金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

映画:『365日のシンプルライフ』

2020-08-30 22:27:08 | 映画の感想
2020年の映画⑬:『365日のシンプルライフ』(ペトリ・ルーッカイネン 監督)

【シネマトゥデイの内容紹介】

ヘルシンキに暮らす26歳の青年ペトリは恋人との破局を発端に、
さまざまな物にあふれた生活を変えることを決意。
持っている物を全部倉庫に預け、倉庫から持ち出すのは1日に1個、
1年間継続、1年間何も買わないという四つのルールを課す。
今、自分に必要な物を選ぶという日々の決断を通じて、
彼は人生で大切な物は何かと模索するようになっていく。

*****************************

Amazonプライムにて。
なんとなくドキュメンタリーっぽいつくり。
「話としては面白くない」という前評判を聞いていたし、
わたしの感想も「うん、面白くないね」しかない。
生活改善のモチベーションアップにもならなかった。

でも、全部なくしてリセットするのには憧れる。
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186~191:とみ新蔵『源氏物語』1~6巻

2020-08-30 22:01:01 | 20 本の感想
とみ新蔵 『源氏物語1~6』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

マンガでわかる、古典入門!
時代劇画家・とみ新蔵が古典の名作「源氏物語」を
緻密で卓越した作画技術で、美麗かつ妖艶にマンガ化しました。
「源氏物語」とは平安時代の中頃に紫式部が創作した
日本が世界に誇る長編物語であり、
容姿、才能などを兼ね備えた主人公の光源氏を通して、
恋愛、栄光、没落、権力闘争など、
平安時代の貴族社会が描かれています。
マンガで簡単に日本古典文学の最高傑作「源氏物語」の世界に
浸ることができます。

********************************
 
漫画。読み放題にて。
絵が劇画調で敬遠されそうだし、
女性たちを描き分けるためにおかしな髪型にされてしまっている
(特に朧月夜。これはないでしょ……)という難もあったのだけど、
これまでに読んだ源氏物語の漫画版で
いちばんおもしろかったかもしれない。

独自解釈やアレンジは多いんだけど、
それがうまく原作のストーリーとマッチしていて、
人物に深みが出ている。
何より、光源氏にあんまり腹が立たないの!
(まったく立たないわけではないよ
今まで読んだやつ、源氏が「つらい……」とか泣いても
「身から出た錆だろ、何言ってんだオメー」
としか思わなかったんだけど、この漫画では
ちゃんと彼の苦しみや優しさを不自然でないように描いているから
悪印象が強くない。
六条御息所の苦しみも、幸福だった時代の回想を入れているから切ないし、
空蝉が源氏を拒み通した理由もいい。
この漫画の補完あってこそだけど、源氏物語が傑作だっていうのが
ちょっとわかった気がする。

明らかに途中なんだけど、これで完結とは。

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182~185:松崎夏未『烏に単は似合わない』1~4巻

2020-08-30 21:40:51 | 20 本の感想
阿部智里(原作)・松崎夏未 『烏に単は似合わない1~4』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

シリーズ累計100万部、史上最年少松本清張賞受賞作の
超人気和風ファンタジーコミカライズ。
人間の代わりに「八咫烏(やたがらす)」の一族が支配する世界「山内」で、
世継ぎである若宮の后選びが始まった。
朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から遣わされた四人の姫君。
それぞれが思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こる。
姿を消した侍女、後宮への侵入者、そして謎の手紙…
果たして最後に若宮に選ばれるのは誰なのか―

********************************
 
漫画。無料公開にて。
原作を読んだときには、
「好きなところもあるけど、そうでないところが多い」
という感想で、結局続編を読まなかったのだけど、
この漫画版は原作の良くなかったところをうまく処理している。
一度も引っかかることなく4巻分全部読めたもの。
漫画だと一ページあたりの情報量が多いから、
小説版で感じた退屈な部分が漫画だとそこまで気にならない。
特に終盤になると設定盛りすぎな感もあるのだけど、
原作のときには印象に残らなかった伏線や設定を再確認して、
なるほどなあと肝心。

白珠のキャラデザだけ初登場時からかなり違和感があったのだけど、
彼女にスポットがあたりだしてから、その絵がどうにも
気持ち悪くて気持ち悪くて。
他が美しく整っているので、余計に悪目立ちしてしまっていた。

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大河ドラマ「麒麟がくる」#22

2020-08-30 20:50:55 | 大河ドラマ「麒麟がくる」
放送休止期間を挟んでいたから、正直なところ、
もう見なくていいかな~と思ってたんだけど。
近衛前久が出ると聞いて、見たよ。
冒頭、将軍の反抗期エピソードに出てきて、
これで終わりかしらんと思っていたら、
近衛家つながりで、伊呂波太夫のところに再登場。
「客がいるのに駒に東庵とのケンカについて話させる」
という不自然な展開で前久と駒ちゃんを会わせたので、
今後も登場するんかな。

「ますます実権奪われて将軍さまスネちゃったから、
 なんとかして~!」
と越前の十兵衛のところまでやってくる藤孝。
十兵衛のこと好きすぎだし、買い被りすぎだろ。
「主人公だから」以外の説得力をくれ!
……と思っていたけど、将軍に会って、
信長を後ろ盾に!と役に立つ提案した!!
ちゃんと役に立った!!

松永久秀は相変わらずキュート。
死んだ奥さんを愛していた、ということを示しつつ、
即刻伊呂波太夫を口説きにかかる。
松永のキャラ立ては初回から上手いんだよね。

【その他いろいろ】

・十兵衛の子・赤ん坊のたまちゃんに
「藤孝さまのこと気にいったみたい~!!」
 というエピソードつけたの、
 後の展開を知っている人にウインクするような上手いくすぐりだ。

・還俗前の義昭も登場。
 今日はわりと仕込みがたくさんあって充実していた。
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181:池田亀鑑『平安朝の生活と文学』

2020-08-29 20:27:45 | 20 本の感想
池田亀鑑 『平安朝の生活と文学』 (ちくま学芸文庫)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

豊かな国風文化を育んだ平安時代、
その担い手だった宮廷の人びとはいったいどんな生活をしていたのか。
本書は、『源氏物語』や『枕草子』などの文学作品をはじめ、
さまざまな古記録を博捜し、当時の行事や日常を復元する。
後宮の制度や宮仕えの動機から、住宅事情、食事と食べ物の種類、
結婚と風習、懐妊と出産、美意識やその表現、美人の条件や教養、
はては娯楽、疾病、医療、葬送、信仰などにいたるまで明らかにした、
平安時代の女性生活百科の名著。
国文学専攻の教師や学生はもとより、広く古典文学愛好家必携の書。
通読するだけでも、当時の生活が澎湃として眼前に立ち現れる。

********************************
 
女性の生活に焦点をあてた事典的な内容になっており、
王朝時代の生活を知りたい人には非常に役に立つ。
女房名の法則に結構驚いた。
親や夫の官職にちなんだ名前をつける、というのは知っていたんだけど、
上臈・中臈・下臈で名前に使われる通りや国名に差があったのね。

ビジュアル的な要素(たとえばかさねの色目とか調度品)は弱いんだけど、
幅広い要素をカバーしていて、なおかつ詳しい。


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180:神坂次郎 『藤原定家の熊野御幸』

2020-08-29 19:48:24 | 20 本の感想
神坂次郎 『藤原定家の熊野御幸』 (角川ソフィア文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

中世の人々の信仰を集めた熊野詣は、
苦しい道を辿れば辿るほど来世の利益が約束されるという
困難な旅であった。
建仁元年、後鳥羽院に同行を命じられた藤原定家は、
先駆けとしてゆく先先の儀式や食事、
宿舎の世話をする役目だった。
のんびり歌を作る暇もない中で、
時には寝過ごして慌てることもあったが任務をまっとうした。
不平不満を漏らす同行記録からは
定家の人間的側面がよく見える。
熊野を熟知した著者ならではの定家考。

*******************************************

電子書籍の期間限定ポイントが消失しそうだったので、
たまたま目についたこれを購入。
以前、どこかで紹介されているのを見かけたんだけど、
購入を見送ったのだった。

『明月記』の熊野御幸の部分にスポットをあてたものだけど、
定家より熊野自体に焦点があるような。
小説風のところもあれば、伝承の紹介、
ルポタージュっぽいところもあり。
初めて行く場所なのにツアコンをさせられる定家の
悪戦苦闘と不平不満。
いくら便宜をはかってもらいたいからといって、
やりたくないことをやっちゃだめだよね……と改めて思う。
いやなことであればあるほど見返りを期待して、
苦しむことになるんだもの。
定家の性格といい、後鳥羽院のふるまいといい、
「そりゃあ仲悪くなるわ!」といった感じ。
和歌のことがなくても、きっとうまくいかなかっただろう。
あと、何回も熊野に行ってた後鳥羽院、
自分は全部お膳立てしてもらえるからいいけど、
下々の者にとっては本当に迷惑な人だっただろうな……。 

興が乗ってきてあちこちに和歌や漢詩を書きつけてから、
書いちゃダメだったんだ、と気づいてあちゃー、なエピソードが
面白かった。

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179:石川ローズ『あをによし、それもよし』3巻

2020-08-27 11:47:12 | 20 本の感想
石川ローズ 『あをによし、それもよし 3
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

藤原不比等になりかわった元ミニマリスト・フジワラさんの
山上憶良贅沢化計画が動き出す!? 
さらに、気怠くも気高い阿閉皇女、
運転支援装置(ドライビングサポートデバイス)である息子・阿礼草、
小物感隠せない藤原四子たちが山上と奈良時代をかき回す! 
巻き込まれ系万葉令和コメディ!

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今回もおもしろかった。
長屋王、そのうち自殺に追い込まれる……と
思うとハラハラしちゃうんだけど、
当時の権力争いに触れながらも、ギャグに徹している。
藤原四兄弟が「天然痘で全員死ぬ」という史実が、
盛大なネタバレとしてギャグになっているのがおかしい。

もっと読みたいのでめちゃくちゃ売れてほしい。

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175ー178:張六郎 『千年狐 ~干宝「捜神記」より~』1~4巻

2020-08-27 11:33:00 | 20 本の感想
張六郎 『千年狐 一 ~干宝「捜神記」より~ 』1~4巻
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

千年を生きた狐が、人間に化けてひと遊び!?
MFコミック大賞で大賞受賞した実力派新鋭作家待望の
初コミックスついに発売!!

*******************************************

なんだか、不思議な作品だなあ。
あちこちにちりばめられたギャグと、シリアスのバランス、
個々のエピソードがひとつに収束していく手法、
全体から感じ取れる安定感。
思ったよりはハマれなかったんだけど、
実力のある作家さんだというのはよくわかる。
好みかどうかで見たら★3.5なんだけど、
評価が高いのは納得、という奇妙な読後後。

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174:川村裕子 『王朝の恋の手紙たち』

2020-08-27 11:18:00 | 20 本の感想
川村裕子 『王朝の恋の手紙たち』(角川選書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

王朝に生きた人々は、私たちとは比べものにならないくらい
多くの手紙を綴っていた。
紙や文字に細心の配慮をし、内容にふさわしい植物の枝に付けて
文を送るような工夫も凝らす。
心待ちにしている返事がなかなか届かなければ不安にかられ、
素早く返信をもらえば幸福感に包まれる。
一方、途中で盗み読まれたり、間違った相手に届くといった危険も多く、
それを防ぐ手立ても必要とされた。
王朝人にとっての手紙の意味を『蜻蛉日記』『源氏物語』など
古典の名作から探る。

*******************************************
 
手紙というテーマで王朝時代の随筆・日記・物語の
エピソードを紹介したもの。
清少納言が、人が破って捨てた手紙を継ぎ合わせて読んで
「たくさん読めてうれしい」と枕草子に書いているのは知ってたし、
それがよくあることで、悪いことという感覚がなかった、というのも
解説を読んで知っていたけれども、源氏物語でも
人の手紙を奪って見たり、勝手に返事を書いたりしていてびっくり。
まあ、自分の子どものころと今とでも、ずいぶん倫理観は変化しているから、
千年たったら違うのは当たり前なのだけども。

そしてまたもや、光源氏は当時の女性にとっても
本当に理想の男性だったのか? という疑問が再び。
軒端荻への仕打ち、ひどすぎない??

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173:菅原孝標女『更級日記』

2020-08-27 10:57:34 | 20 本の感想
菅原孝標女 『更級日記 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

夢見がちな感性をもって描かれた平安時代の日記文学。
作者13歳の時、上総介の任期を終えた父に伴われての上京に
記事は始まる。
東国に育った作者が京へ上り、
恋い焦がれていた物語を読みふけった少女時代、
晩い結婚、夫との死別、その後の侘しい生活と、
ついに少女期の憧れを結実させることのなかった一生の回想録である。
平凡な人生の中に描かれる、作者の人生の断片の輝きが、
今なお、われわれを惹きつけてやまない。
有名な作品にもかかわらず、
ごく一部しか一般に知られていなかった古典を、
懇切な注と自然な現代語訳で手軽に読み解く。

*******************************************
 
現代語訳ベースで全体を読み進めて、
気になるところは原文と注釈も確認したい……と思い、
選んだもの。
文庫本で軽く、「原文」パートと「現代語訳」パートが
完全に分かれている。訳も読みやすかった。

回想録なのだけども、内容はわりと散漫な印象。
短い節が多いので、確かに古文の問題には出しやすいよね。
帰京の旅、姉との思い出、公達とのつかの間の交流のパートが印象的。

やっぱりこの人は物語作者ではないのでは?? と思った。
作者説の唯一の根拠である定家の奥書も伝聞形だし、
回想録に作家としての活動を一切書かないのは不自然すぎる。

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