週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
045-941-3541

暮のご挨拶と【修正会】のご案内

2010-12-31 01:47:37 | 行事のご案内

今日で2010年も終わり。
毎年、ようやく西暦と年号を考えることなく答えられるようになった頃に、もう次の年が始まる時期になっている…そんな脳の老化を感じる年の瀬です。

皆さんはこの一年、どのような日々を過ごされたのでしょう?

わたしの個人的な出来事を挙げるなら、息子の成長はもちろんですが、やはりこのブログを始めたことで、意識や生活などが変わっていったことが一番に挙げられるかもしれません。

日々の出来事を、受け流すのではなく、切り取って言葉にする。
簡単なようで難しく、難しいようで単純な作業。

けれど、それを習慣づけることで、自分がこれまでいかに無感動で無関心に生きてきたのかということに、気づかされた日々でした。

一年の出来事を思い返してみると、それはそれは多くの思い出と記憶が蘇ります。
印象に残ったものから、何気ない日常のワンシーンが何故か頭をよぎったり。
本当にたくさんの出来事を思い出すのですが、そうやって振り返った時間は、ものの数分で終わってしまいます。

自分の中に残る2010年は、365日という時間と比較すれば、ほんの一瞬のこと。
けれど皆さんが思い出す、その「ほんの一瞬」の中に最乗寺が残れるよう、2011年も努めて参りますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

さて、明日の元日は午前9時より本堂にて【修正会】が勤まります。
例年、同時刻に行われていましたが、皆さまにきちんとお知らせしたのは今年が初めてです。
法要終了後に、冷えた体が温まる、お汁粉の接待もございます。
どうぞご家族おそろいで、お参り下さいませ。

ではお終いに、今年最後の写真を……。



アンパンマンパン(笑)

龍くんが食べるので、あんこ入りではなくメープル風味のパンを作りました。
来年はこんな日常も切り取って、お伝えしていけたらと思っています。


相応しい薬

2010-12-29 00:48:50 | 仏教小話

…胃が痛い。

朝食を食べると、だんだんと胃が痛くなってくる。
そろそろ我慢の限界になってきたので、仕方なく徒歩3分の林医院へ。

ここは先日、熱性痙攣を起こした龍くんを抱えて飛び込んだ病院でもあり、その風邪をもらった私がお世話になったとこでもある。

さて、私は病院で処方してもらった薬を飲めば治るというほど、単純な体質ではない。
抗生物質に弱い私の身体は、飲むと免疫力が低下してしまい、違う病気に感染する可能性が高くなる。
今まで、そういう経過を辿った結果、医療費が風邪の何倍にもなってしまったことは数知れず…。

というわけで、風邪をひくと必ずと言っていいほど処方される抗生物質を拒否する代わりに、膨大な種類の薬を渡されるのだが…こんなに飲んだら、返って身体に悪いんじゃないかと逆に心配にもなってくる。

だが、それは抗生物質が飲めない私のために、私に合わせて処方された薬。

なんとなく、【応病与薬】という言葉を思い出した。

お釈迦さまは自身の悟りを、体系付けた理論として語られたりはしなかった。
必ず相手の質問を受けて、その質問の内容や相手の理解の程度に応じて、答えていったという。

相手の苦悩に応じて、もっとも相応しい教えを説く。
苦悩という【病】と、教えという【薬】

同じ風邪でも、一人一人の症状は違うもの。
年齢や性別、体質などによって、同じ薬では思うような効能が期待できないときもある。
トータルで鑑みて、一番効果が期待できる薬を処方する…それが【応病与薬】。

そして、お釈迦さまの教えも【応病与薬】と言われるように、相手の人柄や性格によって、一人一人に合わせた言葉で説かれていた。

お釈迦さまは、多くの人との関わりの中に生きられた人。
その教えの数は、あまりに膨大であることから、無数を意味する「八万四千」とも喩えられていて、経典や宗派が多数あるのもまた、そのところに寄っている。

ちなみに以前、「仏教の経典を簡単にまとめるとどうなるのか?」という質問に対して。

「それは『頭痛薬と下痢止めと水虫の薬をまとめるとどうなるのか?』と聞いているようなものです」と答えた人がいた。

仏教の最大の特色は、信仰を強制したり、信じなければ罰が下るような取り引きや、仏と人との間に脅しのような契約的なものがないということ。
八万四千もの法門の中から、自分を省みた上で、自分が頷けるみ教えを、自分で選び取るということが、連綿と受け継がれてきた歴史の中で行われてきた。
そこには、我々が選び取る以前から、常に差し向けられている救いがある。

だからこそ、自分に合った薬が頭痛薬なのか、下痢止めなのか、水虫の薬なのかを知ることが重要だと思ったけど…。
ふと、例えにある薬をまとめたような、画期的で素晴らしい教えもあるんじゃなかなと、浄土真宗のみ教えに生きる者として考えたりした。

さて、林医院で採血などをして、年明けの結果を待つまでの間に飲む薬を処方される。
今回は細菌が原因ではないため、抗生物質はなし…とりあえずは一安心。


寺報の反応

2010-12-27 01:36:18 | 近況報告

先日発送した寺報【最乗寺だより】を読んでくださった方から、嬉しい反応がありました。

一つは、≪親鸞聖人750回大遠忌法要・神奈川組団体参拝旅行≫への新たな申し込み。
そしてもう一つは、仏壮の研修会への参加希望です。

どちらも、この数年の間に最乗寺とのご縁が結ばれた方々です。
こうして新たなご縁で繋がった方が、私の作った寺報を読んでくださっているということが、何よりも嬉しいっ!

そして、この【週刊 最乗寺だより】からの反応があったらもっともっと嬉しいと、更なる欲を持ってしまいました。

仏壮(神奈川組仏教壮年会)での研修会行事などは、このブログでも紹介しています。
こちらをご覧になって、興味を持たれた方は、どうぞ最乗寺までご連絡ください。

また、来年の春以降から、連研(神奈川組連続研修会)が始まる予定です。
グループに分かれ、テーマについて話し合いをし、それぞれの考えや思いを伝え聞く研修会です。
僧侶による講義もありますが、連研はご門徒さんが中心となる研修会ですので、一人でも多くの方に参加していただきたいと思っています。

こちらは来年、改めてお知らせをお送りしますが、参加のご希望はいつでも受け付けております。
詳しい内容をお知りになりたい方は、ご連絡くださいませ。


「ありがとう」の花

2010-12-24 00:36:38 | ひとりごと

今日はクリスマス・イブです。
ご門徒さんの中には今日の夜、我が子だけのサンタクロースになるお父さん・お母さんがいらっしゃることでしょう。

当然といえば当然なのですが、私はサンタクロースを信じたことがありません。
「サンタさんは、いないんだよ」と両親から言われたわけではなく、25日の朝に目が覚めても、枕元にプレゼントが置かれていたことがなかったので(笑)
その代わり、我が家には【年末プレゼント】という謎の慣例があったため、サンタクロースがいなくても、小さな私には特別大きなことではなかったようです。

さて先日、みなとみらいに行ってきました。

   

   

赤レンガ倉庫では、ドイツのクリスマスをモチーフにしたイベントが開催されていて、野外にドイツの食べ物やお菓子・お酒などのお店が並んでいました。

ライトアップされたツリーや、イルミネーションを見ると、お坊さんでありながらウキウキしてしまいます。
この感覚は、同じような光景を見ている多くの人が、イエス・キリストの聖誕祭としてクリスマスを待ち望んでいるわけではないということを、身をもって体感しているのかもしれません。

12月25日がキリストの誕生日だということは周知の事実。
では肝心のお釈迦さまの誕生日が何月何日なのか…答えられる人は限られているのも悲しい事実。

正解は4月8日。
この日を祝う法要を【降誕会(ごうたんえ)】とも【花まつり】とも言います。

【クリスマス】に比べると、あまりの認知度の違いに考えさせられることもありますが、その現実を私はそれほど悲観はしていません。
もちろん、4月8日は仏教徒にとってこの上なく大切な日ですから、誰もに知っていてもらいたい。
だからといって、認知度を上げるために、何かをプレゼントするなど、クリスマスやバレンタインなどに対抗するような企画性の必要なものは、しなくていいと思っています。

ただ、父の日や母の日など、両親に感謝する日があるように、4月8日があらゆる人や物に感謝するような「ありがとうの日」になればいいなぁとは思っています。

この私が、本当にいろんなものに支えられて今ここにいるということを、思い出す縁となる日。

ある日突然、目の前に降って湧いて出たようなものは何一つありません。
ボールペンの向こう側にも、チョコレートの向こう側にも、どんなものにも作る人がいて、その人の家族がいて、生活がある。
中には、その人たちの過剰な労働の末にあるものを、知らずに平然と使ったり食べたりしていることもあるでしょう。
それから原料も必要で、自然や地球の恩恵も必要。
そういう普段の生活で「あって当たり前」と思っている人や物の、その先にある、ありとあらゆる繋がりに思いを馳せて、一つ一つに「ありがとう」と思う日。

あえて、そういう日を決める必要はないかもしれない。
けれど何より私自身が、きっかけがないと忘れてしまうから。

「あって当然」のものは何もない。
すべてが有ることが難しい「有り難い」もの。

「縁起」という繋がりを悟ったお釈迦さまの誕生日が、そういう当たり前に感じている繋がりへの「ありがとう」の心を育てる日になったらいい…。

認知度が低いということは、まだまだいろんな可能性があるということです。
にぎやかに過ごすクリスマスもいいですが、心を込めて「ありがとう」と呟きながら、静かに穏やかに過ごす「花まつり」はいかがでしょうか?


男三代とハクモクレン

2010-12-21 00:21:07 | 近況報告

今日の一コマ。



息子は父親に見守られ…。



孫は祖父の背中を見て育つ。

境内のお掃除を小さな熊手(通称・小熊)を持って邪魔する…手伝う龍くんでした。


樹齢600年のイチョウに継ぐご長寿のハクモクレン。



今日見てみると、先日、樹木のお医者さんに治療していただいた効果が…。



この寒さの中、もう新たな芽が出てきていました。

ハクモクレンは漢字で「白木蓮」と書きます。
その名の通り、蓮華の花のような白い大きな花をつける樹木で、桜と同じように花が咲いた後に葉が出ます。

来年の春は、たくさんの白い花に包まれたハクモクレンを愛でることができそうです。