金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

126:中村航 『夏休み』

2007-11-19 09:51:03 | 07 本の感想
中村航『夏休み』(河出書房新社)
★★★☆☆

妻であるユキとその母と3人で暮らすマモル。
ユキの友だちである舞子と結婚した吉田くんと
「義理の友達」になり、
「片方が離婚したら、もう片方も離婚する」
という密約を交わしていたが、ある日、
吉田くんが家出をしてしまい……

**************************************

ライトすぎてポカーン

この人たち、大人だよね?
なんだか児童書の、高校生の物語を読んでいるようだった。
会話のテンポもよいし、くすっと笑わせるところもあって
伊坂幸太郎や吉田修一に近いテイストなんだけど、
さらさらしすぎて何も残らない。
ユキのママが登場する意味がさっぱりわからないし。

「徳川光圀は放浪癖があるよね」
「うん。あれは完全に放浪癖」
「一人じゃなにもできないくせにね」

のところはおもしろかったです。
実際の光圀は放浪なんかしてないそうだけど、
黄門様ははた迷惑な男だよ!

嫌いじゃないのだけど、もの足りない……ということで
★2.5といったところ。

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125:大宮知信 『スキャンダル戦後美術史』

2007-11-18 22:15:48 | 07 本の感想
大宮知信『スキャンダル戦後美術史 (平凡社新書)
★★★★★

わたし、はっきり言って芸術オンチです。
みんながもてはやすゴッホもモネも、
そんなに美しいか?と思っちゃうし、
岡本太郎は思想や著作物はおもしろいけど、
彼の芸術作品の価値はさっぱりわからない。
ダリもストーリーとしての彼の人生に興味はあっても
作品自体に心は動かされない。
自分がそんなふうだから、
「ゴッホのひまわり見た~!超感動した~!!」
とか無邪気に言われると、
「『ゴッホ』って名前がなくても?」
と訊き返したくなる性格の悪いわたしです。
価値がわからないのはわたしだけなのか?
「有名だから」とか「評価されてるから」というのを
取っ払っても、本当にみんな素晴らしいと思うのか?
……と結構長い間思っていたのだけど、その疑問に
ひとつの答えを示す一冊でありました。

美術関係者から一般庶民にいたるまで、
日本人の心に横たわる権威主義を軸に、
戦争画家の戦後、贋作疑惑、絵画バブル、美術館経営、
芸術大学など戦後美術界にまつわるスキャンダルと
問題点を指摘。
おもしろくて一気読み!
藤田嗣治の虚像を剥ぐ第一章がとくにおもしろい。
アメリカ軍に押収され、日本に「永久貸与」されたのち、
全面公開もされずに東京国立美術館に眠っている、
そんな大量の戦争画の存在、知っていましたか??


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124:小川洋子 『はじめての文学 小川洋子』

2007-11-16 19:16:09 | 07 本の感想
小川洋子『はじめての文学 小川洋子』(文藝春秋)
★★★★☆

【収録作品】
「冷めない紅茶」
「薬指の標本」
「ギブスを売る人」
「キリコさんの失敗」
「バックストローク」


「博士の愛した数式」「世にも美しい数学入門」しか
読んだことがなかった小川洋子。
「薬指の標本」は文庫になっているのを見て、
ホラーかスプラッタにちがいない……と
思い込んでいたのだけど、好み
詩的で美しい文章でつづられる静謐な世界。
ちょっと残酷で、エロチック。
「冷めない紅茶」と「薬指の標本」が好きでした。
結局なんだったの?という説明がなされないまま、
不思議が不思議のまま終わっていくのも、
もやもやするけど、印象的で良し。

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123:アレックス・シアラー 『ラベルのない缶詰をめぐる冒険』

2007-11-13 10:41:56 | 07 本の感想
アレックス・シアラー 『ラベルのない缶詰をめぐる冒険』(竹書房)
★★★☆☆

その容貌のため「頭がいい」と誤解を受けるファーガルは、
そのイメージを守るために、缶詰を集めはじめる。
スーパーの特売品のかごに入っている、ラベルのない缶を
あけると、そこにはたった一つ、金のピアス。
次に開けた缶詰にはもっと恐ろしいものが。
同じ趣味をもつシャーロットと出会ったファーガルは、
ふたりで開けた缶詰の中から「help」と書かれた紙を発見し、
シャーロットとともに缶詰工場をつきとめようとするが、
シャーロットの旅行中、ファーガルは行方不明になってしまう。

**********************************************

帯やカバーのあらすじでだいたいの見当がついてしまって、
特別おどろきもないままに読了。
勇気と友情と冒険の物語で、シャーロットがファーガルを
さがしにいくあたりはなかなかの盛り上がりなのだけど、
あっさりすぎる……というか、ちょっと都合が良すぎるんじゃ
ないかという気も。
いちかばちかの賭けで外に出したファーガルのSOSサインが
かんたんにシャーロットに届いてしまったりね。
最後のオチはおぞましくて、子どもには刺激が強いかもなあ~。

不良品ばかり出すメーカーは必然的に売れなくなって
淘汰されていくだろうし、これまでにも××の混入した缶詰を
手にした人はいたはずで、問題にならなかったのはおかしい
……と思うのだけど、つっこんじゃダメなのか。
ママも捨てて済ますんじゃなくて届け出ようよ!!


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122:石崎洋司ほか 『Fragile こわれもの』

2007-11-12 10:14:22 | 07 本の感想
石崎洋司ほか『Fragile―こわれもの (teens’ best selections 10)』(ポプラ社)
★★★★☆

【収録作品】
・石崎洋司「Fragile―こわれもの」
・島崎夏海「忘れ物」
・令丈ひろ子「あたしの、ボケのお姫様。」
・花形みつる「アート少女」
・石崎洋司「流星群」

児童文学作家によるアンソロジー。
自分の大切なもののために闘ったり、傷ついたりする
センシティブな少年少女たちの物語。
安心して読める、ハズレなしのアンソロでした。
4編とも舞台が横浜なのは、なにか意味があったのかな?

石崎洋司さんは前回の「チェーンメール」に続き、
ひんやりとした感触の、突き放したような文章だなあという
イメージなのだけど、青い鳥文庫で人気らしい
「黒魔女さんが通る!!」シリーズの人なのね。
いったいどれだけ作風を変えているのか、
気になるところ。
「流星群」より「Fragile―こわれもの」が好きでした。
たぶん、男の子の書き方が好みじゃないんだな。
なので男の子視点になるとイマイチに感じられる。

令丈ヒロ子さんは青い鳥文庫で人気の
「若おかみは小学生!」シリーズの人(これも未読)。
むかし、それと知らずに「料理少年Kタロー」シリーズを
読んでおりました。
「あたしの、ボケのお姫様。」はお笑いコンビを
組むことになったふたりの女の子の、明るくポップな物語。

島崎夏海さんと花形みつるさんは初めて読んだ作家さん。
「アート少女」がちょっとコミカルでおもしろかったな。
芳子の書き方がなにか取ってつけたようだったけれど。

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121:夏目♀ 『片付けられない女魂』

2007-11-02 13:38:03 | 07 本の感想
夏目♀『片付けられない女魂』(扶桑社)
★★★★☆

ブログ本を手にとったのは初めてなんじゃないだろうか……。
実はわたし、書籍化される以前からここのブログ読者でした。
汚部屋を片付けるための試行錯誤と奮闘ぶりが
おもしろいのです。

父ももうここを見ていないと思われるので書きますが、
二十年近く、思うたびにわたしの気持ちを暗くしている
人生の悩み……
それは母が度を越した「片付けられない女」であること。
夏目さんの部屋、まだきれいだよ!
汚部屋っていうか汚家、実家の半分以上は開かずの間。
まだ実家にいた6年前、新聞社の人が
「今から伺いますので部屋の写真をとらせてください」
といきなり家に来ようとしたときほど
戦慄したことはありません(全力で拒否!!)。
数年後、父は退職するはずなのですが、
四十年間懸命に働いて残されたのが、
あの汚家であると思うと涙が出そうです
お父さん、どこで生活すればいいの……?
文句を言いつつわたしがせこせこ働いているのは
父の定年前にアレをお金で解決しようとしているからです。

ううっ、書いていたらまた気分どんより……
っていうか、これ、本のレビューじゃないし。


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