金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

207:森谷明子 『白の祝宴』

2019-11-29 15:07:45 | 19 本の感想
森谷明子『白の祝宴 逸文紫式部日記』(創元推理文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

時は平安。人々の注目を集めるひとりの女性がいた──その名は紫式部。
かの『源氏物語』の著者だ。
実は彼女は都に潜む謎を鮮やかに解く名探偵でもあった。
折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産、
それを祝う白一色の華やかな宴のさなかに怪盗が忍びこみ、姿を消した。
式部は執筆のかたわら怪盗の正体と行方に得意の推理をめぐらすが……。

鮎川賞受賞作家による王朝推理絵巻。

*********************************************

『千年の黙 異本源氏物語』から始まる三部作の2作め。

紫式部はもちろんのこと、赤染衛門に和泉式部、
清少納言に右大将道綱母……
と平安文学の作者が勢ぞろい。
紫式部日記がどうしてああなったのか、
どうして現在まで残ったのか、というクエスチョンへの答えが
テーマになっているのだけども、
枕草子の「言われてみれば……」の謎も謎解きに絡んでいるし、
「大鏡」成立の背景も匂わされていて、平安好きにはたまらない。

ただね~……長いんだよ、これ……。
読み通すのに骨が折れるし、長いがゆえに
最初の盗賊騒ぎがどうでもよくなっちゃうんだよ……。
あとね、盗賊の正体が〇〇っていうのも、
最近似たようなのを読んだせいで「またか~」と思っちゃった。


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206:ほしおさなえ 『活版印刷三日月堂 海からの手紙』

2019-11-29 15:05:35 | 19 本の感想
ほしおさなえ『活版印刷三日月堂: 海からの手紙』(ポプラ文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

小さな活版印刷所「三日月堂」には、
今日も悩みを抱えたお客がやってくる。
物静かな店主・弓子が活字を拾い、丁寧に刷り上げるのは、
誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い……。
活字と言葉の温かみに、優しい涙が流れる感動作。
静岡書店大賞を受賞・ブクログ1位・読書メーター1位など、
話題沸騰の人気シリーズ、待望の第二弾!

*********************************************

今回も死の気配が漂う、ひんやりした空気感。
どのお話も前向きで、優しさを感じる作りになっているのに、
なぜか「ひんやり」とした肌触り。

最後の「我らの西部劇」が特に好き。

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205:佐藤友哉 『転生! 太宰治 転生して、すみません』

2019-11-25 22:39:36 | 19 本の感想
佐藤友哉『転生! 太宰治 転生して、すみません』(星海社FICTIONS)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

序 章 太宰、西暦二〇一七年の東京に転生する
第一章 太宰、モテる
第二章 太宰、心中する
第三章 太宰、自殺する
第四章 太宰、家庭の幸福を語る
第五章 太宰、カプセルホテルを満喫する
第六章 太宰、自分の本を見つける
第七章 太宰、ライトノベルを読む
第八章 太宰、メイドカフェで踊る
第九章 太宰、芥川賞のパーティでつまみ出される
第十章 太宰、インターネットと出会う
第十一章 太宰、芥川賞を欲する
第十二章 太宰、才能を爆発させる
第十三章 太宰、講談社に行く
終 章 太宰、生きる

あの太宰治がよりによって現代日本に転生!
今を生きる太宰が現代社会と人間への
痛烈な皮肉と賛歌を謳い上げる傑作、ここに開幕!!

********************************

出オチで終わるのかと思いきや、最後まで楽しかった。
文体模写や個々のエピソードは、太宰に詳しいほどに楽しめるし、
サブカルチャーに関する元ネタも、わかる人にはよりおもしろい。

転生していきなり心中を企てるし、
2017年に転生したことを理解した太宰が、
自分の本が現代でも書店に置かれているのに対して
志賀直哉の本が置かれていないことに優越感を抱いたり、
芥川賞のパーティーで爆発したり、
『文豪ストレイドッグス』を見て恐怖を感じたり、
アイドルマスターのエロ同人を読みふけったり。
話が動き出すのが遅いのだけど、
小ネタでにやにやできる。

「(芥川の名前を書き連ねたノートが)
 世間の目に触れることでもあったら、生きてはいけません」
と言っているのに笑った。
発見されてさらされてるし。

2巻が出ていることをいま知った。さっそく読もう。

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大河ドラマ『いだてん』#44

2019-11-24 20:16:01 | 大河ドラマ「いだてん」
カクさん「まーちゃんは意外と嫌われてるんです!」

菊枝  「でしょうね……」

みんな知ってるよ!!


* * * * *

川島のいやらしさが炸裂。
ここまで主人公を窮地に追い詰めた相手が
いただろうか。
まさにラスボスにふさわしい風格。

開催国インドネシアの国民のために、
選手たちのために、
インドネシアでのアジア大会への出場を
決めたまーちゃん。

しかしながら、国内ではバッシングの嵐。
河野の助言で「親善試合」と称して
切り抜けようとしたものの、吊るし上げにあい、
事務総長辞任に追い込まれてしまう。

板挟みになった東氏がつらい……。

まさかほんとに辞任させられるとは思わなかった。
高橋是清に
「金を出して口も出せばいい」
そう言ったツケが巨大ブーメランになって戻ってきたの、
震えるわ~……。


【その他いろいろ】

・辞任会見で、津島のセリフをことごとく邪魔するまーちゃん、
 泣かせるシーンなのに笑ってしまう。

・志ん生、死んじゃうのかと思った……。
 公園のシーンが死亡フラグに見えて。
 五りん失踪の方のフラグだったのか。

・まーちゃん子どもいたんだ!?!?
 
・「菊枝ちゃん」「菊枝ちゃん」(独り言)→「まだいたのかよ!?」
 これ、志ん生夫妻でもあったね。
 アイロンの霧吹きに使う水を呑んでたのに笑った。

・カクさんまでそっぽ向かなくてほっとした!!
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大河ドラマ『いだてん』#43

2019-11-23 14:01:55 | 大河ドラマ「いだてん」
かつての同僚である政治家・河野とのやりとりで、
川島が津島おろしを企てていることを知るまーちゃん。
しかしながら、津島おろしの主犯にされて、
津島本人からもそう思われてしまう。

「川島の恨みを買う覚えは?」
と問われて、「ある」「ある」「ある」と
プレイバックが始まるのがおかしかった。
言いたい放題言ってるもんね。

河野は、
「川島は私怨で動くような小物じゃない。
 政治がやりたいだけ」
というが、この後の出来事にしても、
彼のふるまいに、どんな政治的メリットがあるのか
まだよくわからんのよね……。

アジア大会で開催国のインドネシアが
政治的な理由からビザを出さず、
台湾とイスラエルの出場を阻害。
出場するかボイコットすべきかでゆれるまーちゃん。
 
政治とスポーツは別という信念に基づけば
選手のためにも出場したいが、
出場すれば東京オリンピックを
取り上げられる。

悩む現地スタッフのもとへ現れる川島。
「さっさと決めろよ~」
と言う彼に、まーちゃんが
「帰ると言ったら困るでしょ」
とスカルノとの親密な関係を指摘することで
一矢報いたのは爽快だったけど、
VS川島はこれからも続きそう。

【その他いろいろ】
・オリンピックおたくの五りんに、
 国旗マニアの学生に
 「友達いないだろ!」

・知恵ちゃん、岩ちんが好みだったのか。
「(五りんは)友達です~」
 なんたる変わり身の早さ。

・まだ死んでいないのに
 自分の肖像画を飾らせる可児先生。

・アレンはジゴローファンだったの??
 間接的な弟子??
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おでかけの記32:おでんしゃ @豊橋

2019-11-23 07:14:03 | おでかけの記
冬の風物詩(?)「おでんしゃ」に乗るため、
豊橋へ。

豊橋には昔、仕事で通っていたのだけど、
駅ビルの飲食店と書店しか暇つぶしする場所がなくて
困った記憶しかない。

そして10年以上たった今も、様子は変わらず。
観光する場所はないけれど、
すべてがコンパクトにまとまっていて
生活するのはよさそうな街だ。

仕事のあと、14:30ごろに到着して、
昼食を摂ったり、豊橋公園へ向かって歩きながら
街の様子を見たり。

「おでんしゃ」集合は18:10.









ビール飲み放題、おでんと弁当、カップ酒がついて
4300円。

比較的若めのカップルと、中年の団体と
高齢者の一大グループという構成。
女性のガイドさん二人がついていて、
ゲーム企画もあり、カラオケもありで
帰り道はそれなりに盛り上がり、和やかなムード。





いちばんおもしろかったのは、
休憩時間に個人的に車掌さんから聞いた車両の話。

地方の鉄道車両は、たいていJRなどの大手鉄道会社から
中古で購入したもの。
豊橋鉄道のこれは名鉄から買った。

*****

豊橋には有名な占い師がいるとのこと。
「おでんしゃ」が終わったあとで
彼を発見したので見てもらうことに。
手相を見るおじさんのようだ。

結構な列ができていたものの、
まあそこまで時間もかからないだろう……と
並んだら、なんと2時間以上待つことに。
一人20分ほどかけているので、進みが遅いのだ。

「ここまで並んだら、最後まで待つ!」
という自らの心理は、まさにコンコルド効果。
バーナム効果にコールドリーディング、
人に耳を傾けさせる話し方、
好感を持たせるふるまい……。

「なるほど、こうやって人を集めるわけね!」
と勉強になることが多かった。
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204:小川糸 『キラキラ共和国』

2019-11-16 18:36:59 | 19 本の感想
小川糸『キラキラ共和国』(幻冬舎)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

亡き夫からの詫び状、憧れの文豪からのラブレター、
大切な人への遺言……。
祖母の跡を 継ぎ、鎌倉で文具店を営む鳩子のもとに、
今日も代書の依頼が舞い込みます。
バーバラ婦人や男爵とのご近所付き合いも、
お裾分けをしたり、七福神巡りをしたりと心地よい距離感。
そんな穏やかで幸せな日々がずっと続くと思っていたけれど。
『ツバキ文具店』続編。

*********************************************

『ツバキ文具店』の続編。

旦那さんの経営するカフェの状況に触れられていて、
「『稼ぎ』とか『経済』という概念があったのか!!」
と驚いた。

というのも、『食堂かたつむり』も『ツバキ文具店』も『喋々喃々』も、
どう考えても生計が立てられないであろう暮らしぶりなのに、
まったく経済苦に触れられていなくて、
この作家さんの描く世界は、お金の問題の存在しない
ファンタジーなのだと思って読んでたの……。
あえてリアリティをなくして、
「こんな生活っていいよね」
と夢を見せるお話なんだと。

前の奥さんに対するシンパシーはよく理解できた。
それも血のつながらない子を可愛いと思えるからこそなんだろうな。
レディー・ババは一波乱起こすと思っていたので、
そこは拍子抜け。
でも、さらに続編がありそうな感じ。

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183-203:松井優征 『暗殺教室〈1〉~〈21〉』

2019-11-15 17:27:58 | 19 本の感想
松井優征『暗殺教室 1 ~21』(集英社)
★★★★☆4.5

【Amazonの内容紹介】

号令と共に教室を満たす銃声!
椚ヶ丘中学校3年E組は生徒全員が先生の命を狙う暗殺教室。
教師と生徒、標的と暗殺者の異常な日常が始まる――!!

*********************************************

友だちにもらったもの。
確か、3巻くらいまではリアルタイムで読んでいたんだけど、
それっきりになっていた。
こんなふうに展開して終了したのね~。

通常のほのぼのギャグ路線が好きだったので、
シリアス回が続くと
「こういうのを求めてるんじゃない……」
と思ってしまうのだけど、序盤から過去を匂わせる仕込みが
しっかりしてあったので、唐突に感じさせることもなかったし、
飽きが来る前にきちんとムードの切り替えもしている。

タイトルと設定がこれなんだけども、
教師と生徒、教育といった設定に沿って
登場人物の成長や関係性の変化を描いていて、
説教くさくなく、ちゃんと「教育」的な内容になっているのよ。
何かができるようになることで自信が持てるようになること。
自分にできることとできないことを見極めて、
できないことはどうカバーしていけばいいのかということ。
社会に理不尽はたくさんあるけれども、
その中でどうやって生きていくのかということ。
中学生が成長していく姿に感動さえ覚えてしまう。

なによりタイトルに掲げて、前提条件となっていた
「殺す」という行為を、逃げずにきちんと描いていたのがよかった。

基本はほのぼのギャグなんだけども、
序盤から伏線を仕込んでいるし、
最初にきちっとストーリー展開を決めて描いていたんだろうな~と
わかる。
20巻は泣きそうになっちゃった。

悪役として登場した人物のほとんどが、それなりにみな
愛すべきキャラになっていて、キャラメイクもすばらしい。








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おでかけの記31:OSLO COFFEE @栄

2019-11-15 11:55:32 | おでかけの記

栄の地下、セントラルパークにあるカフェ。
その名の通り、北欧テイスト。


店としてはコーヒーにこだわりがあるっぽいのだけど、
違いがわからない女は
「コーヒーだ」
という感想しか持てない。


コーヒー380円
セムラ 420円

ブリオッシュでクリームを挟んだデザート「セムラ」。
クリームはおいしいけど、
ブリオッシュとの組み合わせじゃなきゃいけないかというと「?」。
まあ、でも、それはクリームパンも同じか。

広くて開放感があり、ゆったりできるのがいい。
お客は女の人が多いけど、
健康談義をずーっとしているおじいさんとおばさんもいた。
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お出かけの記30-1:文化のみち @高岳~東大手

2019-11-14 11:27:32 | 19 本の感想

「二葉館」からすぐ近くの「撞木館」。


玄関の軒下の明かりが、青い星。
すてき。



入り口すぐ近くの部屋(旧応接室)は
カフェになっている。



ドアには象嵌細工。












ステンドグラスも品がいい。



サンルームは分離型。



離れは日本家屋。




昔の台所。


離れにある蔵へも行ける。



見られるのはここまで。


お庭にテーブルと椅子がある生活、憧れ。

二葉館も撞木館も、当時の文化人や財界人の
サロンになっていて、
二葉館の華美な雰囲気になじめなかった人は
撞木館に来た……という説明に納得できる
雰囲気の違い。


次は撞木館を北上し、豊田佐助邸へ。



豊田佐助は、トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏の弟で、
自身も実業家だったとのこと。



天井の通気口。
「とよた」の文字を組み込んでいる。
(「た」は変体仮名)

この邸宅、二葉館・撞木館を見たあとだと、
ひどく地味に見えてしまう。




地味です。



ひたすら地味です。





二階の廊下だけが洋風。


向かいに立派な蔵があるんだけど、
一般住宅みたい。

ラスト、名古屋市市政資料館へ。


正面玄関で中学生がクラス写真を撮っていて、
大騒ぎだった。
無駄なエネルギーがまぶしい。





ゴージャスな洋風建築。
ドラマの撮影でよく使われているとのこと。





ステンドグラスいいねえ。







一部の部屋はレンタルスペースとして貸し出されているらしく、
作品展をやっていた。
喫茶店もあり。
だけど、建物がとにかく大きくてゴージャスすぎて、
有効活用されていない感じがする。
じゃあ何に使えばいいんだと言われると
困るんだけど。
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