私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

今野敏の隠蔽捜査

2013年10月28日 19時03分33秒 | ミステリー
今野敏の隠蔽捜査

期待しないで読んだのだが、かなりおもしろかった。
警察小説で一番すきなのは、やっぱり横山秀夫の本だけれど、これもなかなか。
エリートの警察官僚、竜崎は朴念仁/変人などとよばれているが、ポリシーのあるエリートなのである。ポリシーある上から目線というか、信念や覚悟のあるエリート然というか、ともかくとても好感のもてる偉そう加減。

シリーズで5冊でています。1ー3まで読んだけれど、とてもおもしろかった。隠蔽捜査から順番に読まないと分からないかも。


横山秀夫の64

2013年09月08日 16時27分47秒 | ミステリー
久しぶりの横山秀夫の新作すーーごくよかった。
こんなに面白いと分かっていたら、ハードカバーだろうと出てすぐ買っていたのに。

最初から、ハラハラドキドキ。長いのに中だれもせず、最後まで緊張感があって、読み始めたらとまらない。 夕飯の支度ももどかしく、本を片手に決行。 読み終わったのは朝の4時だった。

横山秀夫といえば警察小説、でも刑事が主役ではなく警察機構でも裏方/事務方にスポットライトをあて、組織内の政治的思惑、裏方からみた事件を書いている。
今回も例外ではなく、主人公は広報官の三上。広報といえば、交通安全のPRぐらいしか思い浮かばない私だが、これを読んで広報官って大変だなーとおもった。
マスコミ対策とか、上からも他の部所からもうとましくおもわれ、読んでいて胃潰瘍になりそうな仕事だなと思った。

最後もいい意味で私の予測は裏切られたし。
細かいヒントが最後でちゃんとまとまっていくし。
傑作!!!
2013はあと4ヶ月ほどのこっているが、まちがいなく私の中ではBEST2013。

ちなみに64は昭和64年のこと。1週間しか存在しなかった昭和64に起きた誘拐事件が14年たってまた表舞台に出てくる話。





東野圭吾のマスカレードホテル

2013年06月13日 18時51分38秒 | ミステリー
なにこの2時間ドラマラブコメコンビみたいな結末は。
一昔前の船越英一郎と片平なぎさをみているような。
頑張り屋さんのホテルマンと若いけれど妙に頭のいい刑事。
プロ意識の強いホテルマンといえばそうだけど、警察相手にそこまでという堅くなさ。
頭がいいからなのか、すぐにやってらんねえよ的な態度をとる若い刑事、それを頑張り屋さんが諌めて仲良くなる。
すべてが、安っぽいドラマをみているような。
唯一特筆するべきは、登場するホテルの客とその逸話が最後にちゃんと重ってくること。
構成はしっかりしています。


中山七里のさよならドビュシー

2012年10月14日 16時27分39秒 | ミステリー


このミステリーがすごい!2009年大賞受賞作だったので期待して読んでみた。
がっかりだった。
もう最後のほうはすっとばして取り敢えず読み終わったという体裁をとった。

でん返しがすごいとか読んだけど、途中で気付いてしまったし、使い古されたどんでん返しだし、ユーモアでいくのかシリアスでいくのかはっきりしない中途半端な文体だし、話ができ過ぎだし、古くさい少女マンガ? とイロイロ文句多い本だった。

とくに、主人公(ピアニスト)のピアノの先生がもうできすぎ君状態。
天才的若きピアニスト、ハンサム、父親は検事正、その上突発性難聴という病気をかかえているのにピアニスト、さらに大学時代に司法試験をトップで通った秀才、司法研修後ピアニストに転向。 これでもかと言わんばかり、てんこ盛り。

この本読まなくても損なし。

湊かなえの往復書簡

2012年10月09日 19時05分10秒 | ミステリー


湊かなえといえば告白。
この本も告白のような怖さなのか身構えていたが、ちょっと違った展開。
くるぞくるぞと心の準備をしていたら、結構すてきなラブストーリーで終わった。

手紙で遠距離恋愛をしている二人という設定。
文章は全てこの二人の手紙のやりとり。
このやりとりで過去の事件が次第に明らかになっていく。
携帯のご時世、手紙でやりとりと訝しむかもしれないが、無理ない設定なのでご安心。

告白もよかったけれど、これもとてもよかった。

貴志祐介の悪の教典

2012年09月16日 19時00分29秒 | ミステリー
このミステリーがすごいで2010一位だったので、期待して読んでみた。
うーーん、ふつうだった。
上下2巻で900ページ近い厚さだが、一気に読めるスピード感はある。
あるけれど、内容がふつうっていうかんじ。

若く快活で人気者な高校教師蓮見。 
その蓮見教員はじつはサイコパス。殺人を取り繕うために次の殺人を、しいてはクラス全員を大量虐殺する。 有能そうにみえて、実は子供ぽい理屈で殺人をするサイコパスの幼い性格など的確に書かれていると思う。
でも、なんかバトルロワイヤルや湊かなえの告白にでてくるサイコパスの中学生の影がちらほら。 告白にでてきたあの中学生が捕まらずに、大人になった時ってかんじの小説だった。 作家が違うのに、うまくシンクしてるのがすごい。
私としてはストレスで切れた教師の復讐劇っていうのを期待していた。

こちらは図書館で借りてください。





高野秀明のジェノサイド

2012年04月15日 13時22分39秒 | ミステリー

今年の本屋大賞にもノミネートされた作品。
残念ながら2位だったけれど、私の中では断然1位

ひさしぶりにちゃんとした長編小説だった。
賛否両論がおおいけれど、否論のおおくは南京大虐殺の歴史感ということに異議をおぼえているようである。
私自身はすんなりと読めたけれど。

コンゴ、アメリカ、日本を舞台にしたエンターテイメント満載の本。
国際舞台を行ききする日本のハードボイルドなどは私が一番毛嫌いしているタイプの本である(現実感がわかない、どうやってもカッコ悪いなどの理由)。
しかし、この本壮大なスケールなのにすんなり話に入れる、読み始めるととまらない臨場感がある。

今までの高野秀明の作品の中では間違いなくピカイチの秀作。
これほどの内容と量ならば、ハードカバーで買っても損なし。

東野圭吾の麒麟の翼

2012年01月05日 17時07分04秒 | ミステリー
加賀恭一郎シリーズの最新作。
ストレートなミステリーで、満足度の高い作品。
後読感も良く、かなりよかった。

タイトルにもなっている麒麟の翼もただの象徴ではなく、話の中でも鍵となるもの。
本の中でも要所要所にでてくる。登場人物によって麒麟にたいする思い入れは違うけれど、象徴的なシンボルを通じてよくまとめられている。
胸をさされた被害者が発見されたのが日本橋の麒麟の下。
容疑者が彼女と初めて東京に来たとき着いた場所も麒麟のそば。
作品中にでてくる看護ブログのタイトルも麒麟の翼。
日本橋の麒麟になざ翼がついているのかといういわれも象徴的に関係しています。

人形町を舞台にまたまた加賀刑事が鋭く活躍します。

道尾秀介の龍神の雨

2011年12月31日 21時16分45秒 | ミステリー

全308ページ読むのに40分ほどしかかからなかった。
面白かったからではなく、途中からどうでもよくなって斜め読みした結果。

技巧ばしって上っ面ばかり、
雨と龍伝説をからませようとしても空回るばかり、
感情論に呼掛けようとしても陳腐になるばかり、
中途半端に伝説の類をいれこむ浅はかさ、
登場人物の視点を交差させなんちゃってトリックにさせようとする安易さ、
登場人物が小学生から高校生そして19歳と微妙な年齢に設定してあるのにそれ全てを幼さだけで表現しようとする乱雑さ、
子供っぽいミステリーじゃなく人間の深層心理にせまるみたいなものも書けるぞってとこを見せようと躍起になった末の愚かさ, と全てにおいて鼻につく作品だった。

これと比べて、ラットマン、シャドウなどのほうがずっといい作品だとおもう。

海堂尊のチームバチスタの栄光

2011年08月17日 17時41分50秒 | ミステリー
さすがに勤務医が書いた小説だけあって、業界の裏話のような現実感のあるトピックなどがでてきて
緊迫感もあり笑いもありのなかなかおもしろい本だった。
第4回このミステリーがすごい大賞にもなったしらしいけど、納得の作品だった。

主人公はのんびりとした大学付属病院精神科医の田口公一。 
病院では愚痴外来とさげすまれている、窓際医師。
病院長の命令で田口医師はチームバチスタと呼ばれるスーパースター心臓外科医の桐生の医療事故についてしらべる。 今まで成功率100%をほこっていた桐生だが、たてつずけに患者を手術中に亡くし、自分の技量以外のなにかが影響しているのではと考え、調査を依頼する。
もちろん、あまりやりたくない田口医師。
本の3分の1ほどは、田口なりにいろいろチームバチスタを調べるところを書いている。
ここまで読んで主人公は田口、窓際医師なりに概念にとらわれない切り口で解決するのだろうと思っていた。
田口のキャラクターも十分魅力的だし。
ところがどっこい、中盤になりいきなり羽茶めちゃキャラの厚生省官僚白鳥が登場。
たしかに、彼の登場で話はおもしろくなったけど、なんか後だしじゃんけんのような姑息さがぬぐえなかった。
もうちょっと最初から出しておいてくれれば、エーっていう驚きは無かっただろうに。



ダンブラウンのLOST SYMBOL

2011年05月28日 21時30分46秒 | ミステリー
前回(ダヴィンチコード)前々回(ANGELS AND DEMONS)同様、かなり無理のある話だった。
今回はフリーメイソンの失われた言葉の謎、舞台はワシントンDC. 

いつものように朝の5時にロバートラングドン教授が日課の朝の水泳から帰ってくるところから話は始まって、24時間以内に全てが解決。 たとえどんな難題だろうと、何世紀にもおよんで隠しつずけられてきた人類の謎だろうと、天才たちの機密だろうと、1晩でといてしまうラングドン教授。
今回も秘密結社のフリーメイソンが1800年代から隠してきた失われた言葉の謎を24時間でといてしまう。スピード感満点というか光速度なみの話のすすみ具合。

たとえ、準主人公が誘拐され片腕を切り取られた後無事発見されても、病院に行く前にラングドン教授と書斎で謎について語らなければならない。
病院いかなくていいの? 警察のとりしらべは? たった今準主人公の息子が死んだのに、たった今誘拐犯から救助されたばかりなのに、片腕きりとられてるのに???? 自宅屋敷の書斎でラングドン教授とかたる。
うーーんたしかに夜明まであと少しだからいそいで話の決着をつけなければというのは分かるけど。。。24時間の呪縛だな。


スケールのおおきな陰謀論なんだけれども、すごく現実感、信憑性あり。
作者の丁寧な調査のたまものであろう。
ダビィンチコードのときはまことしやかにこの陰謀説がささやかれたりした。 小説どと断っているにもかかわらず、かなりやっきになって小説のおもしろさではなく事実関係を叩かれていた。これほど物議をかもすほど、細部まで調べ尽くしているということだろう。 それを小説のバックグランウンドとして用いているのだけれど、情報小説のようにはならず、ちゃんと小説の筋にそって厭味なく提供されている。
おうおうにして、この手の情報知識があるといきなり主人公がとうとうとなん十ページにもおよんで語ってしまって、読者おきざり状態になりがちだが(例:京極堂シリーズ)、ダンブラウンの本にはそうしたところがない。
さらに、科学と宗教という一見相反するものを違う角度から読み解こうというテーマもいい。

ダンブラウンの本は全て読んでいるが、どれもとてもおもしろい。 海外ものはほとんど読まない私でも、ダンブラウンの本は例外。LOST SYMBOLは発売当日に定価で買ってしまったほどだった。
読むなら是非シリーズ初回のANGELS AND DEMONSから。

東野圭吾の新参者

2011年05月17日 12時56分07秒 | ミステリー


ひさしぶりの東野圭吾、大満足な作品だった。
加賀恭一郎シリーズの最新作。 ガリレオ先生シリーズが有名なため、影がうすいかもしれないが、シリーズ8作目。
前のシリーズを読まなくても十分話はつうじるし、この最新作がシリーズの中で一番おもしろいとおもうので迷わずこれから読み始めることをおすすめする。

準主人公を1章ずつかえ、1件の殺人事件をおっていく。
各章が独立しているのだけれど、殺人事件をとうして一見関係ない登場人物がつながっていく秀作。

日本橋に引っ越してきたばかりの四十代女性が自宅で絞殺された。
日本橋署に着任したばかりの加賀刑事が担当となり、下町日本橋に住む人々に話をきいてまわる。
下町ならではのものを手がかりに1章ずつ確実に殺人犯に近づいていく。
同時にその過程で下町に住む準主人公たちのプライベートな部分にもせまっていく。

ちなみにドラマ化もしたらしいとう話をきき、早速1作目をみてみた。
話的にドラマ化したら絶対いいとおもっていたので結構期待していた。加賀刑事役に阿部寛はいいなと賛同もしていた。
でもすごくがっかり。 見始めて5分でやめた。出始め5分でいきなり、本に登場しない女性記者登場。速攻テレビけした。
なぜ本に忠実にドラマ化できないのか????
脚本家は東野圭吾よりもよい作品をかけると自負しているのか????
それとも、あの女優を使わなければいけない義理でもあるのか????

薬丸岳の天使のナイフ

2011年05月09日 12時16分59秒 | ミステリー


良くも悪くも新人の作品だなーっていうのが感想。

あらすじをいうと、妻を少年3人に殺された夫(被害者の遺族)の目線で少年法を問いながら、いったい何故妻は殺されたのかというミステリーになっている。
少年法で保護されているため、少年の名前、事件の詳細などいっさいしることができない遺族。
更生した少年たちは外の世界にでてきている。そんななか、殺人犯である更生した少年Aが殺される。
遺族である夫に疑いがかけられるが、彼もまたなぜ妻が殺されなければならなかったのかという疑問をもち、自分ながらに少年たちをおっていく。

話を2転3転させて意外性をだすっていうか、どんでんがえしで読者をひきつけるってことなんだろうけど、話が出来過ぎ。
さすがに2年かけて書いた作品なので丁寧でつじつまはあっている。つじつまは合っているんだけど、こんなに殺人がつながるかという疑問がのこる。

少年法というこれまたちまたに氾濫しているテーマをとりあげ、結局大学1年生の論文のような両者の言い分みたいのをまとめ、あまりに予想されたとうりのテーマのとり扱い方。

これはヒマなときに図書館でみかけたらどうぞ。

貴志祐介の硝子のハンマー

2010年07月08日 12時56分22秒 | ミステリー


いわゆる本格(密室)ミステリーといわれるのも。ちゃんとキザな探偵(もどき)もでてくるし。
なかなかおもしろかった、よく出来ていると思う。
2部構成になっていて。 第一部で謎提示、第二部で謎ときとなっている。
殺人現場となるのは、都会の高層ビルの一室、(孤島ではないのでまだ現実感あり)。 ハイセキュリテーゆえにこの一室が密室となる。
結構、自然な流れで密室状態をつくりあげている。 探偵役もセキュリテーコンサルタントとして現場に呼ばれる。
なるべく自然なかんじで本格をという意図がよみとれる。
しかし、一回読めば十分なのでこれは図書館でどうぞ。 いまのところ貴志祐介の本で一番よかったのは黒い家。

私事ながら、今月の末にハワイに行く予定。
もちろんバケーション。はじめてのハワイなのでとても楽しみ。
ハワイ出身の同僚からは絶対に"GENKI SUSHI"に行って、とすごく勧められた。でも、わざわざおすし???という気もいなめない。
もう少し観光客らしいおすすめ所はないのだろうか。

荻原浩の噂

2010年05月27日 11時28分31秒 | ミステリー


都市伝説を逆手にとって新商品の口コミPRに使用するのだが、それが本当となり女子高生を狙う連続殺人事件がはじまる。

新商品の香水の宣伝のため広告会社が香水をつけるとレインマンという殺人鬼に狙われないという噂を意図的に流すのだが、その噂が本当となり女子高生が殺せれていく。 それをスングルファザーの冴えない刑事とシングルマザーのエリート警部補が犯人をおいかける。

なかなか面白かった。でもこれはBOOKOFFで100円でどうぞ。

今週は5連休