宣セーショナル

宣承をひらく

『線香あげだいなぁ…』

2015-06-11 12:55:34 | 日記
光寿苑を留守にしている間、とてもありがたい出来事があった。

5月の末、末期の胃がんのため、看取りの面談をしていたYばっちゃん。
少し食べても嘔吐してしまう日々の中、Yばっちゃんの望みをあれこれ考えていた私たち。


『家で線香あげだいなぁ…』


光寿苑に来てから、実に丸12年が過ぎていたYばっちゃんは、先に亡くなられた旦那様や、去年、若くして往ってしまわれた息子様への強い思いを聞かされていた私たち。

きっとYばっちゃんは行きたいのではないか…。今だからこそ…。

そう考え、Yばっちゃんに尋ねた。


『行ってみでぇなぁ。でも、こんな体だがら、迷惑かけるべなぁ…。』


遠慮がちだったけれど、ご自宅への変わらぬ思いをヒシヒシと感じた。
ご家族にも相談し、Yばっちゃんの誕生日『6月8日』に行くことになった。


嘔吐する日々は続きつつも、無事に8日当日を迎えた。

【ここからは、担当さんの記事を参照に…】

「天気も良いしていいな」


と笑顔で元気に出発。車中、


「おらが掘った穴さ狸が落ちたものだ…」


等々昔話をして和やかムード。
自宅へ着くとお嫁さんが出迎えて下さり、車いすのまま仏壇の前まで行き、手を合わせる。お嫁さんが旦那さんと息子さんの写真を手渡すと、涙を見せるYばっちゃん。お嫁さん、


「父さんの写真見えますか?」


と聞くと、本人、


「ここが肩で…♪」


と話し始める。しばらく仏間で過ごされた後ケーキとお茶を準備してくださりチョコケーキ少し食べお茶がおいしいと飲んでいる。
お嫁さんから爪切りをしていただいている。昔話に花を咲かせた後、仏間に行き鐘を叩く。その表情はとても柔和で、穏やかだった。

車に乗るとき、お嫁さんより、


「母さんまた来てよいつでも玄関を開けて待っているから」


と声をかけて下さる。Yばっちゃん、安心した面持ちで帰路につく。

いつもは嘔吐で苦しい思いをされているのに、外出中は嘔吐もなく元気にお話をして過ごされていた。

【以 上】


思いの力、家の力、ご家族の力…とてもありがたい時間を私たち職員は賜り、また一歩、成長させていただいているのだ。

おかげさまです♪