湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ブラームス:交響曲第2番

2018年10月31日 | Weblog
クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(ica)1956/11/12ロイヤルフェスティバルホールlive・CD

さすが掌中に収めた演奏ぶりだ。ブラームスで失敗しているこのクラスの指揮者自体いない気もするが、ワルターよりはフルトヴェングラーに近いのか。全楽章が均質な態勢で臨まれており、楽章によって突出したり手を抜いたりすることがなく一貫して楽しめる。クレンペラーでも50年代の演奏ゆえ型式ばったところもなく、流麗とすら言える。オケもイギリスオケの中庸のかんじはほとんどしない。終演後のブラヴォが凄まじい。ただ、録音はノイジーで悪い。冒頭から聴く気をなくす状態である。icaの発掘音源は最近はほぼ初出だが、なぜか早々には代理店販路に乗りにくい気もする。facebookなど見て、直販だと案外安いかも(代理店経由は高い)。
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チャイコフスキー:交響曲第5番

2018年10月31日 | Weblog
ロスバウト指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団(naxos)1957・CD

正規録音だがモノラルで音はこもってよくない。音量を上げて聴くことをおすすめする。今まで出ていてもおかしくなかった復刻だけれど記憶の限り無い(CD-R除く)。思わず(間違えて)二枚買ってしまった(売る)。演奏はエッジの鋭い、それでいて重量感もある音で流れ良く仕立てている。モノラルのドイツ系のチャイコとしては野暮さが一切なく、妙な構築性も目立たず(ちゃんと組み立ててはいる)肩ひじ張ったものにはなっていない。むしろかなりスタンダードなスタイルの演奏に思える。情緒を煽ることもしないがチャイコのメロディから湧き立つ匂いは強く伝わってくる。けして中庸ではなく、ドイツ流のガシガシくる演奏の系譜にありながら、世界基準のロシア物を描き出すために流麗さも身に着けた、カラヤンとは音作りもレガートのふうも違うけれど態度は似ているかもしれない。
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ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第1番

2018年10月30日 | Weblog
パスカル四重奏団(ars nova/forgottenrecord)1962/5/23放送・CD

ars novaボックスに半年さきがけてfrがR化した放送音源について書いている(ars novaは基本は復刻らしいのでおそらく同じ音源だろう)。しっとり聴かせる前半楽章ではヴァイオリンのさざめ泣くような音色が印象的。バランスも良くチェロの音色もほどよく深い。注意深い足取りはきわめて単純化された書法の、それゆえ怖い構造を、音色や響きの変化を明らかにして色彩的にきかせる。3楽章は爆走はしないが飛ばしもきっちりブレがなくショスタコらしく機械的に、そのうえで抒情旋律が躍る。第二主題はどちらかというときっちりテンポを作りワルツを強調しないが、この曲ではそうでないと均整がとれないか。時代なりの響きの軋みが皆無とはいえないが古い録音ゆえよく伝わらないだけかもしれない。古式ゆかしい感情のほとばしる音がわくわくする4楽章。この楽章ばかりは軋みも味だろう。ライヴなので超高音がとれないのも仕方ない。「革命」の兄弟作品とされることもあるが、あちらより極度に凝縮され、そぎ落とし、より「わかりやすさ」を追求し、なおきわめてショスタコである。旋律音楽なので万人に勧められる。この演奏は個人的には好き。拍手はふつう。
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※新譜情報;ロスバウト大選集、コンドラシン厳選ライヴ集、ラフマニノフ新発見自作自演「交響的舞曲」

2018年10月29日 | Weblog
ばらばらのレーベルや海賊盤で出ていた音源を呆れるほどに集めたボックス。一部非所持があるが迷う。これだけでロスバウトは網羅可能。しかもホームページの長大な解説!>ハンス・ロスバウトの芸術(54CD) https://www.hmv.co.jp/product/detail/9317021… @lt_hmvから

これもなかなかのもの。ロスバウト同じくmelodiyaから各小レーベルまで珍しい音源だけ掻き集めてきており、profilなので少し高いが漏らしたものは網羅されてるでしょう。LPをこのさいCDにするかなあ。>キリル・コンドラシン・エディション 1937-1963(13CD) https://www.hmv.co.jp/product/detail/9307794… @lt_hmvから

高いのも致し方なし。新発掘は今は滅多にない。ミトプーの舞曲はnicksonとは別物。3番初出。小品はYouTubeなど探せばあるかもだがこれは買いか>ラフマニノフ、交響的舞曲を弾く〜新発見の1940年代の録音、他 ディミトリ・ミトロプーロス&ニューヨーク・フィル他(3CD) https://www.hmv.co.jp/product/detail/9305518…

(2018年11月下旬発売予定)

正規盤CDボックスブームで先週に引き続きまとめ買い。まとめ買いなら廉価通販に対抗できる安値になるが、まとめ買いなので買いすぎて少し後悔。CD買ってなかったしいいでしょ。

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R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」

2018年10月29日 | Weblog
ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデン(documents他)1938・CD

ドン・ファンよりこちらのほうが充実しているように思えるが30年代と遡る。あちらの鄙びた感じはこちらにはない。ウィーン風味はドイツオケとは思えぬほどしっかり出ており、時代背景は別としてこの頃の素晴らしい音楽環境に思い馳せる。こういうベームなら楽しい。すこしおとなしいと思う人もいるかもしれないが、(おそらく)強権的に引き締めた、と思えない情緒がある。
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R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

2018年10月29日 | Weblog
ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデン(documents他)1940・CD

冒頭より鄙びた音はするが録音のせいかもしれない。オケはさすがの腕前でベームのウィーン風の纏め方、音色の引き出し方が光る。40年の録音とは思えない充実度にびっくり。廉価盤ではなく本気の音盤で聴けばまた違うだろう。リヒャルトの艶がかんじられる。
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プロコフィエフ:スキタイ組曲

2018年10月28日 | Weblog
チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(mphil)1980/1/17live・CD

ミュンヒェン・フィル設立125周年ボックス所収。海賊盤では既発かもしれないが音質は最上。この、プロコフィエフにしては野暮なリムスキー的異国趣味作品を、初期ストラヴィンスキーの野蛮主義というよりバルトークのように洗練された怪奇趣味の前衛作品として厳しく整えている。角張った響きや異様なアンサンブルに対して、まるで空気の通るようでそれでいて針金細工のようにしっかり噛み合ったものに仕立て、この曲をオケの力まかせでスピードで押し切るのは間違っている、と言わんばかりに見違える、当時プロコフィエフが言っていた「革新」そのもの、野心がきちんと形になっていると実感させる。後年の人好きする旋律はほとんど現れないが萌芽は感じ取れる、それもこのような見通しの良い演奏、そして録音による印象だろう。
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ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

2018年10月27日 | Weblog
ミュンシュ指揮日本フィル他(otaken)1962/12/27live・CD

有名なライヴだが客席反応は慎ましやか。慎ましやかに思えるほどミュンシュ的な小股の切れ上がったリズム、しかしガシガシ重量感のある発音で、とくに歌唱が入ってからが素晴らしい。冒頭からはすこしひなびた、音量に抑制の効かない音色が、やはりこうなのかなあと思わせるが、最後にここまで熱せれば良い。いい意味でドイツ的でもアメリカ的でも、むろんフランス的でもないミュンシュ。ベートーヴェン好きはどう思うか知らないが、圧倒的歌唱、日本の演奏陣にも拍手を贈りたい。
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ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲

2018年10月25日 | Weblog
ケレメン(Vn)マリナー指揮ダヌビア・ユース交響楽団(放送)2003/3/21live

プロコフィエフを換骨奪胎してしつこく長く仕上げたような技巧的な曲で、このソリストはギリギリ弓を弦に押し付ける加減で音をつくっていくので、デジタルな表現はしやすいというか、スピードを除けば技術的にはライヴとしてはかなり素晴らしいと思うが、三楽章の後半まで旋律表現等全く憂いが感じられず耳が辛くなる。オケもやや鈍重か、マリナーの解釈が入っているかもしれないが。スポーツな曲でもあるのでスピードさえあればもっと聴けただろう。破音がしそうな弓圧にも耐えうる楽器本体の力が演奏を成立させているとも邪推。
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ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」〜四つの海の間奏曲

2018年10月25日 | Weblog
マリナー指揮ダヌビア・ユース交響楽団(放送)2003/3/21live

英国音楽コンサートの前プロ。硬質な響きの曲は鋭いマリナーによくあっている。楽団も非常によく働いておりセッション録音並みの出来。響きはコープランドやウォルトン(中プロがウォルトンのヴァイオリン協奏曲)によく似ているが、特にしつこい「嵐(四楽章)」の最終場面はマーラーなどを思わせる。ロマンティックで旋律重視の部分はコープランドら新古典主義の作品には無い。ショスタコとは似ても似つかないが強いて言えば旋律的な部分は似ているかもしれない。また極めて描写的で、それも最小限の音の重ね方で演出していくから演奏側の鋭さが鋭いほど綺麗に聴こえる。この演奏はまさに。
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リムスキー・コルサコフ:シェヘラザード

2018年10月24日 | Weblog
コンドラシン指揮ORTFフィル(SLS)1978/5/19live

結局コンドラシンはロシアものか、と思わせる出来で客席も沸く。非力なオケでも迫力も違うしやる気も違う。放送エアチェックノイズが終始入り続けて聴きづらいが音そのものは明晰なステレオで、二楽章でひどいノイズがはいるがこれは元々のものなのかわからない。プロコフィエフ、シェ-ンベルク、サンサンと職人的な演奏のトラックが続いて、フランスオケの味わい、色彩的なオーケストレーションがコンドラシンのモノトーンなかんじを払しょくし、ラフマニノフに匹敵するような結果をもたらしている。録音が惜しいが、この盤では出色。
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シェーンベルク:5つの管弦楽曲op.16

2018年10月24日 | Weblog
コンドラシン指揮北ドイツ放送交響楽団(SLS)1981/3/7アムステルダム・コンセルトヘボウlive(コンドラシンラストコンサート)

日本でいう大正時代の作品、シェーンベルクの先駆的作品とされ律せられた現代音楽の嘴矢。これをコンドラシンがやるというのが、晩年の行き着いた場所というか、中欧オケだからというのもあるのか、しょうじき、コンドラシンがやらなくても、という気もするし、演奏も上手くて、色彩を繰る指揮者ではないから単彩ではあるが、音の様々を克明に表現しマーラーより後の曲もものにすることのできるこの指揮者の可能性を惜しむ。この前の古典交響曲はひどいノイズが残念だったが、ここでは薄く同様のノイズが入る場面はあるものの、妖しげなものもふくむ精妙な音楽を味わうにはギリギリ大丈夫である。
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プロコフィエフ:古典交響曲(交響曲第1番)

2018年10月24日 | Weblog
コンドラシン指揮北ドイツ放送交響楽団(SLS)1981/3/7アムステルダム・コンセルトヘボウlive(コンドラシンラストコンサート)

良いステレオ録音だが2〜4楽章にデジタル化ミスのような派手なノイズが断続的に入り非常に惜しい。落ち着いたテンポで1音1音を強く発音し、新古典主義の気配はないが、客観性を保ったまま4楽章はそれなりに煽り盛り上げる。コンドラシンの特徴はあらわれないが、西欧オケを使うことでここまでニュートラルな職人性が出るのかと思うところもある。このあとシェーンベルクの5つの管弦楽曲op.16 となるが、同様のノイズが薄くではあるが入るのでこれは原盤(提供音源)起因と思われる。
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ウォルトン:歌劇「トロイラスとクレシダ」(初稿)

2018年10月23日 | Weblog
サージェント指揮コヴェントガーデン歌劇場管弦楽団&合唱団、リチャード・ルイス(トロイラス)マグダ・ラズロ(クレシダ)ピアース(パンダラス)他(PASC)1954/12/21live放送

初演ではない模様。モノラルの放送録音で音質はノイジーなモノラル、音場が狭いがほどほどにレストアされている。3幕からなる長大なオペラでウォルトンでは知られた作品だろう。平易な音楽に美しい歌、ペレアス以降のフランス近代音楽(あるいはサンサンやラヴェルの明晰な音楽)、マーラー以降中欧音楽の影響は感じられ、部分的には意図的に模倣しているのではないかと思わせるものもある。ウォルトン特有の書法の癖(自作有名曲すべてからいいところどりしたような、というか詰め込みすぎて息の詰まる作風をとても聴きやすいレベルに引き伸ばしならしたような)、同時代イギリス音楽の上品で透明な音楽との共時性は横溢しているものの、第1幕は比較的ウォルトン以外を思わせる個性の薄まりがあるように思う。第2幕でもマーラー「大地の歌」告別冒頭を思わせる重苦しいパセージやシェーンベルクの浄夜か室内交響曲かというような下降音形はそれぞれ醸し出す雰囲気を引用したかったのか。3幕は2幕ほどの清新さはないが、筋書きに沿っているので構成上意図したものかもしれない。何より、これはベルシャザールの祭典ほど過剰なゴージャスさを煽ることはなく、歌の一つ一つが丁寧に書かれており、伴奏との組み合わせも必要最低限の絡みでしっかり聴かせるように組みあがっているし、映画音楽のようにキャッチーすぎることはなく、さすがに何時間も聴くには単調すぎてこたえるが、すくなくとも1,2幕は引き込まれて聴ける。描写的表現がじつに上手く、それも過去の自作をふくむ音楽を換骨奪胎したようなニヤリとさせる部分も多く、音楽好きなほど聴けると思う。キャッチーでないかのように書いてしまったが、ウォルトンでもわかりやすさはピカ一である。歌唱はライヴとしては皆とてもきれいで引っ掛かりはない。言語の問題もあるかもしれないが。オケは歌劇場オケらしく少しハスッパで開放的なところもあるけれど、ウォルトンをここまでちゃんと弾きこなすのは腕がある証拠だ。サージェントの鋭い指揮によるところも大きいと思う。弛緩なく緊張した演奏でもある。pristineによる復刻(PASC138)。幕間に拍手と放送ナレーションが入る。拍手は普通。終わり方があっけないのもあるかも。
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誤買を招く「新譜」のウソについて

2018年10月23日 | Weblog
2000年に出た箱の再発でしょ?>
20世紀のシカゴ交響楽団〜コレクターズ・チョイス ブルーノ・ワルター、キリル・コンドラシン、クラウス・テンシュテット、ゲオルグ・ショルティ、他(10CD) https://www.hmv.co.jp/product/detail/9272349… @lt_hmvから

posted at 09:00:47


※最近再発盤や既発盤なのに表記の無いものが多い。海賊盤正規化などは新譜とされるのは珍しくないしただしいが、正規盤再発は知識が無いならまだしも、初出年が盤自体に書いてある場合は未入荷じゃないんだから書いてほしい。以下も2014年の在庫一掃を特記無しに紛らわしく書いていた(わたしはこの箱としては非所持だがバラ&LPでほとんどもってた )
https://pic.twitter.com/BHrjdvjMpQ
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