MOMENT

レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

血染の代紋

2020-04-19 19:42:45 | 邦画
先月から、東映チャンネルでは先ほど亡くなられた梅宮辰夫兄いの追悼OAが始まっており
東映時代の辰兄いって言ったらいわゆる軟派的な作品が多く、先月は「不良番長」とかのメモリアルOAでしたが
今月は、「花札賭博」とこの「血染の代紋」と言った硬派な作品でしたので、「不良番長」シリーズはDVDが全作揃っているってことで
コロナ禍に負けないぞってことで、東映チャンネルで録画したこの作品を・・・
 
なんと深作欣二さんの作品だったんですね
ってことで東映東京撮影所作品でして、昭和40年の横浜が舞台の現代任侠劇でしたが
見終わってネットで、こんな仕様のポスター画像を見つけました
 
出演者全員が着流しですね
さらに予定されてんでしょうか、ヒロインに藤純子さんでして一番おっきい図柄ですが
出演されてません
若山富三郎さんも出演されてません
ヒロインは宮園純子さん、主役の文太兄いと辰兄いには絡まれません
鶴田浩二御大の姐さん役ですね
若山さんの立ち位置的な役に長門勇さんが・・・
ま、時代的には“止めてくれるなおっかさん・・・”に迎合したポスターだったようで
 
実際の映画の内容は、戦後20年警察庁の暴力団壊滅作戦が効を奏し、
僅かな利権を争い自滅・共倒れ・解散していく暴力組織が生き残りをかけて
いわゆる”企業化“して生き残っていこうと足掻く様を深作流に描いていて
一応は近代化の悪徳ヤクザと古い任侠道を細々と守っていこうっていう手垢のついたヤクザ映画のパターンからは逸脱してないんですが
深作さん「仁義なき戦い」を撮る過度期にあたる作品に当たるのかな
内藤誠と共同脚本ですね
 
横浜の港湾用地の巨大コンビナート建設に関わるゼネコンによる用地買収の為に
そこに不当に居座る貧困層のスラム街の住人の立ち退きの業務を文太兄いの弱小ヤクザが引き受けた所から話が始まります
が、実はそのスラムで孤児として育ったのが文太兄さん
ある意味矛盾を孕んでいるわけで
そこで一緒に育った辰兄いが立退き金目当てでやってきて
 
さらにシマを広げる利権として東京から渡辺文雄の悪党組織が
さらにこれまた立退金目当ての浮浪者として長門勇まで現れて
 
スラム街で生まれ育った二人の男の葛藤劇の中で、さらにもっと古臭いヤクザの鶴田浩二までが登場してくるわけで
“貧困街の住人の身長と立退料を目的に居座る余所者”“目的を達成させる為には手段を選ばず仁義もへったくれもない巨大組織の非情さ”がいわゆるがまん劇のプロットの中で交錯する中で何人かが命を落とすことで
ついに辰兄いと文太兄さんの堪忍袋の緒が切れます
辰兄いは最初から最後まで実はボクサー崩れの堅気なんですね
 
ボクサーとして目をやられてチャンピオンの夢破れた辰兄さん
弟分のケン・サンダースに自分の夢を託すために立退金が必要だったものの
巨大組織に弟分を殺されて組織に牙を剥く羽目に
辰兄はキャスティングクレジットではトップですが
文太兄さんがシーンもカット数も多い作品だったようで・・・
 
これまたスラム育ちで今も両親がそこで生活してるんものの組に命を捧げてい死んでいく
待田京介の芝居はこの作品では肝となる見所ですねぇ
鶴田浩二はこう言ったワンパターンの芝居しかできないが、そこに彼のみにしかできない哀愁と色気を感じさせる
 
最終的に殴り込むものの、全員が死んでしまうのもこの時代の深作節だったような気がする
「不良番長」や「夜の帝王」シリーズのイメージが強い辰兄いのイメージですが
実はヤクザ映画にもかなりな作品に主演されていたんですね辰兄いは
来月なんぞは高倉健さん客演の作品もOAされるようです
 
1970年製作、日本映画、東映作品
深作欣二脚本・監督作品
出演:菅原文太、梅宮辰夫、待田京介、宮園純子、曽根晴美、南廣、鈴木やすし、ケン・サンダース、室田日出男、沢彰謙、渡辺文雄、内田朝雄、長門勇、鶴田浩二
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拷問百年史

2020-04-19 17:22:12 | ピンク映画
もう4年くらい前にLDという販売会社が、スターボードという会社から大蔵映画のピンク映画をR−15を含めてリリースするのに対抗して新東宝映画のピンク映画を発売し始めて
同時に新東宝はフィルムジャンクを始めたようで
ピンク映画っていうことで購入してはいたものの、なかなか見る機会に恵まれなかったり
未見の山に埋もれていたりしてるんですが
 
ここんとこコロナ禍の影響で、レンタルDVDが特需を迎えておる状況で借りるのも大変で個人的に未見の山を漁ってみました
全長63分の尺という短さと監督が若松孝二ってことで見ることに・・・
 
ピンク映画ですからねぇ、主眼は女性の裸主体ですが
秀吉から受け継いだ江戸幕府の切支丹弾圧の拷問から
今次大戦の日本軍の中国大陸での蛮行とも言える社会の暗黒の歴史を

そこはピンク映画ですから拷問される人物を女性に限定して
オムニバス形式で作られた映画
1975年の作品ですので画面は35mmサイズ
ジャケットの仕様書には"モノクロ"と表記されていますし
ジャケットの絵面もモノクロなのですが、新東宝のロゴからカラー
と言うことでカラーライズしたかどうかわかりませんが
この時代のピンクって濡れ場だけカラーとなるパートカラーだとかおもいましたが
全編カラー作品となってました
ここいら結構いい加減なLDっていう会社
なんか2、3年毎月5本ほど発売してましたが、いつの間にか販売しなくなっているし

まずは中世から近世にかけてのキリシタン弾圧のお話
同心は浜辺で仲間の隠れ場所を吐かせようと女クリスチャンに性的な辱めを与える
そしてキリシタンを摘発しようとし、隠れ場所に侵入しその場の女クリスチャンたちに拷問を繰り返しますが、
彼女たちは拷問され、犯されても決してその信仰心を曲げずに殉教していく
っても同心になぶられた挙げ句に殺されるだけなんですが・・・

そして、その拷問の歴史は権力者が変わっても不変で
明治時代ですから不義密通の罪を着せられた書生と妾の男女。
縄で吊るされ鞭で打たれ重石を乗せられ、散々に拷問されそして二人とも死んでいく

拷問の歴史は、大正・昭和になりますます熾烈化していきます。
社会主義者への弾圧を中心に、憲兵・特高が拷問の主体になって
ある社会主義者の女は、吊るされ裸に剥かれて組織の情報を喋るように強要されますが信念を曲げんため
その娘を連れてきて母娘揃って辱めと拷問を繰り返し行います
娘は拷問果てに犯され殺されたことで、自分の信念を貫いてたために娘を犠牲にした女は
その償いとして舌を噛み切って自殺する

そしてあの忌まわしき戦争へ・・・拷問は軍部に跋扈し、それは植民地へと拡がり、
現地の女性に対する強姦致死、また抗日パルチザンの虐殺へと発展していくわけで
天皇陛下の名のもとに現地の女性を拷問し犯した後に、虐殺する軍人と言うか、
憲兵の腕章をつけてましたね憲兵のなんともえげつない行為です。
そして、敗戦。しかし拷問は権力者によって地下に潜って綿々と続いていくよって言うおわりかた

それがいいのか悪いのかは見るものに委ねてる訳ですが、そこは若松孝二ですから
娯楽映画としてはある意味メッセージ性の強い作品です
私個人的には、ある程度暈しは仕方ないと言うか、この時代の日活やピンク映画の暈しは前貼り隠しと認識してたんですが
ピンク映画の矜持なのでしょうか実に上手に股間隠しのカメラアングルのために
暈しはないのですね、肝心要の部分とカメラの前に物体を置く手法でしたねぇ

1975年製作、日本ピンク映画、新東宝映画作品
若松孝二監督作品
出演:中島葵、小杉じゅん、吉田純、南ゆき、野上正義

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