Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

文化的回顧と展望

2006-01-01 | 生活
年の変わり目に、文化的回顧と展望を書き留める。

見落とした新聞記事から、2月18日の米国とオランダの研究による重力自動ロボット開発は、5月12日の記事の自己増殖型の機械と並んで注目を引く。宇宙活動ではホイヘンスに並んでハヤブサも話題となった。量子コンピューター分野でカリシウムイオンによる量子ビットの製造に成功したと言うインスブルックの研究とそのアルゴリズムにも興味が行く。

更に文化欄から、モーツァルトの未完成ハ短調ミサK427がカーネギーホールで2005年1月にロバート・レヴィンによって補筆完成、ヘルムート・リリング指揮で初演されている。ボート・シュトラウス作品のディーター・ドルンやルーク・ボンディー演出のパリを含む各地での成功の一方、記念年のシラーは各地で現代に役立つ課題を掻き集め掘り起こしての上演を余儀なくされたと言う。

同様に2006年に記念年を迎える文化人が列記されている。先ずは、シラーと同じように取り扱いが難いのが没後150年のハインリッヒ・ハイネではなかろうか。反面、間違いなく興味ある存在で、今後も改めてここで扱う。没後100年のイプセンと生誕百年のサミュエル・ベケットも挙がっているが、後者はきっとこの年を有効に生かせるだろう。それに比べると没後50年のベルトルト・ブレヒトと生誕150年のジグムント・フロイドはそのイメージに新たな事象を加えて、記号化したステレオタイプの肖像から逃れる事は難しいのではないか。1951年にビュヒナー賞を獲得した没後50年の詩人エッセイストのゴットフリード・ベンや同じく生誕百年のハリウッドの映画監督ビリー・ワイルダー関連では新たな出会いがあるのだろうか。時代を遡ってレンブラント・ファン・レインは、その自画像の如く400年後に暗闇から再び姿を現すか。

それほどの年月どころか250年後にも再生登場するのが困難になっているのは、モーツァルトではないだろうか。そのオペラなどの情感や感興の繊細さは、記念の年の喧騒にはそぐわない。寧ろ月並みなメロディーなどが巷に溢れ、尚一層イメージが固定され強調されて、喧騒の中でのBGM化が更に進み、その音楽は朽ちて行くのだろう。グロテスクな環境の中でより強い刺激を求め、記号の洪水の中から瞬発的に定型を読み取る認知力に犯された不感症な我々の感応力が問われている。それをどういった形で示すかが、夕刻から中継されるベルリナーフィルハーモニカーのジルフェスター・コンツェルトのモーツァルトプログラムに問われているものなのである。


PS.フィルハーモニーからの中継を観る。上手に演奏して、抜群の技術的繊細を示す。軽やかな弦の扱いも見事である。要求すればするほど、発止とこなせばこなすほど、その表現の目的に首を傾けざるを得ない。牛刀で小魚を下ろすようなもので、こんな状況は、とても長くは続かないだろう。ベートーヴェンのようなダイナミックスを後輩作曲家の責任にしても仕方ない。サイモン・ラトルが鉄のカーテンを幕引きをしたミヒャエル・ゴルバチョフのように見えてしまう。管弦楽団といい歌手陣といい、如何したものか。幕は一向に下りないが、仕事納めは済んだ。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 索引 2005年12月 | トップ | 2006-01-01 00:07 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しかったです (ヤース)
2005-12-31 21:09:22
毎日のようにエントリーを拝見して、とても楽しい一年を過ごさせていただきました。

・・・といっても、エントリーとは関係の無いところで反応してたりしてますが・・・。

ケッヘル・ナンバー・・・学生の時に好きになって、思い入れのあるものがあります。

エゴイスティックなものが共通の話題だったりすると物凄く嬉しかったりしました。

来年も多くの広いお話を期待しております。

因みに、ワイン。

今年は飲みまくりました。

ブルゴーニュの儚さが気に入った2005年でした。

今後ともよろしくお願い致します。

よいお年をお迎えください。
返信する
光栄です! (pfaelzerwein)
2006-01-01 00:23:40
ヤースさん、有り難うございました。最上の励ましを頂きました。お楽しみ頂ければ、何よりもの光栄です。



「エゴイスティックなものが共通の話題」、ホウ、本質を突いて来ましたね。



お口に合いますか、ブルゴーニュ。私も極めてみたいと思うのですがなかなか時間が採れずに難しいです。今後の楽しみです。



今年は、1月2日から月曜平日ですの、今日は昼から始めています。上に書いてみたものの、夕方のTVまでに寝入ってしまわないかと心配です。



希望に満ちた滑り出しとなると良いですね。
返信する
Unknown (ジロー)
2006-01-03 10:10:51
pfaelzerweinさま、新年おめでとうございます。



ところで「重力自動ロボット開発」の記事はどこで見れますでしょうか?とても興味が有るのですが、検索しても出ないので宜しくお願いします。
返信する
the journal Science - the issue on Feb. 18, 2005 (pfaelzerwein)
2006-01-03 17:49:43
ご指摘有り難うございます。上の記事は2005年クロニカルからで短信で「歩く為のエネルギー」が抜けています。所謂、「Gravity-powered walking」のことかと思います。2月の本記事は見付かりませんが、早速オリジナルのプレスインフォメーションを探しました。コーネル・MIT・デルフトのロボットの事のようです。



http://www.news.cornell.edu/releases/Feb05/AAAS.Ruina.bipedal.ws.html



一昨年辺りから、ロボットを真面目に報道する傾向にあり、当然の事ながら日本の研究成果も報道する事が多くなりました。以下の記事も名大のトシオ・フクダ氏の「ゴリラ」とハイデルベルクのフリードリッヒ・パイパー氏の「デニス」比較です。



http://www.faz.net/s/Rub163D8A6908014952B0FB3DB178F372D4/

Doc~EE5206B735D264F13BDF154E7A1B3504B~ATpl~Ecommon~Scontent.html



本年も宜しく。
返信する

コメントを投稿