金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

14~17:最近読んだ漫画

2023-01-21 20:03:20 | 23 本の感想
志村貴子『おとなになっても〈1〉』

社会人で百合で不倫ですか……
よろしい、続けたまえ!!


キャリアのある漫画家さんなのかな。
漫画として総合力が高いし、雰囲気がとても好き。
旦那さん、かわいいね。

 
内野タカラ・彩『カタワレオレンジ』

すさまじい「Not for me」。
キャラクター、展開、設定、どれか一つでもいいから
説得力を持たせてほしい……。

 

猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って〈1〉』
 
興味の薄い題材ながらおもしろかった。
傲慢で精神論で突っ走るヒロインだけだったら
不快になりそうなところ、
自信のない男の子とのダブル主人公にすることで
うまくバランスを取っている。
作中のファッションは、
「これ、オシャ……レ……?」
と首をかしげるものだけど、
オシャレという設定として読めばよし。
 
 
 田島列島『水は川に向かって流れる〈1〉』
 
初めて知った漫画家さん。
序盤から、しっかりキャラが確立していて、
ストーリーに引き込まれる。
あとで調べたら、やっぱり
「このマンガがすごい!」に選ばれていた。
素人にもわかる実力。
素朴な絵の醸し出すほのぼの感が、
設定のドロドロ加減をほどよく中和している。
 

 
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6~13:最近読んだ漫画

2023-01-19 11:58:00 | 23 本の感想
東元俊哉『テセウスの船〈1〉~〈3〉』
 
1巻のみ再読。
続きがめちゃくちゃ気になるのだが、
胸くそ悪い展開にしかならなさそうで、
続きを読む勇気が出ない。
誰だって殺されたり暴力を振るわれたりしてはならないのだけど、
特に小動物とか子どもは勘弁して。
小さい子に性暴力をふるった奴は一人残らず宮刑にしてほしい。
 

 

 吉川美希『山田くんと7人の魔女〈1〉~〈3〉』

作者さんが女性だということもあるかもしれないけれど、
エロ要素も不快感のないさらりとした処理。
(まず、普通の10代の少年少女にとって、キス自体がおおごとだろうし、
 体や下着を見られたらショックすぎるだろうが、そこはあっさり)
絵柄もキャラクターもキュート。
山田×白石の組み合わせがめちゃ可愛い。
少年誌ラブコメの常でハーレム化していきそうだけど……
 
 
すえのぶけいこ『おちたらおわり〈1〉』
 
この作者さんなので、こういう話になることは想定内だったのだけど、
怖いよ~!!
主人公のとっさの行動が、
「この過去がなくても、ハバにされちゃうだろうな~」
というもので、先を読みたくない……

 

 片瀬茶柴・城平京『虚構推理〈1〉』
 
小説のコミカライズ、序盤の情報処理の仕方についていけず、
置いてきぼりになりがち。
身体欠損・異形・怪異。盛りだくさんの設定と
ラノベのノリについて行けない……
 
 
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映画:『オーシャンズ8』

2023-01-19 10:42:03 | 映画の感想
2023年の映画⑥『オーシャンズ8』(ゲイリー・ロス 監督)
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
5年と8か月と12日。それだけの年月を費やして練り上げられたのが、
デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)の名高き犯罪人生においても
最大の強盗計画だった。
実行に移すためには裏稼業の元相棒ルー(ケイト・ブランシェット)や
専門家の一団など、その道を極めたプロ中のプロたちが必要となる。
ターゲットである1億5,000万ドル相当のダイヤモンドは
その年の目玉イベント“メットガラ"で、
世界的な有名女優(アン・ハサウェイ)の胸元を飾る予定になっていた。
計画に抜かりはないが、潜入から脱出まで流れるように
スムーズに実行しなくてはならない――それも全世界が見つめる中で。
 
*******************************************
 
Amazon primeで視聴。
 
『オーシャンズ11』を見たのはもう大昔なので、
当時の感想をほとんど覚えていないのだけども……
わたしの倫理観と現実主義が、
この映画を楽しむことを妨害する……!
 
改心を誓い、釈放された直後に、息するような自然さで
盗みをするサンドラ・ブロックはおもしろかったのだが、
何も悪くないのに被害に遭うショップやホテルの
迷惑を思うと……。
ジュエリーとファッション、女達のチームワークを
楽しむものだとわかっているんだけど、
カルティエも博物館も悪くないのに……と思ってしまう。
また、メインの女たちはともかく、
あんなに外部の人の手を借りたら、
バレちゃうんじゃない??
 
アン・ハサウェイは変わらずに可愛い!!
 
 

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5:稲垣栄洋『世界史を大きく動かした植物』

2023-01-17 16:40:02 | 23 本の感想
稲垣栄洋『世界史を大きく動かした植物』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
一粒の小麦から文明が生まれ、茶の魔力がアヘン戦争を起こした――。
人類は植物を栽培することによって農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。
作物の栽培は、食糧と富を生み出し、やがては国を生み出した。
人々は富を奪い合って争い合い、戦争の引き金にもなった。
歴史は、人々の営みによって紡がれてきたが、その営みに植物は欠くことができない。
人類の歴史の影には、常に植物の存在があったのだ(本書の「はじめに」より)。 
 
【本書の目次より】
コムギ――一粒の種から文明が生まれた
イネ――稲作文化が「日本」を作った
コショウ――ヨーロッパが羨望した黒い黄金
ジャガイモ――大国アメリカを作った悪魔の植物
ワタ――「羊が生えた植物」と産業革命
チャ――アヘン戦争とカフェインの魔力
ダイズ――戦国時代の軍事食から新大陸へ
チューリップ――世界初のバブル経済と球根
サクラ――ヤマザクラと日本人の精神
 
****************************************
 
kindleの読み上げ機能で、作業中や寝る前に聞いていたのだけど、
知らないことばかりでとても面白かった!!
 
言われてみると確かに、種を皮に包んでまき散らさない
トウモロコシの構造は謎すぎる。
寺や橋の欄干にある擬宝珠が
葱坊主をかたどったものだということも知らなかった。
 

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大河ドラマ「どうする家康」♯2

2023-01-15 21:23:20 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー

尾張の治安悪すぎ! 世紀末ヤンキーの巣じゃん!!

 

そして、なんなんだ、このところどころにまぶされたBL風味は……。

いちいち顔を寄せて、俺様BLキャラみたいなセリフを吐く信長に、

明らかなツンデレで、あっという間に陥落の気配を見せる忠勝。

あと、榊原くん、元康のどこに惹かれる要素あったの???

 

アバンとラストの

”「寅の年・寅の日・寅の刻」をキャッチコピーにしてますが、

 実は「卯の年」でした~!”

はおもしろかったけど、相変わらず乗り切れなかった……。

”竹千代を殺そうとする信秀→それを止める信長→信秀「ワッハッハ!!」許す”

とか、

”いきなり強気になった元康に圧倒されて道をあけてしまう敵”

とか、説得力がないのに、雰囲気だけでごまかしてる感じが気になって仕方ない。

元康が責任を感じて自害しようとするシーンも、

忠勝の思いを訊いたり、「厭離穢土」を持ち出したり。

「自害するなら、くっちゃべってないで、さっさとしろ!!」

って思っちゃった……。

これが「そうやって引き延ばす、元康の意気地のなさ」として

わざと見せているものなのか、意図しないでやっちゃってるものなのか、

制作サイドのスタンスがまだわからないんだよね。

(現時点では、後者の気がしている)

 

10話くらいまでは見るつもりでいるけど、

来週から、感想はおもしろかったときだけにするね……。

「Not for me」なだけであって、別の誰かにとっては

すっごく面白いドラマなんだと思うから、

悪口は書き連ねたくない。

 

それにしても、NHKの子役キャスティングは毎回すごいね~。

竹千代役の子、ちゃんと松潤の面影がある!

コメント (2)
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映画:『猟奇的な彼女』

2023-01-14 21:46:03 | 映画の感想
2023年の映画⑤『猟奇的な彼女』(クァク・ジェヨン 監督)
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
キョヌはごく普通の気立てのいい大学生。
ある日、地下鉄で自分好みの女性に目を止めるが、
それがかなりの酔っ払い。
やりすごそうとするキョヌだったが
彼女はそのまま電車の中で倒れてしまい、
なぜか自腹でホテルに運ぶハメに・・・。
その夜から、彼は生意気で凶暴で、でも曲がったことは大嫌いな
“猟奇的な彼女”の起こす事件にことごとく巻き込まれて大わらわ。
しかし、どんな仕打ちを受けてもどうしようもなく
その魅力に引き込まれていくキョヌ。
そんな時、彼女が親から強制されたお見合いをするという。
二人の恋の行方は一体どうなるのか・・・??
 
*******************************************
 
Amazon primeで視聴。
公開当時、日本でも話題になっていてヒットしていたのは
知っていたけれど、観る機会がないままだった。
 
かつて同性愛や精神病は当たり前のように笑いのネタにされていたけれど、
今では絶対許されないし、一世を風靡したツンデレ暴力ヒロインも今は不人気。
そんなわけで、時代のズレのようなものを感じる部分は結構多くて、
「ヒロインにゲロをぶっかけられるカツラのおじさん」とか
笑えないところが多かったし、ヒロインは絵に描いたようなツンデレ暴力女。
 
なのになぜあんなに評価が高い……?
ヒロインのかわいさは理解できるようになってきたけど、長いよ~
 
と思いながら観ていたら、終盤の展開。
 
なるほどね~!!
 
最初、木の下にいたおじいさんが主人公かと思って
「残酷すぎる!!」と思っていたのだけど、
ラストで突然の伏線回収&どんでん返し。
冷静に振り返れば、コメディテイストと終盤の展開は合っていないし、
ヒロインのキャラも過去と合っていないし、ちぐはぐなんだけど、
ラストの驚きと幸福感で「よかった!」という感想になるのはわかる。
終わりよければすべてよし。
 

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4:柚木麻子『らんたん』

2023-01-14 21:43:49 | 23 本の感想
柚木麻子『らんたん』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
「BUTTER」著者渾身の女子大河小説。

大正最後の年。
かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、
渡辺ゆりにプロポーズした。
彼女からの受諾の条件は、
シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、
という前代未聞のものだった――。
 
****************************************
 
先輩から借りた本。
シスターフッドを題材にした歴史小説だということは
事前情報として持っていたのだけど、予想以上にフェミニズム小説だった。
 
第一章なんか、
「新渡戸稲造以外の男は、みんな滅びろ! 特に伊藤博文は地獄に落ちろ!」
というレベルで頭にくる。
 
河合道とその教え子であり強い絆で結ばれた一色ゆりを主軸に、
津田梅子や広岡浅子、平塚らいてう、村岡花子……と
近現代の有名人が続々登場。
フィクションも相当入っているのだろうけれど、
当時は知識人とそれ以外の格差が大きかっただろうから、
狭い知識人同士のコミュニティで、つながっていてもおかしくないと思わせる。
 
津田梅子たち女性をアメリカへ留学させたものの、
帰国した彼女たちのためには何の職も用意していないところとか、
本当に今も昔も変わらぬ政府の「表面上だけ」っぷりよ……。
日本社会に戻って夢破れた大山捨松との不和を経て、
死ぬ間際の彼女のために徳冨蘆花に謝罪文を書かせる津田梅子に涙。
 
「うるさく波風立てる」と疎まれながらも
声を上げ続けてきた先人たちのおかげで、
改善されてきたこと、いっぱいあるのだなあ。
 
有島武郎も野口英世もけちょんけちょんなんだけど、
特に太宰治評は最高におもしろかった。

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大河ドラマ「どうする家康」♯1

2023-01-08 21:35:46 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー

何度か目にした番宣のときから、

「この乗馬シーン、絶対馬乗ってないだろ」

と思ってたんだけど、全体的に画面がゲームのCGっぽいね……。

冒頭のナレーションのシーンからしておとぎ話っぽい雰囲気があったし、

中国の仙人ですか?といった風貌&発言の武田信玄とか、

話自体はそうでもないのに、絵面にファンタジーテイストが強め。

 

たいていどの大河ドラマも、第1話はわりとしっかり作られていて、

だんだん粗が見えてくるといった印象。

これは、どうなんだろう。

個人的には、まだ、まったくときめきポイントがない状態。

家康の生涯が長くイベント盛りだくさんなので、

どしどし話を進めなきゃいけないという事情はあるんだろうけど、

1話の時点では、キャラ付けも最低限で、人物同士の関係性も見えてこない。

本多忠勝が出てきた時点で、何かしら関係が深まるイベントがあるのかと思ったが

深まることなく終了。

とりあえず、第1話の印象としては、

 

・序盤の元康、さすがに本役でごっこ遊びはキモい。

・信長「待ってろよ竹千代、俺の白兎」→キモい

・このバリバリ苦労人タイプの石川数正が出奔するとこは見たい

・「麒麟」に続いて立派そうな今川義元だったが、

 キャラが確立しないうちに死んでしまった

・開始30分で好きな女の子をゲットし、第二子懐妊までいったスピード展開

・三河の地名や会話のイントネーションに違和感なし

 

よかったのは、地元の岡崎に来て、

田舎の知らんおっさんたち(家来だが)にドン引きしてるとこ。

ずっと地元を離れてて、文化レベルの高い今川のもとで暮らしてたら

そうなるよね……。

家臣団への思い入れのなさも、ひとりで逃亡する展開につながってる。

 

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映画:『思い、思われ、ふり、ふられ』

2023-01-06 22:45:55 | 映画の感想
2023年の映画④『思い、思われ、ふり、ふられ』(黒柳トシマサ 監督)
★★☆☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
偶然出会った、全くタイプの違う朱里と由奈、
朱里の義理の弟の理央と由奈の幼馴染の和臣は、
同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生。
夢見がちで恋愛に消極的な由奈は、理央に憧れるが、
自分に自信がなく一歩踏み出せずにいる。
理央はかつて朱里に想いを寄せていたが、親同士の再婚により、
気持ちを告げられないまま、想いを胸のうちに抱えていた。
また、恋愛に対して現実的な朱里は、
率直でどこかつかみどころない和臣のことが気になり出し、
割り切れない初めての感情に戸惑う。
そして和臣は、ある“秘密”を目撃し、葛藤を抱えることになり…。
それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違って−。
 
*******************************************
 
小学生に付き合って、Amazon primeで視聴。
アニメ映画。
 
原作が漫画で、実写化もしてるみたいだから、
たぶん人気作なんだろう。
 
こういう話見ると、
「青春っていいね~」って思うのが常なのだけども……
 
長い話を短くまとめているせいか、
登場人物の誰にも愛着を持てず、
登場人物が叫んだり泣いたりしても
見ている自分の心はぴくりとも動かず、
自分がずっと無表情で見ているのがわかった。
画面を眺めながら
「この人もこの人も、一人で盛り上がってるな~」
って……。
 
携帯電話の普及で、
「物語にすれ違いを起こせなくなった」と言われているけれど、
 
待ち合わせした二人
→男の子のほうが先生に呼ばれて、待ち合わせに遅れることに
→女の子がスマホを落としたうえにそれを踏まれて、
 男の子からのメッセージを読むことができない(←無理矢理すぎる!)
→男の子が先生に呼ばれていたと聞いた女の子が、
 先生のところへ行って会話を立ち聞き
→男の子が京都の大学に行くと聞いた女の子はショック!
 「もういい!!」(←????)
→喧嘩別れする二人
 
この流れに最高に白けてしまった。
付き合ってるのに隠してた、とかじゃないんだよ。
なんで「もういい!!」なのか、わからん。
 
朱里ちゃんの目の色がとてもきれい。
よかったとこはそれくらい!
 
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3:谷津矢車『廉太郎ノオト』

2023-01-06 14:54:57 | 23 本の感想
谷津矢車『廉太郎ノオト』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
廉太郎の頭のなかには、いつも鳴り響いている音があった――

最愛の姉の死、厳格な父との対立、東京音楽学校での厳しい競争、
孤高の天才少女との出会い、旋律を奏でることをためらう右手の秘密。
若き音楽家・瀧廉太郎は、恩師や友人に支えられながら、
数々の試練を乗り越え、作曲家としての才能を開花させていく。
そして、新しい時代の音楽を夢みてドイツ・ライプツィヒへと旅立つが……。
「西洋音楽不毛の地」に種を植えるべく短い命を燃やした一人の天才の軌跡を描き出す。

時代小説家最注目の俊英が、ついに新境地・明治へ!
 
****************************************
 
読書感想文コンクールの高校生の課題図書になっていたため
知った本。
鎌倉時代アンソロジーのときには、
「あまり好みの作家さんじゃないかも」
と思ったのだけども、これはとても良かった。
気になったのは、幸田姉妹のキャラ立てが
ラノベっぽくて、やや浮いていたことくらい。
滝廉太郎については、昔テレビでやってた映画
『わが愛の譜 滝廉太郎物語』しか見ていないから、
たいして詳しくなく、新鮮味があったというのもあるんだけど、
最初から最後まで面白かったし、
新聞屋の家に行った場面のあたりから、何回も泣いてしまった。
 
廉太郎と幸田幸のふたりそれぞれに克服すべき課題が設定され、
それが克服されたことが、同時に示されるのが美しい。
二人の間に恋愛が介在せず、あくまでも音楽家同士の関係、
「これから日本で新しい音楽をやっていくぞ!」という仲間であるとともに
ライバルでもあるという関係に終始したのもよかった。
 
滝がこれからというときに結核で死んでしまうというのは知っていたが、
「結核の発覚」と「死」が直結した形で描かれず、
何事も成し遂げられないままに日本に帰り、
余生を送らなければならない空しさや悔しさを描くことに尺を
とっていたのもよい。
前半に音楽のエリートたちを数多く登場させていたことが、
滝が死んでも、その曲や夢が別の誰かに引き継がれていく、という救いに
リアリティを持たせていた。
 

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