Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ラインの穏やかな中庭

2006-09-11 | 試飲百景
さて当日先ず伺ったのは、十年ほど前に初めて試飲してその後ご無沙汰していた名門の醸造所である。

二三年前に、レストランでここのワインに再会してどうしても試してみたくなった。幸いにも新たに開設されたヴィノテクが土曜日の午後でも開いていて願いが叶った。もう一軒のあまり期待の出来ない醸造所に近いので、ここで先ず品定めをしてしまおうと言う魂胆だ。

さて、初めて試飲の相手をして貰う女性に昔のことなどを伝えると、そのときに色々と教えてくれた醸造親方は大分前に引退していると、何処かで聞いた情報を改めて確認した。当時の親方は人あたりが優しく、その丸みと同時に弱さのようなものがここのワインの特徴であった。そこで若い親方が引き継いだワインを試す。

まだ一軒回らなければいけないので、辛口リースリングだけに絞る。

先ずは、2005年産エルトヴィレのゾンネンベルクを主としたオルツ・リースリング・キャビネットである。これは、新鮮味があって且つここのワインらしい丸みと味がある。砂利砂地と言うから特別な味はないがシャンペンのようなスパイシーさが良い。

二本目は、2005年産ハッテンハイマー・ヌスブルンネン・キャビネットでフルーティーさが特徴であるが、プファルツのものに比べてラインガウのものはこの点では勝らない。どうしても特徴が薄い。価格は大変魅力ある。

次に、2005年産のラウエンターラー・バイケン・シュペートレーゼを試す。バイケンは以前もここで購入した覚えがあったが、飲んでみてそれを幾らか髣髴させる。スレートの土壌にミネラルの要素が強く、微妙な味にもクリアーさが失われていないのが気に入った。2005年は糖比重からシュペートレーゼしか出来なかったが、2004年はカビネットであった。それを試すと、なかなか軽身と新鮮さが丸みを帯びて調和していて、甲乙を付けがたい。特に前者を水のようだと言うので誤解を招きそうになるが、水のように染透るニュートラルな味なのだ。まだまだワインとして開いていないので半年先ほどが楽しみである。それに比べると後者は、酸や糖が比較的元気良く拮抗している。

四本目は、グラン・クリュの2005年ハッテンハイマー・マンベルクである。ラインガウのグランクリュとして、石灰質の砂地から、非常にデリケートなワインが出来ている。問題は価格と、ワインが開き出すのに何年も待たないといけない事である。これほどに試飲で柔らかく調和しているグランクリュも少ない。どのような花園に咲き乱れるか、大分最高級のリースリングの醍醐味を期待出来そうである。この地所は、嘗てプファルツ・ツヴァイブルッケンのルートヴィッヒの所有であった。

過去に何回か訪れた名門醸造所であるが、久しぶりに邸内を歩くと懐かしい。ライン川の風が建物に遮られて、穏やかな雰囲気がここのワインの特徴でもある。ラインガウのリースリングと言うと力強さとその鉱物の様な存在感が素晴らしいのでドイツ最高のリースリングと呼ばれるに相応しい。その地所が貴族の所有なのでゲーテなどが、昔から感動して飲んだ。そうした俗物の賞賛だけで、護衛に護られてパパラッチが直接取巻くような事がなければ、事件も起きないのだろうが。

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2 コメント

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ラインガウ (ロードスター)
2006-09-12 10:09:09
ドイツを通り過ぎただけなのに、このブログでラインガウなどという文字を見ますと、行ったところの風景がよみがえります。pfaelzerweinの風景描写が、少し理解できるようになりました。
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世界最高のリースリング (pfaelzerwein)
2006-09-12 13:06:17
その通りです。リューデスハイムの手前10KMぐらいで、道路が高架から下に降りるあたりの町です。その辺りから暫らくが世界最高のリースリングの地所です。
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