Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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AIDS合併症の進行性多巣性白質脳症は抗精神薬で治療できる?

2004年12月03日 | 感染症
進行性多巣性白質脳症(PML)は,polyoma virusのひとつであるJCウイルス(JCV)による中枢神経日和見感染症である.AIDSのような免疫不全状態でJCVに感染すると,oligodendroglia内においてウイルスが増殖し脱髄に至る.AIDS患者の約5%で発症すると言われているが,これまで治療は不可能と考えられてきた.
 今回,Brown Univ.より,セロトニン受容体5HT2ARが,ヒトのグリア細胞上でJCVの細胞受容体として機能することが報告された.すなわち,5HT2A受容体拮抗薬がJCV感染を抑制し,さらに5HT2A受容体に対するモノクローナル抗体は,JCVによるグリア細胞への感染を阻害した(一方,SV40によるグリア細胞感染は阻害しなかった).5HT2A受容体をKOしたHeLa細胞へ5HT2A受容体をtransfectionすると,ウイルス感染能が獲得され,さらにこの感染は5HT2A受容体抗体により阻害された.また5HT2A受容体は,,エンドゾーム分画内でJCVと共存することも判明した.以上よりセロトニン受容体拮抗薬は,PMLの治療に有用である可能性がある.

Science 306; 1380-1383, 2004
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