でテロリストの思考を支えることになる。
 権力批判はテロの温床、テロリストの温床と見なされかねない。
 あの人は権力を批判していた。きっと行動するだろう。そう思う人が出てくるだろう。あの集会で権力批判を大声で叫んでいた。私は何も知らずに誘われて集会に行った。疑われては困る、だから誰が集会に参加していたか、「密告」することで自分はテロリストとは無縁であると証明しよう、そう思う人が出てくるかもしれない。

 この「密告」は権力によって推奨されるだろう。
 誰もが「密告」を恐れ、沈黙する。自分の発言の、どこことばをとらえて「テロリストの考えに似ている、きっとテロリストを支援している」と言われるかわからない。
 だから、沈黙しよう。「沈黙は金」だ。

 これでは、あらゆる政権批判の集会はできなくなるし、政権批判のデモもできなくなる。デモノそばを通る、デモに共感するということもできなくなる。
 さらには選挙で共産党や民進党に投票することもできなくなる。「安倍の政治はすばらしい。自民党に投票しよう、と呼びかけてみた。そうしたら、いやな顔をした。きっと野党に投票するに違いない」。
 このことを警察に連絡しておこう。テロリストを支援している恐れがあると密告しておこう。


 思うことと、実際に行動することは違う。
 殺人事件を審理する「12人の怒れる男」のなかにも、思わず「殺してやる」と叫んでしまう男が登場する。それは、とっさの「ことば」に過ぎない。「怒り」をあらわしているのであって、「殺意」をあらわしているわけではない。
 けれど、「殺してやる」と言ったではないか、とそのことばだけをとらえられて、「殺意をむき出しにした」と言われかねない。

 テロリストを断罪することは正しい。人を殺すことは正義に反する。
 だが、断罪できるのは、実際に行動を起こした人間に対してだけである。ひとは考えたこと全てを実行するわけではない。実行できるわけではない。
 共謀罪は、行為を取り締まり、断罪する前に、思考を取り締まる。



#安倍を許さない #憲法改正 #加計学園 #天皇生前退位
 
詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
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