Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

グラスに見るワインの特性

2005-04-28 | ワイン
ワインの試飲用グラスの写真を掲載する。一番右の物がインターナショナルタイプで広く使われるものである。一番左がドイツの伝統的な試飲グラスである。真ん中はその変形で数年前まではバッサーマン・ヨルダンで使われていたものである。

試飲グラスは、検査用とか専門家モニター用とか言われる製品群と同じで、検査対象の違いをハッキリさせるためのグラスでワインを愉しむグラスではない。このようなグラスを家庭向けに使う意味はない。実際、このようなグラスを試飲に使う醸造所は殆んどない。何故ならば、一般消費者に対して商品をアピールするためには、愉しみ方をアピールする方が近道であるからだ。

それでもこのような試飲グラスから学ぶ事も出来る。その前に、ドイツ語圏で最も有名なリーデル社のカタログを覘いて見よう。食器洗い機などのTVスポットでも登場するこの会社はオーストリーの伝統豊かなグラスメーカーである。

ネットで紹介されているワイングラスを一通り見ても、リースリング用に理想的と思う商品がなかなか見付からなかった。何故だろうか。これを考えるとリースリングの本質が分かる。

先ずは、「ワイングラスシリーズ」の中からリースリングと名付けられているものは、比較的試飲の場合等に使われる形状である。決して悪くは無いと思うが、これに鼻を入れると思いのほか酸の沸き上がりが強くて咽る事が良くある。深い窪みにガスが溜まるからだ。縁の絞りの緩さはこれで良いが、空気と触れ合うためには深すぎるような感じがする。リースリングのエアーリングである。

二つ目の、「ラインガウ」タイプは新鮮なワイン向きに考えられているようで、舌の先端への流し込みで甘さの接触を意図している。辛口で若く酸がありアルコールが弱いラインガウのリースリングの甘味?を愉しむらしい。クラッシックなラインガウワインの、例えばハノーバー公のフォン・ジンメルンとか一昨日悪天で水に浸かった歴史的ケラー・クロスター・エアバッハ、旧プロシア王のシュロース・ラインハルツハウゼン等を意味するのだろうか。但し、カイザーから三月革命で失脚した宰相メッテルニッヒへの下贈地のヨハニスブルク産とは違うようだ。カタログを良く見ると、なるほど推薦ワインにグリューナー・ベルトリナーとリースリングが並べてある。

概ねここのグラスは、オーストリーワインが脳裏にあるようだ。形状からどちらかと言うと、リースリング向けとシャドネー・シャブリ向けに指定されている浅めのグラスの中間が存在すればドイツのリースリングには合うような気がする。つまり、このカタログではドナウのリースリングやグリューナー・ベルトリナーが白ワインの代表となっている。それでは、ラインガウやモーゼルもしくはプァルツのリースリングは何故違うのか。

答えは、その酸の湧き上がりと空気に触れて広がるアロマの豊かさである。これは、ヴァッハウやクレムスのリースリングには求め難い。こうして再びドイツワインの試飲グラスの形状に注目すると、この両面が考慮されている事が分かる。

愉しむための理想のリースリング用のグラスを追い求める一方、翌日に飲み残しなどを注ぐ時は既に上の要素が薄れていても横着せずに通常のワイン用の適当なグラスを使いたい。

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