金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

15:河村恵利『千秋』

2021-01-31 21:13:58 | 21 本の感想
河村恵利『千秋
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

燃える大坂城。豊臣秀頼が死路の供に選んだのは、
正妻の千姫ではなく愛妾の小石だった。
亡き夫と愛を育めなかった千姫は、
秀頼と瓜二つの本多平八郎と出会い、
平八郎の優しさに惹かれてゆく…。 
徳川家康の孫娘・千姫と本多平八郎忠刻の
純愛を描いた『千秋』。
千姫の夫・秀頼と側室・小石の純愛を描いた
『恋ひあまりの夜』。
戦国の雄・毛利元就の戦いを描いた
『毛利元就-川の行方-』の3編を収録した、
戦国ロマン・アンソロジー!

***********************

東慶寺について調べていたときに、
「秀頼に娘がいて、住持になった」
というのを初めて知った。
秀頼の娘、それまで読んだ本では
ほとんど触れられていなかった。

「千秋」
千姫と本田忠刻、秀頼の娘。

「恋ひあまりの夜」
豊臣秀頼と側室。

「毛利元就ー川の行方ー」
タイトル通り元就と家臣の話。
人物の関係がなかなか頭に入ってこず、
序盤で苦労した……

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14:河村恵利 『恋ひわたりの…』

2021-01-31 20:33:06 | 21 本の感想
河村恵利『恋ひわたりの…
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

織田信長軍の侍大将・池田勝三郎が
ひそかに想いを寄せる弥知姫。
しかし、すでに彼女は信長の弟・信行の妻であった…。
信長の弟・信行の嫁・弥知姫と、
信長の家臣池田勝三郎の馴れ初めを描いた
表題作『恋ひわたりの…』他、
足利将軍義輝の娘・名姫と三好義継の夫婦愛や、
小早川隆景とその妻・初姫の物語など、
全5編を河村恵利の独創的な着眼点で描く、
戦国ロマン・シリーズ!

***********************

池田恒興の結婚については、信長メインのドラマや小説で
ちょこっと触れられたりもしてるんだけど
主君の弟を殺害したあとでその妻を強奪とか、
「いったいどういうことだよ~! もっと詳しく!!」
ってなるよね。

将軍義昭の妹が三好に嫁していたの、知らなかった。

「恋ひわたりの」
池田恒興とその妻。
この話では、「妻の最初の夫は信行」説を採用。

「火の波」
三好義継と、足利義昭の妹であるその妻。

「氷の修羅」
陶晴賢と大内義隆。

「寄り竹の音」
小早川隆景とその妻。

「小夜の寝覚め」
前田利長と茶々。

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13:河村恵利『鎌倉秘恋 北条恋ヶ谷』

2021-01-31 20:11:10 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

頼朝亡き後、後ろ盾をなくした北条家の執権・経時は
16歳の妹・檜皮姫を7歳の将軍に嫁がせた。
しかし、その妹が本当に愛していたのは…!? 
堕ちたのは恋の谷。
鎌倉を舞台に、政敵と戦う男たちと、
彼らを愛した女たちの物語。

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再読。
鎌倉ものをいろいろ読み返したくなってきたな~。

「檜皮つづり」
京から鎌倉へやってきた檜皮。
泰時の死と、頼嗣との結婚。

「雪の烏」
前話を経時・時頼視点で描いたもの。

「闇の鷺」
時頼と宝治合戦、時輔の母となる女性との出会い。

「北条恋ヶ谷」
時輔の母視点。檜皮の死。

「わらわべ水鏡」
江戸時代。オリジナル?

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12:萩原あさ美『娘の友達〈1〉』

2021-01-29 23:25:25 | 21 本の感想
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

家庭では「父親」として、会社では「係長」として、
「理想的な自分」を演じるように生きてきた主人公・晃介。
だが、娘の友達である美少女・古都との出会いにより、
彼の人生は180度変化する。
社会的には「決して抱いてはいけない感情」に支配されながらも、
古都の前では自己を開放でき、
社会の中で疲弊した心は癒やされていく……。
「社会」のために「自己」を殺す現代社会へ鋭く切り込む、
背徳のサスペンスが幕を開ける。

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ずいぶん前に、
「男の願望丸出しで気持ち悪い」
みたいな叩かれ方をしていたような?
それで存在を知って積読してあった本。
ようやく読んだのだけど、
これ、ホラー的な話ではないの??
読んでいて怖かったよ……。

ヒロインと思しき女子高生ちゃんの距離の詰め方、
明らかにおかしいよね??
主人公に都合のよい展開として
「最初から好感度マックス」なわけじゃなく、
異常な展開として描かれている気がする。
仕事での人間関係や妻の死、娘の不登校で
追い詰められた主人公がサイコパスな女子高生に
いいように追い込まれて道を踏み外していく話と
予想したけれど、果たして……?

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11:瀧羽麻子『松ノ内家の居候』

2021-01-29 15:24:41 | 21 本の感想
瀧羽麻子『松ノ内家の居候』 (中央公論新社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

七十年の時を経て、文豪とその孫が
同じ屋敷に転がりこんだ。
孫の目当ては幻の原稿。
掘り起こされる、家族も知らない〝秘密〟。
お宝騒動のさざ波が、
彼方の記憶をたぐり寄せ……。
心の奥をノックする瀧羽麻子の新境地。

**************************************

表紙の家の見取り図に惹かれて。

残念ながらハマれなかったんだけど、
原稿にまつわる謎を追う家庭で
家族が衝突したり互いのことを知るようになったりと
ハートフルな作品。
好きな人は好きなのではないかな。

帯で煽るほど、「美青年」の印象は強くない。
人物像が定まっていないうちから、
頻繁に視点を切り替えられると(しかも4人に)
ストレスだな……と思っていたんだけど、
そこはわりと早く慣れた。

文豪には、変人がいっぱいいるので、
この物語に登場する文豪はおとなしいほうだな、と
思ってしまった。

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10:永井路子 『寂光院残照』

2021-01-20 21:08:17 | 21 本の感想
永井路子 『寂光院残照』 (集英社文庫)
★★★★☆

さがしていた短編は、この本にあった!
「頼朝の死」がそれ。
ほかの話はまったく記憶がないから、
これだけ覚えているのは、
当時、目次だけ見て拾い読みしたのかな?
永井路子先生の中では、各史料に登場する人物たちが
立体的に生き生きと存在していて、
時代を作っているのだなあ。

「右京局小夜がたり」
実朝の妻の乳母が語る、実朝の周辺。
政子と阿波局の像は『円環』と同じ。
そしてここでも抜け目のない定家。

「土佐坊昌俊」
鎌倉からの刺客として義経を襲った土佐坊昌俊が主人公。
義経ものを読んでいたときはただの悪役でしかなかったけど、
言われてみれば、「義経を襲った刺客」としてしか
名が残っていない彼。
この役を引き受けることになった事情に
スポットライトをあてている。

「寂光院残照」
阿波内侍の視点で語られる、大原御幸と建礼門院徳子。
徳子って平家サイドの物語でも
キャラ立ってないのが多いんだけど、
このお話では「無関心と無感覚」の人。

「ばくちしてこそ歩くなれ」
一条能保の子・尊長の人生を親しかった僧の視点で描く。
尊長という人物のことを知らなかったからというのも
あるけれど、これがいちばん興味深く面白かった。
承久の乱、鎌倉と親しかった一条家や坊門家も
上皇側についてるんだよな。
義時の毒殺説のソースって明月記なのか。

「頼朝の死」
頼朝の死に絡んで流れる噂。
「邪魔なやつらは滅ぼす」とばかりに御家人たちが
次々と北条に滅ぼされていた中、
大江広元が天寿をまっとうしたのは
こういう人だったからかもね……。
北条家の兄弟姉妹、気の休まらん人生だな。

「后ふたたび」
乞食と婢女の視点で、
藤原頼長の養女として入内し、近衛・二条両帝の
后となった多子、そして頼長を描いた作品。
話はまったく覚えていないけど、
「菜津奈」って名前は覚えてた。

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9:秋田みやび『ぼんくら陰陽師の鬼嫁』

2021-01-20 20:51:51 | 21 本の感想
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

やむなき事情で住処をなくした野崎芹は、
生活のために通りすがりの陰陽師(!?)北御門皇臥と
契約結婚をした。
ところが皇臥はかわいい亀や虎の式神を連れているものの、
不思議な力は皆無のぼんくら陰陽師で……!?

********************************

好みからは微妙に外れていてハマれなかったのだけど、
これはうまい。
「陰陽師」「契約結婚」と売れ線の掛け合わせだが、
陰陽師がふんわりサイキックじゃなくて、
ちゃんと陰陽思想を踏まえた事件と謎解き。
山場も作ってあるし、実はふたりは過去に……と
いうのもベタだけどよい。

ライト文芸に動物やら幼児やらが多い気がするんだけど、
好きな人が多いんだろうか。
わたしは文字でそれらが出てきてもちっとも萌えないし、
ストーリー上の必要性が感じられないと
むしろ邪魔だと思ってしまう。

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8:梅谷百『平安かさね色草子 白露の帖』

2021-01-17 20:46:23 | 21 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

時は平安、雅を愛し宮中に憧れる貧乏貴族の娘・明里は、
家のために誰もが数日で逃げ出すという
春日家に出仕することに。
美形にもかかわらず風雅とはほど遠い
春日家の三兄弟をかわしながら、
新米女房の務めに励んでいた。
明里が見立てた長男の装束や、
荒れ放題の春日家での酒宴を見事に執り行った機転が
兄弟の上官・有仁をも感心させる。
そして持ち込まれた、後宮で起こっている
不穏な企ての犯人捜しの相談。
有仁の頼みで明里は
鳥羽天皇が暮らす憧れの宮中に行くことに――!

********************************

昔なつかしい少女小説のがちゃがちゃしたラブコメのようで、
わたしには、もうこのノリがきつい・・・・・・。

表紙である程度予想はついていたのだけど、
装束以外に関しては考証をぶん投げているのか、
「日本の後宮は男子禁制じゃないよ!」
とか、
「存命中に『鳥羽帝』とか『白河院』とか呼ばせちゃだめだよ!」
とか、ストーリーとは別のところでハラハラ。
架空の平安時代ではなく、実在の院政期を舞台にしているのは
装束と関わりの深い源有仁を出したかったからだろうけど、
1巻の時点ではそこまでこの設定が有効に機能していなかったし
突っ込みどころが増えるばかりなので
架空の時代設定でよかったんじゃないかな~。

ヒロインと志摩姫が仲良くなっていくのはすごくかわいかった。
あとやっぱり、本を作る際の制約があって難しいのだろうけど、
色合いの話だから、カラーで色がわかるといいよね。

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映画:『燃ゆる女の肖像』

2021-01-17 20:11:31 | 映画の感想
2021年の映画①:『燃ゆる女の肖像』(セリーヌ・シアマ 監督)
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

18世紀のフランス・ブルターニュ地方。
画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は
貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)の見合いのため、
彼女の肖像画を依頼される。
しかし、エロイーズは結婚することを頑なに拒んでいた。
マリアンヌは身分を伏せて孤島でエロイーズと過ごし、
ひそかに彼女の肖像画にとりかかるが、
マリアンヌの目的を知ったエロイーズは絵を見て
その出来栄えを否定する。

***********************

映画館にて。

あらすじからなんとなく、もっと若いお嬢様が
「お姉様」的な憧れを画家に抱く話かと思っていた。
お嬢様は結構年かさなのね。
そして思った以上にがっつり「女同士の愛」を描いた映画だった。

絵を題材にしているだけあって、場面のひとつひとつが
絵画的で美しい。
孤島という舞台設定が、当時の女性を取り巻く閉塞感にも重なり、
秘密の恋に息が詰まるよう。
母親の留守中、ヒロインズふたりと侍女の三人が
きゃっきゃしているのが、かわいらしいと同時に
短い青春といった様子で切ない。

ラストの「私を見なかった」は、
それまでに重ねて描かれてきた「見るー見られる」の関係を
踏まえたもの。
決して見ようとしない、そこに強い思いが感じられる。

好き嫌いとは別に、胸に爪痕を残すような、
印象的な映画だった。
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7:柚木麻子 『本屋さんのダイアナ」

2021-01-11 22:22:59 | 21 本の感想
柚木麻子 『本屋さんのダイアナ』 
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

私に命令できるのは、この世界で私ひとりだけ……。

 私の名は、大穴(ダイアナ)。 
おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、 
はしばみ色の瞳も大嫌い。 
けれど、小学三年生で出会った彩子が
そのすべてを褒めてくれた――。
正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。
地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと
信じていたのに、思いがけない別れ道が……。
少女から大人に変わる十余年を描く、
最強のガール・ミーツ・ガール小説。

********************************

小学校時代の世界が、あまりにも優しくて
人々に理解がありすぎて、
「世界はそんなに優しくないよ……!」
と苦しささえ感じるほどだったのだけど、
高校卒業後の彩子パートが、もうつらくてつらくて。
友達に似た経験をした子がいるのだけど、
彼女いわく、自分の中で折り合いをつけようとして
相手に告白して付き合ってしまったそうだ。
絶対におかしいのに、きっと今でも
大学や似たような環境で続いている現実。
ままならない現実が次から次へ
襲い掛かるからこそ、
ふたりが仲良く過ごした小学校時代が
現実離れした優しさをもって描かれていたのだとわかる。

本を読んで泣くときは、読みながら
「あ、だめ、泣きそう……!」
となるのだけど、この本、あるページに来た時に
予兆もなく、いきなりドバーッと涙が出てきて
びっくりした。

武田君、少女漫画! 
でもひとりくらいこんな男の子が存在していてくれないと
耐え難い物語だった……!


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