週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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アンパンマンの痛み

2010-08-19 01:32:01 | 近況報告

17日、息子が2歳の誕生日を迎えました。

早産で、とてもとても小さく生まれた息子。
この子がこの世に誕生した時のことはもちろん、NICUで4ヶ月を過ごし、検査結果に一喜一憂した日々も、ようやく我が家に迎えることができた日のことも、昨日のことのように思い出します。

その息子も、今ではアンパンマンの虜(とりこ)。
目に入る全てのアンパンマンに反応しては指を差し、「こっちゃ」と意味不明な単語を繰り返します。

私も小学校の図書室にあったアンパンマンを見て育った世代ですが、アニメが始まったのは、私が小説を読めるようになっていた頃のこと。
既にアンパンマンを卒業していたため、息子が好きになるまで、アニメの主題歌の歌詞をきちんと聞いたことはありませんでした。

それは思いがけない程の深い歌詞。
作詞は原作者のやなせたかしさん。
やなせさんは、特攻隊に所属していた弟さんを、戦争で亡くされたそうです。
そしてご自身も、戦時中の食糧難で大変な苦労をされたそうです。
戦争を生き抜き、生と死を嫌がおうにも見つめざるをえない状況にあって、心の傷を抱えながら懸命に前へと歩んでいった、やなせさんの人生を思いながらこの曲を聞くと、言いようのない思いが込み上げてきます。


  そうだ 嬉しいんだ 生きる喜び
  たとえ 胸の傷が痛んでも

  何のために生まれて 何をして生きるのか
  答えられないなんて そんなのはいやだ
  今を生きることで 熱いこころ燃える
  だから君は行くんだ 微笑んで

    (中略)
 
  何が君の幸せ 何をして喜ぶ
  解からないまま終わる そんなのはいやだ
  忘れないで夢を こぼさないで涙
  だから君は飛ぶんだ どこまでも

  そうだ 恐れないで みんなのために
  愛と勇気だけが 友達さ

    (中略)

  ああ アンパンマン 優しい君は
  行け みんなの夢 守るため


何のために生き、何をして生きるのか。
何が幸せで、何が喜びなのか。
その答えに正解はないのかもしれないけど、いつか息子が生きる喜びを感じるたびに、己の命を支え、時に犠牲となっているものへの痛みを思い出す仏の子に育って欲しいと、母は思っています。

さて、そんなアンパンマン好きの息子が狂喜乱舞するであろう反応を見るべく、誕生日に横浜のみなとみらいにある【アンパンマン・ミュージアム】へ出掛けてきました。
案の定、「こっちゃ」を連呼しつつ、アンパンマンの形をしたアンパンにかぶり付きながらご機嫌な時間を過ごしました。

けれど暑かったぁ…今度は涼しくなってから、ゆっくり遊びに行こうね。