20世紀ウラ・クラシック!<最新版>

このページは、19世紀末から20世紀の末流ロマン派クラシック音楽に焦点を当て、同時代の録音評を中心に紹介しています。

ルーセル:交響曲第4番

2008年11月28日 | フランス
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1965/2/15live

これは素晴らしい演奏なのだけれども録音が雑でちょっと聴きにくい撚れ方の部分もある。オケのボリュームと技術的なレベルの高さとアンサンブルの巧さと、癖の無い安定した音表現がこの癖のある曲の晦渋で濃い灰汁を抜き、それをルーセルの解釈者としては史上最高といっていいミュンシュが自在に動かしていく。冒頭の非常に謎めいた序奏を除けば、2楽章のエキゾチシズムが前衛に埋没するような晦渋な音楽を除けば、楽天的で古典的な交響曲として楽しめる曲なのであり、ミュンシュはそういう部分のリズムどりが巧い。ルーセル特有、リズムセクションですら分厚い和音によって鈍重にさせられてしまうという弱点が、ミュンシュにかかると軽くびしっとまとめられ克服させられる。オケの技巧が背景にあれば言うことなしだ。けしてリズム系指揮者ではないけれどもルーセルは特別である。前記の聴きにくい箇所も下手に山気やムラ気を篭めず、スコアのままかっちり聴かせることで額の皺を最小限に留めてくれる。聴衆反応もいい。○。
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ラヴェル:マ・メール・ロア組曲

2008年11月28日 | ラヴェル
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団?(DA:CD-R)1958/1/2live

力づくの部分もなきにしもあらずだが、緩急の付け方が激しいにもかかわらず自然な流れの中に巧く配置されていて、さすがに慣れたところを聴かせている。繊細な曲だが時折粗暴なミュンシュでもラヴェル相手となると密やかな表現と暖かな響きを演出してくる。パリ時代はラヴェル指揮者として著名だったのである。録音が拠れたモノラルで粗く、そこがなければかなり上位なライヴ録音。
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バルトーク:ヴァイオリンと管弦楽のためのラプソディ第1番

2008年11月28日 | 北欧・東欧
○スターン(Vn)モントゥ指揮ボストン交響楽団?(DA:CD-R)1961/7/23live

原曲はピアノ伴奏、ここまで豊穣なオケを背景にするとヴァイオリンが埋没し(スターンの安定したニュートラルな音・表現ならなおさらだ)協奏曲風の響きが失われ一つの管弦楽曲にきこえてしまう。ただ、魅力的な演奏になっていることも確かで、キョンファ・チョン以降日本でもよく聴かれるようになったこの曲の、民族的な部分を殊更に強調しない別の魅力を聴かせてくれる(管弦楽が余りに出すぎて違和感すら感じたのでいじっているのかも)。モントゥのさりげない捌きの技が光る。スターンは血を感じさせないがオケと音色的な統一感がとれていて聴きやすい。録音はいまいち。○。
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バルトーク:組曲 op.14

2008年11月27日 | 北欧・東欧
◎作曲家(P)(HMV,HUNGAROTON)1929/11・CD

テストテイクも収録されている。私がバルトークでは一番好きな曲集でとくに一楽章はバーバリズム過ぎず、硬質な書法にもかかわらず叙情味を感じさせる妖しい和声展開や不協和音による打音のスマートな挿入がいい。ピアニストならではの技術的余裕を背景に、特有の民族性をスピーディで的確なタッチにより昇華させた表現にはすかっとするものがある。録音は悪いが聴く価値あり。
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バルトーク:ソナティナ

2008年11月27日 | 北欧・東欧
○作曲家(p-roll)(HUNGAROTON)1920?・CD

ウィンダムヒルみたいな出だしからドビュッシーの影響を受けていた初期に通じるリリシズムが印象的。才気と香気のバランスがとれて秀逸な小品。ヴァイオリンのラプソディ第1番と似た粗野で民族的なリズムにのっていることすら忘れさせるような調子だが、短い。作曲家はブレなく、リズムのロール撚れはあるものの自身の確固とした表現をしていることはわかる。○。
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レスピーギ:ローマの松

2008年11月26日 | その他ラテン諸国
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1961/8/6LIVE

ステレオ録音が明晰すぎて荒が目立つ、、何かぶよぶよしていて済し崩しにはいる拍手も構成力の弱さを象徴しているようにおもう。起伏が起伏としてきちんと録音されておらず、聞こえなくてもいいブラスの隅々まではっきり聞き取れてしまう。あと、この曲はやっぱり一楽章冒頭で決まる。壮麗なだけだとリズムがしまらずテンポをしっかり印象づけられない。以後すべてだらだら聞こえてしまう。三楽章はさすがに綺麗に決まっている。○にはしておく。
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<豆情報>アンセルメ初期録音集が4000円台BOX発売

2008年11月26日 | Weblog
HMV

かつてばらばらでandanteやLYSなど怪しげなレーベルで板起こし(一部EMIやRCAでも復刻)されていたアンセルメの初期録音、とくにフランスものやストラヴィンスキーをこの値段で8枚組復刻。全部既出ですがおすすめしておきます。cascavelleはなくなりやすいので山野楽器かHMVでどうぞ。ブランカールのラヴェル協奏曲集まで収録はうれしいですねえ。それぞれCD初出時に単品で買ってたらけっこうしたものです。。
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アイハイム:日本の夜想曲

2008年11月26日 | アメリカ
○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1971/4/18LIVE

若々しいなあ。戦前ごろまでの日本の印象を民謡旋律をいくつかまじえて描いた印象派ふう音詩だが、きわめて短い中にも透明な空気感、非常に清澄かつ豊かな色彩の煌めきを聴かせ、ストコらしさを示している。ややよれるがステレオ録音状態もままよい。○。
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ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

2008年11月26日 | ドビュッシー
アンセルメ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1961/12/1LIVE

明晰なステレオ録音のせいか冷めたリアリスティックな音が耳につき解釈もじつに無味乾燥。響きの硬質な美しさもライヴの精度では環境雑音もあって限界があり入り込めなかった。ボストンオケはよくこういう無感情な表現をする。好みとしては無印。
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ベルク:ヴァイオリン協奏曲

2008年11月22日 | ドイツ・オーストリア
スターン(Vn)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(CD:CD-R)1959/11/7LIVE

不思議だ。表現にも技巧にも何ら欠点は無いのに、何も残らない。冒頭から内容的な即物性を感じる。ソリストの音色が安定しすぎている、ミュンシュが無感情なうえ繊細な曲のメカニズムを理解してやっていない、、、ともはっきりとはわからない。現代曲に向かない指揮者であることはあきらかだが。。
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ドビュッシー:管弦楽のための映像~Ⅱ.イベリア

2008年11月21日 | ドビュッシー
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1965/2/15live

非常に円熟した名人芸を見せている。録音は良好なステレオで十分一般の鑑賞にも耐えうる。楽しくも軽やかに舞踏的ではなく重い響きでリズムに迫力を持ち込み、テンポもそれほど早くはないがかといってドイツ風の鈍重というわけではない、細部の独特の操作含めこれがミュンシュの同曲における長いキャリアの決算的表現として素直に楽しめばいい。○。
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フレンニコフ:交響曲第1番

2008年11月20日 | ロシア・ソヴィエト
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1954/11/14LIVE

フォード社主催のコンサート記録でボストン初演か。MELODIYA盤と同一の可能性あり。音はエアチェックだがずっとクリアで硬質。焦燥感が叙情と皮肉のはざまにただよういかにもな曲で、20世紀前半的なロマンチシズムがミュンシュと相性いいようだ(ルーセル後年作品にちょっと似ているところもある)。統制が行き届き力強く、音色は多彩だが中身の単純なソヴィエト音楽ならでは生きてくるさばき方を心得ている。煌めく色彩味にはフランスものをやるときのあの強くはっきりした、一種鈍重さが示されている。ショスタコに献呈され確かにショスタコに近似したパセージもあるのだが、ヒンデミットによく似た職人的な構造性の寧ろ目立つ曲なので、ライプツィヒ出のミュンシュは見やすいやりやすいのかなとも思った。物凄い勢いの終演とともに大拍手とブラヴォともブーともつかない声が鳴り響く。○。
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マーラー:交響曲第10番~Ⅰ、Ⅲ

2008年11月20日 | マーラー
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1959/12/3live

プルガトリオ付きなのが珍しい。クシェネク版か。一楽章は恐らく"0""0""0"classics(CD-R)既出のものと同じ(録音日表記は違うが演奏時間がほぼ同じ)だが、エアチェックノイズ含め音質は悪い。序奏部など一部を除き非常にドライで軽い独特の演奏。乾燥しており、インテンポで、音の迫力でのみ起伏が感じられる。こだわりが無い。ただ、若干こなれているというか一定の精度は保たれており、それなりの充足感が得られるところをみると慣れていないわけではなさそうだ。むしろ力感溢れるリズム表現が聞かれるプルガトリオのほうに魅力を感じた。ミュンシュらしくもない「マーラーになっている」。カップリングにフォレスターの歌唱による亡き子をしのぶ歌と若き日の歌という歌曲集が入っている。ミュンシュのマーラー歌曲伴奏はRCA正規録音がある。
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ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番

2008年11月19日 | ヴォーン・ウィリアムズ
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1957/11/1live

何というか独特の演奏。ミュンシュが初演もしくは啓蒙を使命としてオシゴトをこなした、といった多くのうちに入ってしまうものだと思う。まるでトスカニーニのように乾燥した押せ押せの演奏ぶりはリズムが強すぎて旋律の魅力を消してしまっているし、そのリズムも精度が低く芸の無いもの。解釈はほんと、フランス人なのにロシア風というかドイツ風というか、アメリカの新ロマン派の解釈ふうというかミヨーの大交響曲のように演奏しようとしたというか、ストコライヴ以上にストコ的奇妙さが織り交ざる(最後の終止音がそれまでの直線的な表現からいきなりルバートして物凄く伸ばされるのはストコ以上(ストコはむしろパウゼすら無視し終止することで曲のいびつさを補正している)、聴衆が沸くと思ってのことかもしれないけど、さすがにブラヴォはちょぼちょぼ)。

違和感しきりで冒頭からもうガチャガチャで、調子っぱずれのペットはいくらなんでもテープ撚れだとは思うが、早過ぎて木管や弦がごちゃごちゃになる。もちろん流れは強引に作っているけど構造ががちゃがちゃだ。鉄琴や木管が夜曲的な雰囲気を醸しているのに弦のピチカートを異常に強調してぶち壊す(このやり方は確かにドイツ的だ)、チェロから暗示される至上に美しい第二主題(便宜上きらきら星の部分抜粋みたいな下降音形をこう呼んどく)がまったくカンタービレせず埋没。音色も無茶苦茶で無機的。完全に即物的な表現なのだが、それも思いつきのようにやるため出来のいい部分と無茶苦茶な部分が雑多に混ざり合ってとてもRVWの憂いある世界が表現できているとは言えない。練習量が少ないせいかこなれていない感もある。ただ腐ってもボストン、弦のトゥッティが出る部分のボリュームや高音管楽器のソロの巧さは諸所で光る。二楽章はのっているし三楽章はそれなりに盛り上がる(といってもボールトやストコには及ばない単なる音量上のこと)。四楽章の派手な突進に期待して聴いたのだが・・・突進しすぎ。確かに聴いたことのないたぐいの演奏解釈であり、録音も復刻状態も悪いけど(モノラルなのに左右に撚れる・・・)○にはしておこう。
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プロコフィエフ:交響的物語「ピーターと狼」

2008年11月18日 | プロコフィエフ
○ケーゲル指揮ドレスデン・シュターツカペレ、R.ルートヴィヒ(ナレーション)(DENON,COLOMBIA)1971/6/22-24・CD

非常にクリアでシャープ、自然な拡がりのあるこの上ない録音復刻状態。CDメディアにはうってつけのディジタルな「ケーゲル美学」があらわれた演奏でマニアは金科玉条のように扱うべきだろう(意味不明)ドイツ語によるナレーションに違和感があるのと部分的には少し厳し過ぎる感もあるが、新古典に回帰した時期のプロコフィエフの管弦楽法の粋が現れ、どこにも削るところも加えるところも無いまさに簡潔にして完璧な作品ともいえ、しかしその簡潔さゆえに各モチーフを主として構成するソロ楽器には完璧な演奏が求められる、ちょっとの狂いも何かぐだっとした印象を与えてしまい、この音楽の硝子玉のような美観が損なわれてしまう。ケーゲルはとにかく美しい。ロマンティックな魅力とかダイナミックな迫力とかそういった付加的な表現による音楽ではなく、スコアをスコアのままが最も美しいとしてひたすら磨き上げることに専念した、その結果を愉しもう。禁欲的ではない、スコアは決して禁欲的な旋律(+リズム)を示してはいないのだ、ケーゲルはそこはわきまえているから、楽しめる。とはいえちょっと背筋が固まる感じがするので、曲の内容にそぐわない部分もあるかと○。
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