湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲

2019年02月28日 | ショスタコーヴィチ
アラー(P)ハリウッド四重奏団(capitol/testament/ars nova)1952/5/6・CD

ピアノが引きの一方、カルテットは音が太く均質なため、モノラルだと起伏なくずっと近い。もちろん大量の他盤と状態は同じだが、曲が垢抜けて色彩感もあるだけに逆にモノトーンの印象を与えるのは痛い。この楽団特有の力みは少なく、姑並に耳をかっぽじって聞けばそれはミスはあるが、基本的に整えた感じがする。終楽章の突き抜けた主題がはじめピアノで提示されるところからリズムが跳ねず客観的だ。打鍵は強いが正確さに重点を置いているようで、他の楽器もそれに乗るしかない。アンサンブルをやってる感じは出るが、人に聴かせる音楽をやってる感じは薄い。全般に音は濃いが、音楽は薄い。引っかかりがまったくない。面白い。
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ヴォーン・ウィリアムズ:バレエ組曲「老いたコール王」

2019年02月27日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ヒコックス指揮ノーザン・シンフォニア、ロンドンシンフォニー合唱団(EMI)CD

ヴォーン・ウィリアムズの「きわめてわかりやすいほうの作風」によるもので民謡風旋律に「素朴な」オーケストレーションをほどこした部分が多く、私はむかしとても苦手だったが、そんな私の鬼門、ロンドン交響曲とは時期が違う。幻想的な田園交響曲の2年あとに作曲されたものである。ヴォーン・ウィリアムズは時期によって作風が異なるも、時期関係なく作風を使い分けていたため目測を見誤ると変なことを言ってしまう。よく聴くと計算された単純さであり、響きには新味がある。ヴォーン・ウィリアムズが偏愛したコードが多用され、それなりに時代性は感じられる。ヒコックスはとてもバランスが良い。オケの各声部が調和し一貫して柔らかな明るい音で統一されている。このようなわかりやすい曲ではハッキリした輪郭の演奏は冒頭の「私の鬼門感」を強める。良い演奏だと思う。
 
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ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容

2019年02月24日 | ドイツ・オーストリア
〇コンドラシン指揮モスクワ・フィル(profil/lys/melodiya)1961モスクワ・CD

これぞコンドラシン!という攻撃的な演奏。勇ましい曲調とアグレッシブな棒が合致して、ちょっとオケが弱いのと1楽章がなぜかレガート気味でキレが悪い(譜面に指示がないから、というような理由なのかもしれないが)ほかは、トゥーランドットはちっともトゥーランドット風に聞こえないモノトーンの軍国調だし、4楽章はものすごくキレキレではげしい。コンドラシンを聞くならこういう演奏じゃないと。ヒンデミットの代表作でとてもわかりやすいので、機会があればどうぞ。
 
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ヴォーン・ウィリアムズ:毒のキス序曲

2019年02月23日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ヒコックス指揮ノーザン・シンフォニア(EMI)CD

ほんとにヴォーン・ウィリアムズの「職人的な曲」で、めくるめく主題のメドレーを聞かせていく。私は苦手だったが中間部冒頭は明るい牧歌の趣をかもし、この演奏がとりわけ明るく透明なせいもあるだろうが、管弦楽法に目立ってこの人らしいところはないものの、内容的にはヴォーン・ウィリアムズそのもので静かに気分を落ち着かせてくれる。田舎風の派手な音楽に切り替わっていくがそこには響きやコード変化に新しい時代、二十世紀を感じさせるものが入り、凡庸感から救っている。ヒコックスが体臭を感じさせないので、民謡主題に恥ずかしさを感じることなく聞き終わることができる。好きな人は好きなわかりやすい曲。
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プロコフィエフ:歌劇「三つのオレンジへの恋」

2019年02月23日 | プロコフィエフ
ロザンタール指揮ORTF、コラッシ、デレーヌ(ina配信)1958/6/26live(7/3放送)

アグレッシブな指揮でプロコフィエフの魅力の粋を集めた長大なオペラを最後まで見事に演じ上げている。オケも歌手もロザンタールにのせられている。幕ごとにナレーションで分断され、終幕も素朴であっけないなどパワーのないモノラル録音起因であろう難点もあるが、この派手な演奏でなかったら2時間聴けなかった。PHD89036117。
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ドビュッシー:版画~Ⅱ.グラナダの夕べ

2019年02月22日 | ドビュッシー
作曲家(P-roll)(EMI/warner他)1913/11/1・CD

思うがままに大揺れに揺れて極端に変化する、作曲家の特権だろう。デジタルな音しか出ないロールによるデジタル録音なので(ピアノロールは蘇演時の録音条件に影響される部分が大きい)ひときわ極端に聞こえてしまうのかもしれないが、先生的にはダメダメを言われる演奏スタイルであっても、正直面白い。陰影濃い冒頭の沈潜から急に夢見るような、船揺れのような(ロール特有のヨタリもあいまって)、そこで突然ダッシュしたり、立ち止まって呆然としたり、この動きを忠実に再現するピアニストに演奏してもらったら面白いであろう。まあ、録音として楽しむものではない。音が冷たく硬くてきつい(warnerの1991年録音で聴取)。これら一連のロールはCD時代になってさえ再三発売されてきた。ここ10年で3,4回か。前奏曲集第1番より五曲、レントより遅く、子供の領分、スケッチブックから。すべて同日、ロールはこれがすべてである。
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ラフマニノフ:交響曲第3番

2019年02月21日 | ラフマニノフ
コンドラシン指揮チェコ・フィル(profil)1960/7/1live・CD

こんな録音があることを知らなかった。profilのコンドラシンボックスは新発掘が無いような感じだったのだが拾い物だ。録音は良くはないものの情報量がある。最初からゆったりした大構えに驚かされる。コンドラシンといえばドライ。即物的な解釈である。特に古いものは強引さのあまり音が掠れるのも厭わないし、ライヴではやらかしても平気である。併録のシンフォニック・ダンス(既出のモスクワ盤)はセッション録音のはずだがよく聞くと管楽器に怪しい音が聞こえたりする。これはしばしば一発録音してしまうロシア録音の特徴でもあるからコンドラシンだけのことではないが、それを雑味という言葉で片付けると、コンドラシンはけして雑味が少ない指揮者ではない。しかしこれはたぶんオケが良いのである。二楽章でフルートの縮緬ヴィヴラートの美しさ、クラリネットの音色、ほかブラスも安定し弦楽器は言わずもがな、すこし金属的な厚みある音が鋭く響くから、楽器によっては傾向に似た部分はあるにせよロシアオケとは異なり精度が高い。ゆったりと雄大に、なめらかに聴けるのは一楽章だけではなく全楽章の緩徐部で、三楽章のラフマニノフの真骨頂のようなロマンティックな第2主題はコンドラシンらしい力強さを加えとても迫力がある。三楽章といえばあの騎馬民族的な(解析的にではなく印象として騎馬民族的な)地を蹴るリズムは期待を裏切らない。万全なように茫洋と書いてきたが、終わってみて客席と同じく普通の拍手しか送れないのは、逆にコンドラシンの求心力がそこまで出ないからコンドラシンでなくても良いよね、ということで、コンドラシンはこれしか録音が無いと思われることからも、散漫な曲にはさほど魅力も感じていなかったのかもしれない。そういうことは職人的な印象となって伝わってしまう。私は好きだが、何度も聞くかというと他にもっとギュッと絞まったものを選ぶだろう。最晩年のシンフォニック・ダンスのわかりやすさとはかなり違う作品である。
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ヴォーン・ウィリアムズ:歌曲「美しい人よ目覚めよ/ 疲れて/ 沈黙の正午/ リンデン・リー」

2019年02月20日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ジャネット・ベイカー(Ms)ジョフリー・パーソンズ(P)(bbc)1983/7/4チェルトナム・タウンホールlive・CD

BBCレジェンズのJanet Baker English Recital (1983+1968)に収録。当代きっての歌い手ベイカーによるRVWの小品という希少な記録となる。正確で雄弁で大変にレンジ幅の広い声を持っており、時に男声かと思う声色も織り交ぜてくる。それが親密な雰囲気を持つRVWの曲にはどう出るか、といったところだが、やはり明確。ステレオの良い録音のせいもあって少し近寄りづらい格調の高さがある。「let beauty awake」は華美だが常套的なピアノをバックにやや民謡風の旋律が歌われるが、前期的というか無難な曲。「tired」は線的な伴奏をつなぐピアノにRVWらしい旋律を静かに歌うアルトが美しい。内省的だ。ただ、ここまで単純化された編成だとこう聞こえてしまうのだな、とも思う。要は地味だ。「silent noon」は変化のある曲で、4分半以上と長い。RVWらしさはあまり無いが、中間部が聞きもの。単純さへの志向、少ない音のピアノに平坦な歌唱というものが瞑想的な雰囲気をかもし「ウェンロック」を思い出させる。両端部はベイカーの腕が光る。最後に残るピアノの2連符が鐘の音を思い起こさせる。「linden lea」は言わずもがなの有名曲で、RVWとしては作風確立前の古い時代の名作になるが、教科書的な書法やそのムードは多分日本を含む、さまざまな国の唱歌に取り入れられている。ベイカーはオペラティックな歌唱というか、リンデン・リーには大袈裟すぎる感があり、単調な繰り返しに思い切った表現の変化を付けて、正直よけいなことをせんでほしい、と思った。
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※音楽系日記:日本の聴衆が外国人に賞賛されるわけ、カルトクイズ、「ス」、ピアノ曲いくつか、ヴォーン・ウィリアムスの偶然

2019年02月19日 | Weblog
ぶり返す目眩を抑えつつむりやり月曜の新聞をよむ。大友直人さんのインタビューがあった。日本にクラシックが根付かないという内容で面白かった。「聴衆のマナーが良すぎる」「オタクが熱烈な拍手」これでは来日演奏家は称賛するが根付かない。音楽家と聴衆の関係はもっと柔らかく暖かいものであるべき

posted at 22:06:49

ヴォーン・ウィリアムズとシベリウスしかわかんなかった! 
カルトクイズ:ストコフスキ

ずーっとあとへ引けずに「ヴォーン・ウィリアムズ」と書いてきたが「ス」になおす潮時か。。

posted at 16:59:24

データがイマイチハッキリしない。初出ありげ キリル・コンドラシン・エディション 1937-1963(13CD)|HMV&BOOKS online https://www.hmv.co.jp/product/detail/9307794… @lt_hmvさんから

posted at 21:36:27

#nowplaying YouTube: Vaughan Williams Piano Quintet in C minor | Novacek/Yoo/Oudin/Kim/Cahill | Festival Mozaic https://youtu.be/3na3sPQXmHA

この作曲家に期待されるものがいっさい無い名曲

posted at 18:37:21

#nowplaying YouTube: Benjamin Britten - Introduction and Rondo alla Burlesca, Op. 23 (1941) [Score-Video] https://youtu.be/Up6ln1lt6OE

ショスタコぽい(ブリテンの演奏はよたっててリヒテルが引っ張られてる…)

posted at 21:22:48

#nowplaying YouTube: Aaron Copland - Night Thoughts (Homage to Ives) for Piano (1972) [Score-Video] https://youtu.be/HJJQ-zbhmJo

アイヴズの常套的な不協和音や不規則なリズムを上手に書き直し並べ直したかんじ

posted at 21:33:10

#nowplaying YouTube: Ravel. Daphnis et Chloé Suite No.2 - transcription by V. Gryaznov https://youtu.be/VeHCFsjQr8o

ピアノで作曲するひとの譜面はピアノに戻してもきれい。

posted at 21:38:11

ブリティッシュライブラリーのブログでこの曲が取り上げられたので追記 https://goo.gl/aiHBCM

posted at 22:16:12

こんなん笑うわ。たぶんわたしのほうが少し早くアップしてるので、完全偶然だと思う。FBで二連続で書いた曲が取り上げられててびっくりした。

posted at 22:17:32

潜水艦轟沈す、も先週書いたわ。

posted at 22:32:33
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ブルックナー:交響曲第8番

2019年02月18日 | ドイツ・オーストリア
クーベリック指揮クリーヴランド管弦楽団(SLS)1973/4/19live

16日に急死したケルテス追悼のために演奏されたそうだが、マーラー振りにブルックナー振りはいないというクレンペラー無視の例のとおり、これもどうもブルックナーの巨大さやがっしりした構築性とは無縁で、しかしブルックナーの名旋律はしっかり歌わせており、この二極化が腰の落ち着けどころを失わせるというか、三楽章だけは良いというワルター的な聞かせ方になってしまうのである。とくに一楽章は軽く、楽器の音が痩せて聴こえる。音が揃っていないのか、クリーヴランド管弦楽団自身の地の音が出てしまったのか。四楽章は後半になると迫力が増しそれなりに迫っては来るが、予想を超えることはない。拍手に少しブーイングが混ざるのは何の意図だろうか。悪くはないが聞かなくても良かった。ケルテスには三楽章を捧げたのだろう。
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ヴォーン・ウィリアムズ:音楽へのセレナーデ(管弦楽版)

2019年02月17日 | Weblog
ヒコックス指揮ノーザン・シンフォニア、クレスウィック(Vn)(EMI)CD

なだらかなレガートに覆われた美麗な曲で、全盛期RVWの良い所が出た曲。前の時代の音楽すなわちディーリアスのような生温い音響を揺らがせながら、音を整理し減らしラヴェルのように無機質な清澄さを導入することで、RVW特有の明るく健康的な美を構築している。ヒコックスがまた上手い。軋みなく継ぎ目を見せず大きく作り上げていく。音に感傷も宿りRVWらしさは満点である。

なぜかシンクロすることがあるFACEBOOKのコミュから同曲初演(原曲)について。これは1938年ヘンリー・ウッド卿の指揮生活50周年のために作曲された機会音楽で、アースラ(アーシュラのほうがいいのか・・)によると10月5日初演時この曲は戦争の影を晴らしクイーンズホールにつどう聴衆の上に星空の言葉と月夜の音楽を投影した。自作演奏のため招聘されていたラフマニノフは感動し涙を流したと言われている、とのこと。ウッドの録音は初演メンバーによる1,2日あとの演奏(別記)。
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ヴォーン・ウィリアムズ:弦楽四重奏曲第2番「ジーンの誕生日に」

2019年02月17日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ミュージック・グループ・オブ・ロンドン(EMI他)CD

ただならぬ雰囲気を漂わせるRVWの傑作のひとつである。戦争交響曲の最後となる交響曲第6番を抽象化し凝縮したような、そこに「贈り物」※とされる夢のような小品を加えた美しく儚い曲(5番と6番の間に作曲された)。その「ジーン」とRVWの奥さんが監修したメディチ四重奏団の名録音があり、それと比べると即物的でどうしても浅さを感じてしまうが、霧の中を模索しているような、この曲の白眉である二楽章の空気感はある程度引き出されている。作曲家は作品自体にあまり意味を語っていなかったと思うが、それは他の作品についても同じで、聞き手に任せるというところが大きいと思う。1,3楽章の焦燥感はRVWの作品でも異例中の異例で、なおかつ焦燥感の代名詞のような交響曲第4番とくらべてもよく書けている。この演奏ではテンポが少し落ち着き、そのくせ響きが鋭敏で奇麗なわけでもないので、特殊奏法の音色の不安感もさほど伝わらない。これは二楽章でバグパイプの模倣と言われたノンヴィブラート奏法がさほどハーモニーを整えておらず幻想味が損なわれている点にも言える。この三楽章が激さないと四楽章の慈しむような旋律が活きてこない。このコントラストはいまいちだけれど、四楽章をメゾフォルテ程度で密やかにやるのではなく、おもっきしフォルテで歌うのもひとつの見識かもしれない。インティメイトな雰囲気が暖炉の炎のように不安も絶望も総てを思い出に帰し、ハッピーバースデーの声とともに、新しい年が来るのである。

※これはどうやらニュアンスが違うらしい。以下参照。

追記:ブリティッシュライブラリーのサイトの2/17記事で偶然この曲が取り上げられていた(またfacebookで知る)。リンクしておく。偶然の多い私だが、セレナーデといい、あまりにも偶然すぎる。>こちら

:メンゲス四重奏団のヴィオラ奏者であったジーン・ステュアートへの曲であることからヴィオラソロを動機として使っているのであり、RVWの曲にヴィオラを偏重する傾向があるということと関係はない。感銘を受けていたメンゲス四重奏団及びジーンによる演奏を想定した曲なのだ。作曲は難航し、誕生日にジーンの家に総譜が届いたときは2つの楽章しかなかった。「悲しいかな」と書いている。「スケルツォは物質化を拒否している。次の誕生日まで待たねばならないでしょう」レイフおじさん、とサインがある。その約束は守られた。悪魔のような三楽章スケルツォでは映画「潜水艦轟沈す」にてナチスが出現するときのフレーズが再利用された。これは意図的なものとみなされている。四楽章エピローグには「ジョアンからジーンへの贈り物」と書かれた。

実はこの曲のソースは破棄された「聖ジャンヌ・ダルク(ジョアン・オブ・アーク)」についての映画に遡れる。「ついに最後の二楽章を受け取りました」そうジーンが書いたあと、1944/7RVW宅で非公開の演奏がなされたうえで、10/12ジーンから「RVWの誕生日」のプレゼントとしてメンゲス四重奏団による公開初演がナショナル・ギャラリーの昼休みコンサート(マイラ・ヘスとハワード・ファーガソンにより第二次世界大戦中に開かれていたもの)として行われた。このあと出版は戦後1947年オックスフォードからなされることになるが、作曲家ならびにその依頼による演奏家の若干の手直し・追記が入っている。さらに「ジーンの誕生日に」という丁重な献辞が付けられた(よって四楽章単体の「ジーンへの贈り物」とは意味が異なる)。

原譜はブリティッシュライブラリー所蔵となったが、もちろんいつまでもジーン・ステュワートへの誕生日プレゼントのままである。(てきとう意訳)
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シャーウッド:序奏とアレグロ

2019年02月15日 | イギリス
ミトロプーロス指揮NYP(forgottenrecords)1957/5/5live

バルトークのような始まり方だがパーシー・シャーウッドは1939年に亡くなっており、むしろ呪術的な癖ある音律などブロッホ的、ところどころはウォルトンやコープランドの垢抜けた響きにも似ている。ドレスデンの作曲家だが後半生はロンドンで過ごし、ここではイギリスの作曲家ということにしておく。太鼓をドカンドカンして終わるなど、重心の低さにドイツ、さらに未整理感のある流れには戦前の古い音楽スタイルを想起させもするが、ミトロプーロスが要領よくやっているので古臭くは感じない。オケがアメリカオケということからひときわアメリカ・アカデミズムを思わせるところもあるのだろう。録音はモノラルでまずまず。
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ドビュッシー:間奏曲L.40

2019年02月15日 | ドビュッシー
クリスチャン・イヴァルディ、ノエル・リー(P)(arion,universal/warner)1990・CD

この小品、L.40にきてはじめてドビュッシーを聴いた思いがする。1880年代初期にわずかな期間をおいただけでいずれも音楽院時代の習作めいたものだが、素直に聴き心地がよく、それは新しい音楽を聴いているときのそれだ。ピアノの書法的にはすでにいろいろやっていたというドビュッシーがちゃんと音にしてきている、まだそれでも「小組曲以前」ではあるものの、リズミカルで軽くすっきりした作品は学校の試験のために書かれたとは思えない出来だ。演奏はこのコンビだけあってこういう曲では胸がすく。
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ドビュッシー:バッカスの勝利L.33(ピアノ連弾版)

2019年02月15日 | Weblog
クリスチャン・イヴァルディ、ノエル・リー(P)(arion,universal/warner)1990・CD

未完というか一部喪失された不完全な形で演奏される曲。「ディアーヌ」がL.20だがこちらのほうが古風に感じた。前の世代のフランスの作曲家、近くてもフォーレあたりの穏健さというか、ロマンティックな甘さを感じるし、メロディが濃く、これは完成されていないせいかもしれないし管弦楽を想定していたせいかもしれないが音がやや少なめで単純にも聞こえる。サロン風というか、悪くはないが、4楽章(3楽章は失われており4楽章の2つの断片が演奏される)通して聴いてドビュッシーらしい響き(の動き)というのは僅かに思った。楽想が少なくあまり激しないせいもあるかもしれない。
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