金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

大河ドラマ「平清盛」再レビュー〈1〉

2021-04-29 21:12:07 | NHK大河「平清盛」レビュー
ちょっと確認しなければならないことがあって
DVDにて再視聴。

あらすじと初見のときの感想はこっち

めちゃくちゃ情報量の多い第1話。
二周目だとよりはっきりわかるが、

・汚れ仕事を担い、蔑まれる武士
・源氏とのライバル関係
・平太の出生の秘密
・平次の怪我をきっかけに発生した、宗子と平太の確執の芽
・忠盛に父を殺された兎丸と平太の因縁
・璋子と白河院の密通を知って打ちひしがれる鳥羽天皇

と、これから展開していくであろう要素が
ぎっしり詰め込まれている。

序盤の忠盛は、武士を蔑む摂関家や院に反発し、
それに異をとなえない父・正盛に
歯がゆさを感じているのだけども、
これはこれから清盛が経験していくことでもある。
まだまだ青臭い忠盛の舞子との関係が切ない。
心を通わせたものの、結局自分のものにならなかったがゆえに
舞子は忠盛にとって「永遠の女」なのね……。

正盛の出番は少なかったけれども、
死んだ舞子について
「平家を滅ぼしかねなかった、
 それをあの女が一人で抱えていった」
と言ったところで、ああ、この父も耐えているのだと
感じさせる妙。

歳のせいか、初見よりもずっと
宗子ママに感情移入して見てしまう。
おそらくとっても理性的な、優しいいい人で、
それまで平太を自分の子と分け隔てないように育てようと努め、
実際に愛も注いでいたのだけれども、
咄嗟の振る舞いで「自分は弟ほど愛されていない」と
平太に気づかせてしまう。
謝罪しても、決して拭い去れない不信感を抱かせてしまう。
実の親だって子どもの心に一生残るような傷をつける振る舞いを
するだろうに、
そこに「実の子ではない」という条件が加わっただけで、
もう取り返しのつかない齟齬になってしまう。
この齟齬がまた、宗子ママの「頼朝を殺さないでやって!」に
結果的に大きな意味を持たせてしまうのが苦しいんだよ~!!

このドラマ、「画面が汚い」って言われてたけど、
忠盛はじめ武士たちの格好はさすがに汚すぎると思った。
院御所に出入りしてるんだから、
さすがにもっと身ぎれいにしてたんじゃないだろうか。

そして、平太役の少年、松山ケンイチに顔がそっくりで
NHKの子役発掘力にあらためて驚くわ~!

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114-118:最近読んだ漫画&本

2021-04-28 19:02:12 | 21 本の感想

しみじみとよかった。好き。

   


イケメンの描き方が好み。
ヒロインの瞳の色、国の祭祀等々、設定がロマンチック。



ベランダでお茶&食事というのはよかった。
私にとっては必要じゃない情報が大部分。




藤原秀能に結構なページが割かれていた。
歴史上の人物を調べようと親戚・姻戚関係をたどっていくと
思わぬところでつながっていたりして面白い。


寺島恒世『後鳥羽院和歌論

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113:風野真知雄『姫は、三十一』

2021-04-28 18:40:22 | 21 本の感想
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

平戸藩の江戸屋敷に住む静湖姫は、
微妙なお年頃のお姫さま。
大晦日の夜、おかまの店で飲んだくれていると
「来年はもの凄いモテ年になる」と占われる。
年が明け、三十一歳になるのを機に習い始める
三十一文字の和歌の会に参加すると、
なんと屋根の上に死体が。
謎を解こうと奮闘する姫の前に、
素敵な男性が次々と現れて…。
恋に事件に、花のお江戸を駆け巡る! 
大人気著者が放つ「姫は、三十一」シリーズ第1弾。
 
*************************************

Kindle paperwhiteを買ったら、
3か月読み放題がついてきたので、
以前からちょっと気になっていたものを読む。

もう少し姫様っぽくないと、
姫様という設定に必然性がないのではと思うが、
読みやすく超ライトでユーモアがあって楽しい。

シリーズの途中から読んじゃった?? と思うくらい
説明もなくいろいろと深堀りされない人物や
設定が出てくるのだけど、1巻。
腑に落ちん……と思ったら、別シリーズのスピンオフなのね。
すっきりしない点は多いのだけど、
読むのにコストがかからないと好み度も甘めになってしまう。

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映画:『街の上で』

2021-04-28 18:24:12 | 映画の感想
2021年の映画⑨『街の上で
★★★☆☆

下北沢の古着屋に勤務している荒川青(若葉竜也)は
浮気されて振られた恋人を忘れることができなかった。
ときどきライブに行ったり
なじみの飲み屋に行ったり、
ほとんど一人で行動している彼の生活は
下北沢界隈で事足りていた。
ある日、美大に通う女性監督から
自主映画に出演しないかと誘われる。

*******************************************

映画館にて。
評価が高いので見てみたが……
下北沢という街に、思い入れも憧れもまったくないせいか、
Not for me だった。

主人公の髪型とファッションがまったく好みでなく、
「シモキタです!」と主張する店も文化も
そんなに心魅かれるものではなく、
主人公や女の子たちの性格や振る舞いには嫌悪感を抱く。
そうすると楽しむところがないのね……。
特に女の子の家で恋バナしてるシーン、
早送りしたかったわ~(ふたりが関係しなかったのはよかった)。

でも、五人で修羅場してるシーンは声立てて笑いたくなるくらい
おもしろかった。

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大河ドラマ『青天を衝け』#11

2021-04-25 20:23:52 | 大河ドラマ「青天を衝け」
「攘夷、マジでできると思ってるの?
 詭弁じゃん。できもしないことを言うなよ」
と島津にバシッと言っちゃう慶喜、すごい。
賢さと刃物のような鋭さ。

飲み屋で、酔って金をせびってきた藤田東湖の息子に
「田舎者」と馬鹿にされ、栄一は相手を叱責。
江戸で長七郎が持ち上げられつつも、
武士たちと同じ場所に座ることはできず、
鉄砲玉として使われようとしていたのを
それとなく描いていたから、
「反幕府の同士と言っても身分差は厳然としてある、
 やっぱり侍と一緒にはやれない」
という展開になるかと思ったのに。
なんと、相手が素直に泣いて反省しちゃった!
このドラマ、予想と微妙にずらしてくる展開が多い。

栄一が攘夷攘夷言ってるのが、
田舎の若いもんがはやりにかぶれてるだけに
見えていたのだけど、
第1話の「みんなが幸せなのが一番だ」に
つながっていくのね。
まだ「みんなを幸せに」という発想がリアルじゃなくて
名目だという感じはあるのだけども。

そしてやっぱり聞き分けのいいお父ちゃん。
千代ちゃんも物分かりが良すぎるよ……。

【その他いろいろ】

・子どもが生まれたと思ったら
 あっという間に麻疹で死んでしまった……

・三条実美の小物感がすごい!!!
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映画:『プライドと偏見』

2021-04-25 20:15:56 | 映画の感想
2021年の映画⑧『プライドと偏見

18世紀末、イギリスの田舎町に資産家の独身男性
ヒングリーが引越してきた。
自活するすべをもたない当時の女性にとって、
結婚は死活問題。
ベネット家の母親と五姉妹は胸をときめかせ、
美貌の長女ジェーンは舞踏会で見事に
ヒングリーの心をとらえる。
次女エリザベスは、ヒングリーの友人・ダーシーの
高慢な態度に反発しつつ、次第に彼に心惹かれていく。

*******************************************


キーラ・ナイトレイ、本当に美しいなあ。
ヒングリーのいかにもアホそうな顔、
ダーシーの生活に疲れた感は気になるものの、
何度見てもときめくストーリーであるよ。
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112:立石和弘『男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか』

2021-04-25 18:52:08 | 21 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

『源氏物語』の主人公光源氏と紫の上は
正式な婚姻関係を結んでいない。
光源氏による強引な掠奪によって二人の関係は始まり、
このことは物語のその後の展開に大きな影をおとしている。
平安物語文学は『源氏物語』のみならず、
『伊勢物語』『更級日記』などでも
掠奪婚=「男が女を盗む話」を繰り返し描いてきた。
男はなぜ女を盗むのか、女はそれにどう対処したのか。
新たな切り口で千年前の物語が甦る。
 
*************************************

創作物が圧倒的なパワーを持っているものだから
在原業平と高子は相思相愛だと思い込んでしまっていたのだけど
(そもそもこの二人が男女の関係にあったというのは、
 当時の日記等の一次史料では確認できなかったはず)、
原作ともいうべき「伊勢物語」でも、
「女」から「男」への心情というのは
描かれていないのであった。
男が一方的に見初めて女を拉致した可能性もある。
自分のしていることが情熱的で一途な思いゆえの行動であると
認識して自己陶酔している男の犯行と考えると、
なんとも惨く救われない話だ。

そしてやっぱり自己中心的で気持ち悪い光源氏。
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映画:『ガーンジー島の読書会の秘密』

2021-04-25 18:41:02 | 映画の感想
2021年の映画⑦:『ガーンジー島の読書会の秘密』(マイク・ニューウェル 監督)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

1946年、終戦の歓びに沸くロンドン。
作家のジュリエットは、一冊の本をきっかけに、
“ガーンジー島の読書会"のメンバーと
手紙を交わすようになる。 
大戦中、英国で唯一ナチスドイツに占領された
チャネル諸島の一つであるガーンジー島では、
読書会と創設者であるエリザベスという女性の存在が
彼らの支えだった。
本が人と人の心をつないだことに魅了されたジュリエットは、
読書会について記事を書こうと島を訪ねるが、 
そこにエリザベスの姿はなかった。 
メンバーと交流するうちに、ジュリエットは
彼らが重大な秘密を隠していることに気付く。
やがて彼女は、エリザベスが不在の理由にたどり着くのだが──。

***********************

この話に、ジュリエットの恋愛はいらなくない??
ハリウッドのお約束なのかもしれないが、
婚約者を振ってまで男女をくっつけなくても、
十分「運命的な出会い、魂の結びつき」は
描けたんじゃないかなあ。
恋の過程が十分描かれていないせいで、
お手軽な救済にしか見えなかったし、
エリザベスの秘密と読書会に関わる人々の絆だけに
しぼったほうがいいお話になったと思うんだけど。

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映画:『ヘレディタリー 継承』

2021-04-23 20:18:35 | 映画の感想
2021年の映画⑥:『ヘレディタリー 継承(字幕版)』(アリ・アスター 監督)
★★★☆☆

【シネマトゥデイのあらすじ】

ある日、グラハム家の家長エレンがこの世を去る。
娘のアニーは、母に複雑な感情を抱きつつも、
残された家族と一緒に葬儀を行う。
エレンが亡くなった悲しみを乗り越えようとする
グラハム家では、不思議な光が部屋を走ったり、
暗闇に誰かの気配がしたりするなど不可解な現象が起こる。
 
***********************

Amazonプライムにて。
友達のおすすめ。

これまで自分がホラー映画を
ほとんど見てこなかったということは、
たぶんホラーが好きじゃないんだろうな。
嫌いというより、楽しむためのチャンネルが開いてなくて
おもしろさを受容できないというか。
これもつまらないのではなく、
おもしろさを見いだせなかったという感じ。

「ミッドサマー」と同じく、いきなり何かが現れたり、
大きな音がしたりという演出で驚かせるのではなく、
まじめにじわじわと恐怖を描いている。
血とか死体は明確に苦手なので、
小さい女の子が鳩の首をちょんぎるシーンとか、
死体に虫がたかっているシーンは勘弁してほしい……。

カルト宗教を描いているところは、
『ミッドサマー』と共通している。

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101-111:高瀬志帆『二月の勝者―絶対合格の教室―〈1〉~〈11〉』

2021-04-23 12:27:48 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

中学受験界に現れた最強最悪の絶対合格講師

2020年の大学受験改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは
生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人!
受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、
もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を
圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作! 

*************************************

1巻を読んだきり、2・3巻を
積んだままにしてあったのだけど、
先輩が貸してくれたので最新刊まで読了。

ストレスで抜毛しちゃう子とか、
「教える」が虐待につながってしまう親とか、
「こんな学校に行くなんて恥ずかしい」
と素で思っている親とか、
あるあるすぎて……!

中学受験をこんなにしっかりエンタメに昇華してるの
すごいな。
ちゃんと巻の最後に引きを作ってあるので、
11冊一気読みしてしまった。

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