金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

155-156:D・キッサン 『千歳ヲチコチ1~2』

2019-09-30 20:43:19 | 19 本の感想
D・キッサン『千歳ヲチコチ: 1 ・2』
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

時は千年の昔、平安時代。
少々風変わりなセンスを持った貴族の姫・チコがしたためた文が、
ふとした風のいたずらで、若いわりには世を悟ったような
貴族の子息・亨の元に届く。
個性的な文の内容に心を動かされ、返歌を出した亨。
たった一度、偶然交わしただけの文は、これから何をもたらすのか――?

*********************************************

漫画。
「ここまで読んだ」の覚え書き。

きちんと勉強したうえで崩しているのがわかるし、
キャラクターにも好感が持てる。
ただ、早い段階で脇キャラにスポットをあてるせいか
あちこちに話が脱線して、
おそらくストーリーの主軸であろう二人の関係が
一向に進まないのであった。
おもしろいところもあるんだけど、興味を持てないパートが多くて
先を読むかどうか悩むところ。



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映画:『HELLO WORLD』

2019-09-30 20:38:12 | 映画の感想
2019年の映画⑥:『HELLO WORLD』(伊藤智彦 監督)
★★★☆☆3.5

【シネマトゥデイのあらすじ】

2027年の京都。
引っ込み思案な男子高校生の直実は、ナオミという青年と出会う。
ナオミは10年後の世界からやってきた未来の自分で、
未来で瑠璃という女性と結ばれるが、
彼女を事故で失ってしまうのだという。
彼はナオミを先生と呼び、協力して
事故に遭う彼女の運命を変えようとする。
そして、自分が生きる2027年に隠された秘密や
ナオミの本当の目的を知る。

*****************************

※ネタバレ注意。



脚本の作家さん、いつも
「おもしろいんだけど、手放しで賞賛できない」
という感想に落ち着くんだけど、
今回も同様だった。

設定に関しては『マトリックス』以降
定着した世界観の延長線上にあるものの、
「ラストのどんでん返し」が特色で、売りでもある。

ただ、この「どんでん返し」にたいして心動かされなかった。
(事前に「入れ子式構造になっている」という
ネタバレを見たから理解できただけで、
事前情報なしだったら「は?」で終わったと思う)
そして、
「なんで武器が本なんだ」
「初めて自分で選んだ、と言ってるが、お前、選んでないだろ。
 ナオミに言われてその気になっただけじゃないか」
「何回、回想シーン入れるんだ!」
等々、細かいところが気になった。
ストーリーを動かすコンピュータ関連の設定も、
「細かい設定はあるんだけど、描いてないだけ」ではなく、
もとから非常にふわっとしたものなんじゃないだろうか。

しかし、後半の三角関係が泣かせるので、
それだけで好み度★が1つ上がっちゃう。
苦難の末にようやく彼女を取り戻したと思ったのに……という
ナオミの悲しみ、
彼女が彼にお礼を言う場面にはうるっときてしまった。
タイトルもいいね。
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大河ドラマ『いだてん』#37

2019-09-29 20:35:20 | 大河ドラマ「いだてん」
ついに嘉納先生死す。

* * *

日中戦争がはじまり、政治家となった河野一郎は
表立ってオリンピックの実施に反対。
軍事国家となった日本で、平和の祭典であるオリンピックを
開催することに対する違和感はふくらむ一方。

副島氏も返上を談判し、
まーちゃんでさえ返上を主張するものの、
嘉納先生の決意はゆるがず。
IOC委員会で、日本に対する非難が浴びせられる中でさえ
人徳で日本での実施を押し通してしまう。

四三がかつて経験したように
ピークの時期に栄誉を勝ち取ることができなくなってしまう
選手たちの一生への影響、というのも慮ったのだろうけれど、
自分に残された時間が短いとわかっているからこそ
生きているうちに日本でオリンピックをやりたかったんだろうな……。
自己中心的ではあるけれども、
30年オリンピックにかかわってきた人だもの、
最後にそれくらいの夢は見たっていいよね……。

休止という結果を見ないまま、
東京オリンピックを夢見て亡くなったのは
彼にとっては幸福だったのかもしれない。

まーちゃんも、副島氏も、嘉納先生も、、
みんなオリンピックを大切に思っていて、
互いにそれを理解しているのに
同じ方向を向くことができずにぶつかり合う。
苦しい苦しい45分だったわ。

【その他いろいろ】

・スヤさん「盛りのついた肥後もっこすばい」
 相変わらず見た目は可憐なのに、
 中身はすっかり、あけすけなおばさんになってしまったスヤさん。

・ストーリー展開の都合とはいえ、
 四三が河野へ抗議するため新聞社へ乗り込んでくるのは
 とんちんかんすぎる。

・菊枝が理想の妻すぎる!!!!
コメント (2)
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154:飛田良文 『明治生まれの日本語』

2019-09-28 14:30:32 | 19 本の感想
飛田良文『明治生まれの日本語』(淡交社)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

恋愛、新婚旅行、個人、権利…
今日あたり前に口にしていることばのうち、
明治時代に生まれた新語を「明治生まれの日本語」と名づけ、
それらが造られた事情や背景を、
膨大な文例をもとに「辞典の泰斗」がするどく斬り込む!

*********************************************

開国を機に西洋の事物や概念が持ち込まれたため、
明治時代にできた言葉は多いのだろう……と思ってはいた。

「年賀状」も「常識」も「世紀」も
明治にできたのね~という意外性は
あったのだけど、それよりもよかったのが、
西洋の概念を日本語で表すためにいろんなアイディアが生まれ、
それが競り合いながらひとつに集約していく様子。

英語の「ステーション」は「鉄道館」「鉄道寮」「停車場」等々の
訳が試みられ、「駅」は旧来「宿場」を指していたから
避けられていた。
「時刻」を表す「~時」も、「明け六つ時」等、
それまでの不定時法との混乱を避けるため使われず、
代わりに「字」を使っていて、
これもまた文字数と混同された。

そんなふうにさまざまな案が出ながらも、結局、
政府が出す法令や教科書に採用されることで
その言葉が市民権を得るようになった……というパターンが多く、
言語の変革ってやっぱり国家レベルで働きかけないと
急には変わらないんだな、と思う。


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おでかけの記23:古川美術館&爲三郎記念館 @池下

2019-09-28 11:57:37 | おでかけの記
午前中から14:00くらいまで仕事、という日があり、
せっかく外で出たのだからと、
古川美術館の「石川九楊展」へ行くことに。

古川美術館、名前は知っていたのだけど、
池下にあったんだな。
駅からちょっと歩いた住宅地にある。



さて、石川九楊展。



実は調べもので著作には何冊かあたったのだけど、
「難しい……」
と斜め読みで終わっていたし、
書の作品はちゃんと見たことがなかったのだった。

「よく見ると字が書いてあるけど、これは抽象画では?」
といった感じ。
自分の持っていた、「書」のイメージからはかけ離れていた。

唯一、「なるほど」と思ったのは、
「二〇〇一年九月十一日晴」の題のついた2作。
これは芸術音痴にもわかった。



古川美術館は、ヘラルドグループの創業者・
古川為三郎氏の収集したものを所蔵しているとのこと。
分館の爲三郎記念館は、彼が晩年をすごした邸宅。






建物のあちこちにテーブル&椅子があり、
ボタンを押すとスタッフの方がやってきて
カフェメニューを注文できる仕組み。


あん珈琲。
珈琲にあんと白玉を入れると、
コーヒーせんざいっぽくなるとのこと。
やってみたけれど、個人的には、
別々に飲んだり食べたりしたほうが好み。

人は適度にいるけれど、混んではおらず、
静かで落ち着く。
また企画展があったら行きたい。
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おでかけの記22:チャーリーズ @名古屋駅

2019-09-27 11:43:09 | おでかけの記


大名古屋ビルヂングの1階に入っているお店。

以前、だれかが紹介しているのを見て何度か行ってみたのだけど、
ベーカリー&カフェ&グローサリーといった感じ。

1回めに偵察に行ったときは、
おすすめだというフルーツサンドを見て、
「えええっ、この大きさでひとつ500円!?」
と怖気づき、
「いやいや、値段相応においしいのだろう」
と意を決して行ってみた2回めは
フルーツサンドが売り切れ。

3回目にしてようやくフルーツサンドにありつけた。
いくつかのベリーを組み合わせた赤&紫、
写真マスカットの黄緑、
柑橘類特有の断面を見せたオレンジ……
と、色とりどりのフルーツサンドが並んでいる陳列棚は
見るだけで気分が高揚する。

どうせなら季節のフルーツを!
ということで、葡萄と桃のフルーツサンドを一つずつ
セレクト。
どちらも好きなフルーツなので、おいしいに決まっているし、
クリームとパンのバランスも好き。
「小さいサンドイッチに500円」ではなく
「ケーキに500円」と考えると、
そう高くは感じない(かもしれない)。
実際、スイーツみたいなもんだしね。

がっつり食事! というカフェではないので
日曜日の昼にも空席があった。

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おでかけの記21:一宮市立図書館

2019-09-25 11:30:32 | おでかけの記


学生時代、尾張一宮の駅で降りることは
しばしばあったものの、
「店がいくつかある分、地元よりはマシ」
くらいの認識で、飲食店以外には
時間をつぶすところがなかった。

しかし今は駅構内の飲食店が増え、書店もある。
駅ビルには図書館やカフェもあり、
明るく賑やかな雰囲気。

図書館は、外へ出なくても駅構内から
エスカレーターで上がって行けるのが
うれしい。

まだ新しいし、閲覧&自習の席も多い。
蔵書はめちゃくちゃ多いというわけではないけど、
よく行く図書館にはない本がたくさんある。
すぐ近くに飲食店が多いので、
「途中で休憩を挟みながら、
 朝から夕方までがっつり調べものをする」
ときにはとてもいい。
岐阜駅もそうだけど、駅と図書館がつながってるのって
図書館ユーザーには
理想的な環境じゃないだろうか。
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大河ドラマ『いだてん』#36

2019-09-22 21:36:06 | 大河ドラマ「いだてん」
今日のトピックは、

・プレッシャーに苦しむ前畑の奮闘
・もはや政治抜きでは行えないオリンピック

の2本立て。

たったひとり、おそらく両親でさえ理解できず
分かち合うことができない前畑選手の
プレッシャーと孤独。

金メダルなしでは国に帰れない、と彼女は
精神的に追い詰められているけれど、
彼女のライバルであるドイツの選手もまた、
ヒトラーじきじきの激励を受け、
大変なプレッシャーを感じているであろうことが
それとなく示される。

結果として前畑は金メダルを取り、見ている自分も
「よかったね」
と祝福できるけれど、前畑に敗れた選手が
どんな目にあわされたかと思うと、
苦しくて仕方ない。
こういう世界情勢だもの、
国の威信を背負ってやってきた選手たちに
気楽な人などだれひとりいないよね……。

ドイツで通訳してくれていたユダヤ人の彼、
「4年後、東京に来るといい」
というまーちゃんに、
「それは難しい」
と告げる。
この後でユダヤ人を襲う運命を
視聴者の大部分が知っているからこそ、
副島氏に解説させなかったんだな……と
思ってみていたのだけど、
まさか通訳の彼が即刻
自殺してしまうとは思わなかった。

日中戦争がはじまり、世相はどんどん暗くなる。
東京オリンピックを開催するとなれば
ほうぼうに気を遣わねばならず、
さすがの嘉納先生も追い詰められ気味。

オリンピックを軸にしながらも、
ちゃんと時代の空気を色濃く映しだして
移り変わりを描いてる。
「大河ドラマ」と言うにふさわしい出来じゃないの。

【その他いろいろ】

・カナクリシソウからの電報を
「だれやそれ」
 で片付ける前畑。
 友人たちも何も言わなかったあたり、
 本当に彼女たちにとっては「だれやそれ」
 だったんだろうなあ。
 若い世代で、しかも競技もちがうんだもん、
 前半も主役もモブ以下の扱い!

・ピリピリする前畑を「秀ちゃん」とか呼ぶまーちゃん、
 「河童が人に気使うてはる」
 と女の子たちに不気味がられる。
 さわがしくデリカシーのないおっさんが
 なれなれしく「秀ちゃん」なんて呼んだら
 火に油を注ぐだけだよ!



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147-153:最近読んだ本(ほぼ記録のみ)

2019-09-16 10:35:05 | 19 本の感想
マキ 『持たない ていねいな暮らし
再々読。



信濃川日出雄 『山と食欲と私 1巻: バンチコミックス
読み放題にて。
山で食べるごはんはおいしい。
それは知っているけど、そこまでの面倒くささが
先に立っちゃうんだよな~。




井田ヒロト『お前はまだグンマを知らない 1巻 (バンチコミックス)
読み放題にて。
ネットにはもっとめちゃくちゃでぶっとんだ
「グンマ」像があふれているので、
そのあとで読むとパンチが弱く感じられてしまう。




毎日パパッと、整う暮らし わたしの「家じかん」ルール
読み放題にて。
以前読んだのに、中身を見てもまったく記憶がなく
また購入しそうになってしまった。
危ない危ない。



荻野淳也『心のざわざわ・イライラを消すがんばりすぎない休み方 すき間時間で始めるマインドフルネス
読み放題にて。
休むということが、どうしてこんなに難しいのか……。


南正時『街歩き・里歩きの名水・湧水散歩
行ってみたいと思わせる場所がいくつもあったけれど、
写真に写りこんでいる著者らしき人物の
存在感(身なりゆえ)がすごい。


南正時『箱根散歩マップ
箱根湿生花園と湯河原は行ってみたい。


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146:益田ミリ 『お茶の時間』

2019-09-15 21:45:59 | 19 本の感想
益田ミリ『お茶の時間』(講談社文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

ふらりと入ったカフェ。
そんな息抜きのひと時に―。
女子会の話題に耳を澄まし、カップルの初々しい雰囲気に憧れ、
仕事をしている男性をチェックし、自分について思索にふける。
大人気、益田ミリが描く、さまざまな人生の断片と輝き。
ゆるふわ楽しい人生エッセイ・マンガ。
文庫描下ろし作品も巻末特別収録。

*********************************************

読むものがなくなって、出先で購入したもの。

ちょうど、年に数回あるかないかという
不愉快な出来事が起こった直後だったので、
「不愉快」というものについて
「その多くは無下に扱われたことのなのではないか」
と書かれていたのに、本当にそうだ、と思った。
自分を不快にするその行為は
さまざまな形をとっているけれど、
不愉快の根本にあるのって
「舐められてる、軽く見られてる」
という認識なんだ。

随筆として文章で書いたらオチもなく終わってしまう話が、
漫画だと、手腕によっては
「間」や「雰囲気」でうまくおさめることができるのだな、
と思った。

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