Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

噴水の鴨に弄ばれる

2006-03-26 | 文化一般
バーゼルの町中の刑務所の下で食事をした。楽器博物館・音楽学校の坂之下である。古楽のサヴァール等の数え切れない芸術家が学んだ音楽学校である。そのような東京で言えば山の上ホテルの位置に刑務所がある。それ以上にこの下の広場は、チンチン電車トラムのターミナルがあり、賑やかで町の中心地でもある。昔は女子の受刑者が、下を通る男達を上から鉄格子越しに冷やかしたと言う。

その一角にコンサートホール「カジノ」があり、そこで催されるブッシュ、プロ・アルテ、カペー、ブタペスト、コーリッシュ、ゼルキン、カザルスなどが登場した世界でも指折りの室内楽シリーズは今でもこの町の重要な音楽文化を担う。その斜め向い側が劇場である。そこの広場にあるのが、有名な噴水「カーニヴァル噴水」で、これをヴィデオ撮影した。

この噴水は一度見ると忘れられない。仕掛けがしてあって、そのメカニックなユーモアに富んだ動きが水力で駆動させていると解らせて、更に遥かな想像を膨らませる。機械文明の寓意を含んでいるようで、水力が落差から生まれていたらなどと、環境を考えさせる面白さもある。

作者は、スイスのフランス語地域フリブール出身の彫刻家ジャン・ティンゲリで同様なメカニックな像は何箇所かに存在する。しかし2002年の5月26日付けのニューヨークタイムズも、「ファンならばバーセルへ行け」とアドヴァイスしている。奥さんのニキ・ド・サンファルとの共作として、ポンピドー広場の「ストラヴィンスキーの噴水」も有名である。フランクフルトに続いてバーゼルにもあるヨゼフ・ボロフスキーの動く「働く巨大な男のシルエット」とは多いに異なる。

ヴィデオを取り出したら噴水の淵を歩き回る子供に何度も邪魔されるが、最後には鴨に弄ばれる。



参照:
時間差無しに比較する [ 音 ] / 2006-03-21
逸脱して変性した芸術 [ 文化一般 ] / 2006-05-02

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4 コメント

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噴水 (ロードスター)
2006-03-26 11:44:09
刑務所の前に珍しい噴水。

発想が豊かな外国の風景ですね。

それにしても面白い動きをする噴水に、何度もビデオを眺めました。

また面白いものがありましたらお願いします。

こちら錦帯橋の桜が咲き始めました。
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目に見えるメカニック (pfaelzerwein)
2006-03-26 14:02:28
VIDEOで一括して撮影したので、細かな動きを捉えられなかったのが残念です。「設計図」でもネットで見つける事が出来れば良いのですが。



こういったものに興味のない私でも初めから子供のように釘付けとなりましたので、大抵の人が心打たれるメカニックだと思います。それがユーモアに繋がるのがまた凄いです。



ベルリンのソニーセンターの噴水にも仕掛けがあって、時間差をつけて水が出るので、恰も蛙が飛び回るように見えます。「蛙飛び込む」のユーモアはあるのですが、エレクトリックにはこうしたメカニックの面白さはないのですね。
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TBどうも (manimani)
2006-05-03 20:07:24
トラックバックありがとうございます。

ジャン・ティンゲリも刺激的な作家ですね。

バーゼルにあるとは知りませんでした。

バーゼルというと、古楽とバーゼル条約、あとティンゲリなのですね。不思議な街です。
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サンファルの那須のコレクション (pfaelzerwein)
2006-05-03 20:41:05
こちらこそ、ニキ・ド・サンファルの那須のコレクションなど知りませんでした。



http://blog.goo.ne.jp/j-tkfj/e/1cf4bb71b63137111ca453ab508db6a0



彼女が神経衰弱からの回復のために絵を描くことを始めたとなると、1963年のベルンでの展覧会なども相互に大きく影響している様ですね。1961年からのシューティングシリーズ、1965年からのナナシリーズとなるようです。



http://blog.goo.ne.jp/pfaelzerwein/e/651629c1939e285be2c872eacb5e54a8
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