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映画「嵐を突っ切るジェット機」後編

2024-04-05 | 映画

1961年度作品「嵐を突っ切るジェット機」後半です。

ところでこの映画の主人公を演じた小林旭について調べていたところ、
まだご健在だったばかりか、まさかのyoutubeチャンネルまでありました。

マイトガイチャンネルー小林旭YouTube

さて、劉の行方を追っているという刑事花山が去った後、
榊拓次は彼の名刺を破り捨てました。

兄を疑っているということが面白くなかったのでしょうか。


やばい商売で成り上がった麻薬商人、劉に脅かされ、
英雄はスタッフの一人、千石に操縦させて沖縄にブツを運ばせました。

何も知らない千石は、沖縄に着くと商店に立ち寄ります。
当時の沖縄はアメリカ領なので、お店では英語で接客してきます。

「May I help you?」

「ジャ、ジャパニーズマネー、OK?」

千石は子供のお土産を買いに来たのでした。
これは映画的には「フラグ」というやつです。

彼はこの後、劉一味のやばい話を聞いてしまい、コロコロされてしまいました。


こちら兄の英雄の場末のパイロット集団?溜まり場では、
自衛隊休暇中の榊がまたもや全員を相手に乱闘を始めました。

その理由ですが・・何度見てもわかりませんでした。
なんか怒ってるんですが、全員滑舌が悪すぎて何言いあってるかも不明なの。

おそらくきっかけは、チコが吹いていたトランペットを
拓次が取り上げて吹いたことじゃないかと思います。

なぜ拓次がそんなことをしたかは・・・わかりません。
まさか寂しかったからとか?



マキは榊の態度を諌めるついでにどうして自衛隊に入ったか聞くのですが、
その答えがこれ。

「飛びてえからだよジェット機で!それだけだい」

マキはそんな拓次が、要するにスリルに身を晒していれば満足で、
アクロバット飛行ができなくなるとイライラして喧嘩をする、
要するに子供だと激しくなじるのでした。

全体的に意味不明だらけのこの映画の中で、かろうじて
この可憐なマキさんのセリフだけが、いつもまともすぎるくらいまともです。



二人が言い争っていると、折しも暴風雨が吹き荒れ始めました。
全員が外に飛び出し、一丸となって嵐の中飛行機の係留作業を行います。


そして、台風一過の次の朝、榊拓次とはぐれパイロット集団の間には
すっかり同志としての連帯感が生まれていました。


その晩は全員でジャズバーに繰り出し、マキと榊は
モダンジャズの調べに合わせ、謎のフォークダンスで盛り上がります。



榊はチコと仲直りし、彼の指名でロイク(楽隊用語)バンドとセッション。
トランペットとサックスどちらもプロ並みってすごーい(棒)

ジャズ、バイオレンス、スピード、そしてジェット。
当時の若者が夢中になった(シビレた)ものを満載してみました的な?



とりあえずマキのお説教はこの短絡的な男に響いた模様。
しかしアキラ、こういう顔をしたら許されると思うなよ?


その頃英雄の会社「太平洋航空集団」には、ヤバい仕事と引き換えに
ボスの英雄が劉から受け取ったビーチクラフトが届いていました。

何も知らないスタッフは大喜び。


しかし経理担当のマキは、飛行機購入の資金などないことを知っています。
まともすぎるくらいまともな彼女は英雄を問い詰め、
弟の拓次も兄の様子が何か変なことに気づきました。

兄と一緒に沖縄に行った千石がなぜ帰ってこないのかも不思議です。


拓次は郵便物配布の仕事を引き受け、ついでに
千石の実家を訪ねてみることにしました。

ざっと1ダースの子供が生息している千石の家では、彼の妻が
子供を叱りつけながら彼が元気かどうか無邪気に訪ねてきました。

千石の生死について何か隠している。
拓次はこのとき兄の嘘に気づいてしまったのです。



このとき、英雄の会社事務所には劉とその部下が忍び込んでいました。

警察に追われていることを知って、逃げ込んできた劉は、
英雄を脅かしながらまず事務所に身を隠します。


そんなことを何も知らないマキは、劉の件で英雄を糾弾していました。

「誰から聞いた!」

英雄が劉とつるんでいることをマキに教えたのはチコでした。
二人の会話を物陰で聞いていたのです。

それを知った英雄がチコをタコ殴りにしているところに拓次登場。

理由を問い詰める三人に向かって英雄は弁明を始めました。

英雄と彼らの父が戦後窮地に陥っていたところ、
闇屋の劉が麻薬の運搬を手伝わせて恩を売り、弱みを握って
断れない関係をずるずると今日まで続けてきたのだと。

そしてここでまたしても兄弟で殴り合いが始まるのでした。
殴りながら拓次が兄にいいます。

「飛んでみろ!飛ばねえから腐るんだぞ!
くそお、叩き直してやる!飛んでみろ!
死んだ親父が言っただろう!空は一つだってな!
俺と一緒に飛んでみろ!負けねえぞ!

あんた、パイロットなら飛んでみろ!とべ!飛んでみろ!」

(セスナに兄を押し込もうとする)


そして号泣

うーん・・・よくわからない。
要するに犯罪に手を染めた兄を責めてるんだよね?
飛ぶとか飛ばないとか、責めるポイントここじゃなくない?

兄の英雄は、どんな手段を使ってもここを維持し、
はぐれもの集団に飛ぶ場所を与えたかったと叫ぶのですが、
それに対し弟は「違う!違うんだ!」と泣きわめいて、もうカオス。

そして場面が変わったらいきなり全員がシーン・・・となって、
英雄抜きでこれからどうするか話し合っています。

もう理屈で理解しようとしたら負け、そんな映画。



そのとき事務所の倉庫から出火しました。

劉が火をつけ、どさくさに紛れて英雄を拉致して連れ出し、
一挙に治外法権の沖縄まで逃走しようとしています。
そこから海外に高跳びしようというのでしょう。

劉は追ってきたチコに操縦させ、部下はめんどいので射殺して、
スペアの操縦士として英雄を拉致し、ビーチクラフトで飛び立ちました。

榊拓次はセスナでその後を追います。



そしてこの映画最大のツッコミどころ。
一人で劉を追ってきて2回撃たれても死んでいなかった刑事が、電話で

自衛隊の出動を要請するのです。

ちなみに自衛隊が出動要請できるのは、自衛隊法によると、

治安出動
警護出動
海上警備行動
破壊措置命令
災害派遣
地震防災派遣
原子力災害派遣

で、指名手配犯の逃亡を阻止、というのはどれにも当てはまりません。


セスナでは追いつかないと判断した榊は、即座に空自基地に乗り入れ、
嵐が来るっていうのにF-86に乗り換えて後を追おうとします。

皆が止めるところを無理やり強行突破しようとしていたら、
出動要請が間に合って、なんと基地司令のフライト許可が降りました。

ビーチクラフトに万が一追いついたとして、そこからどうするつもりだ。
戦闘機にできるのは撃ち落とすことだけだぞ。


しかしそんな心配をよそに、ビーチクラフトを追って
嵐を突っ切るジェット機

空自は、
「This time lost contact on my weapon」
を通信してきます。

操縦中目が見えなくなった(何の病気だろう。飛蚊症?)チコの代わりに
英雄が操縦して、レーダーにかからないように低空飛行したからです。。

嵐をつっきれなかった榊は、すぐさま空自基地に引き返し、
米軍の協力体制を取り付けたので行くなという命令を振り切って、
今度はT-33に乗り換え、ビーチクラフトを追うために飛び立ちました。

行き先が沖縄なら米軍に任せたほうがよくない?
なんかこれ、ただ本人が飛びたいだけなんじゃ・・・。

っていうか、空自が新型機を見せたかっただけかも。

そして驚くことに、鷹の目を持つパイロット、榊は、
はるか上空から、追っていたビーチクラフトが停まっている島を発見し、
すぐさま戦闘機が着陸できる滑走路を持つ飛行場に着陸し、次の瞬間

ジープかっ飛ばして、ビーチクラフトの場所に辿り着いていました。

この手際の良さ、さすが自衛隊出動要請されていただけのことはあります。


そこに目の見えないチコが、榊に駆け寄ってきました。

「ジェット〜!ジェット〜!」(初めて聞くけど榊のあだ名らしい)

なぜ彼は榊が来たのがわかったのでしょうか。
というかあんた目が見えないんと違うんかい。


榊はここで劉の一味から銃撃されたり、相手を拳で制圧したりして大暴れ。
マイト炸裂ってやつですか(意味不明)

しかしこの騒ぎの間、銃弾を受けた英雄は、すでに死にかけていました。

自らも傷つきながら駆け寄った弟に、彼が最後に言った言葉は・・。

「空は・・・そらは・・・ひとつだ」

がくっ。


♬パンパパーンパンパパーンパンパパンパパン!♫



えーと、多分これは自衛隊記念日かなんか?
榊は無事に空自のパイロットとして復帰しました。



マキさんからはチコの目も手術で治ると聞き安心です。
チコ、国民健康保険には加入していないと思うけど治療費大丈夫かな。



そのとき、フライトチームから声をかけられた榊は、

「マキ、俺のこと見てろよ!」

というやダッシュしてT-33(かしら)に乗り込み、



華麗なアクロバットを披露するのでした。

きっと彼の心には兄の「空は一つ」という言葉が
これからも生き続けることでしょう。知らんけど。



しかしこんな企画、よく空自の協力許可貰えたな。


終わり。


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2 Comments

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パイロット熱望 (Unknown)
2024-04-05 06:54:52
>飛びてえからだよジェット機で!それだけだい

パイロット希望ではなかったので、考えたこともないですが、パイロット希望(熱望?)でなれなかった人の中には、自衛隊を辞める人もいます。パイロットになりたかったから、自衛隊に入ったという人は結構いると思います。「航空学生」というパイロット養成専門コースまでありますが、船乗りとか戦車乗り養成専門コースはありません。
やっぱり面白そう( `ー´)ノ (ウェップス)
2024-04-05 10:26:11
日活アクションのこまけえこたあいいんだよのノリですね。今から思えば昭和の作品は随分暴力的で、子供番組(仮面ライダーなど)でもコロコロ人が死んでますし、刑事ドラマでは平気で容疑者をぶん殴ったりしていました。これがいい訳ではないですが、昨今のPC全配慮のお行儀がいい作品とどちらがいいか、というのは好みが分かれるでしょう( ^^)

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