Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

様々な集客法の研究

2011-12-16 | 文化一般
ミュンヘンの有名なドイツ博物館にホールを建築する話が持ち上がっている。バイエルン放送協会の交響楽団がホームとする目的がある。現在そこにあるナチス時代のホールを取り壊して新設して、文化博物館としての機能を持たせるようだ。

西ドイツの放送交響楽団は、戦後の復興期の産物であって、ホールという面ではどの交響楽団も恵まれなかったのであるが、多くはホームグランドとするモダーンなホールを持つようになっている。反対に、場所となかなか結びつかないような交響楽団は、解体・統合などになっているザールブリュッケンなどの交響楽団を見ても、またフランクフルトの交響楽団などを見ても将来性に疑問符がつけられるのである。

今更フィルハーモニーでもないとは思うが、その母体である放送局が管弦楽団を維持できる限りは、フィルハーモニーとしてその音響体を伝統化していかなければいけないのだろう。

ミュンヘンは、最も貧しい州バイエルンの帝都から世界の輸出覇者西ドイツの工業の都ミュンヘンへと発展した。元々はドレスデンやヴィーン、ミラノなどと並ぶ音楽の都であることには変わりないのだが、オペラ劇場は有名でも歴史もあるミュンヘンの交響楽団フィルハーモニカーは世界からの観光客が殺到するまでには至らない。しかし、素晴らしい音楽ホールが出来れば、放送交響楽団はそれにも勝るとも劣らない集客力があるだろうというのである。その意味から、同じ工業大都市シュツッツガルトのリーダーハレなども態々遠くから訪れるだけの魅力ある場所でもなく全く音響体を育む入れ物でもない。

全く話題は異なるが古新聞を捨てるために、ワインに関する記事を要約しておこう。日本で四十年以上の活動実績のある有名な自称世界最大のワイン直販業者WIV株式会社のピーロート氏が経済欄に紹介されていたのである。十万人の顧客に対して、五十万本を売り、総売上は460億円のファミリーオーナー企業である。42歳の社長は一時東京にも在住して市場を研究して開拓したようである。現在は羽田空港内のワインバーが好評で、世界中の顧客開拓に十五円相当の投資をしている。

もちろん不凍液騒動で最も中心となった存在であり、悪いドイツワインを世界に広めた張本人である。しかし、その会社は今も健在で、世界各国で直販活動を広げている。その商法は、下着か何かのように訪問販売でホームパーティーを行ってもらい、そこで試飲してもらって購入してもらうという方法のようである。そのような営業形態ゆえ、全従業員5400人中三分の二に当たる担当者は営業で、主な客層はディスカウントのワインを購入している層で、ワイン通には声を掛けないということである。それでも販売するワインの一本あたりの価格が9ユーロというから、その儲けのよさは計り知れない。それでもヨハナス・ピーロート社長は、5%-10%の利潤率で、まだ満足していないという。

当然のことながら、ドイツやフランス、ハンガリー、オーストラリア、南アフリカなどからの自家品は、もはや2%に満たなく、各国からワインを集める形になっている。

さらに売り上げの安定化から卸売りにも90億円規模の商売をしており、その一方三年前からインターネットプラットホーム「ネックドワインズ」のBLOGのフォ-ルムの形式で「エンジェルス」と名乗って4800人の新規顧客と12億円の売り上げを上げたというからまれに見る商法である。20ポンドの会費を払うと三分の一の価格でカタログから購入できるというのである。

こうして世界十八国から売り上げを稼いでいるが、極東の商売は難しいと漏らす。なぜならばそこではエリートのワインが好まれて、ピーロートのワインでは売れないからと語る - 現在日本で購入できるドイツのワインをエリートとするとそれにも掛からないワインとは精々買い付け価格で2ユーロぐらいだろうか。ワインに不凍液を混ぜたぐらいでは潰れない会社、そのふてぶてしさはなんとなく東京電力に似ているのである。



参照:
Wir bauen einen Leuchtturm an der Isar, Hannes Hintermeier, FAZ vom 15.12.2011
Die Geschichte zum Wein gehört dazu, Brend Freytag, FAZ vom 27.6.2011
自宅よりも快適な車内 2005-02-14 | 歴史・時事
買ってしまうグランクリュ 2008-10-02 | ワイン

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 力の抜けない未知の領域 | トップ | 無責任なリセットの構造 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿