Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ヴァイル御一行様のご相伴

2010-10-01 | 試飲百景
怒涛のような試飲と書いたが、その内容は忘れてしまった。酔いが回っていると手元のメモが見つからないとどうしようもない。それに既に十日以上経過している過去のことである。それでもキャンピング場でのミニ試飲会や購入リストを見ながら少しだけ振り返っておこう。

当日はダイデスハイムの醸造所から始めて、カールシュタットでの昼食を挟んで、フォルストで試飲してから、何時ものようにヴァッヘンハイムでの宴会モードの試飲会となった。気が付くと辞去したのは19時過ぎで翌日八時発の旅行などどうでもなれである。

ヴァッヘンハイムではどこか拗ねたような恐らく東京ドイツワイン協会の理事?の日本人がぼろ箱を抱えてうろうろしていたが、我々の前座を勤めたのはスロヴェニアなどを廻ってきたそのソムリエ氏ではなく、四代目醸造親方から話しを聞いていたヴィルヘルム・ヴァイルさんとその御一行様であった。ここでも氏の明確なコンセプトとメディア対策を大変評価していて、特に今年からの展開はまさにこのビュルクリン・ヴォルフ醸造所を手本とするグランクリュや薫り高いリースリング造りは賞賛ものである。

お忍びだといけないと思って挨拶はしなかったが、まさに私こそがクリストマン会長の隠密のように方々で顔を出してグランクリュを品評するとなると、それだけで醸造所の方々に重要な指針となるのである。実際に当日もフォン・ブール醸造所で私がグローセスゲヴェックスの将来性の経験値を語るときに、一体何処のどのグランクリュワインと比較されているかは言後にすべて明白なのである。要するにグローセスゲヴェックス親善大使となっている。それは、ヴァイルでもレープホルツでも何処でも注意深い者なら直ぐに気が付く。

今回はヴィルヘルム・ヴァイル御一行になにを出すかが興味深かったが、お相手をしたのは私よりもそのワインを知らないと呼ばれる社長であり、当日店に居たのは新入りの女の子であったので全く試飲会としてのびっくり箱は出なかったようだ。それでも、我々も最高級グランクリュ時価一本七十ユーロのキルヘンシュトュックまでをご相伴出来たのは計算通りである。

2009年産のそれは天然酵母百パーセントの醸造であるので閉じた感じがあるのだが、他のグランクリュが初夏の樽試飲に比べると十分に開いてきているので、遅咲きなのだろう。この傾向は、フォン・ブールのそれにもあって、2008年産のような赤い薔薇の開いた香りは未だ隠されていた。逆に、2008年のそれは開き過ぎであったので、一度閉じてしまうと手を付ける時期がとても難しくなるだろう。その点、2009年産は安定しているに違いない。

その意味からは、やはりホーヘンモルゲンは秀逸であり、ペッヒシュタインは全く殆ど塩味を感じるほどにミネラル風味が素晴らしく、開いたときの出来上がりは保障できる。さらに今年のウンゲホイヤーは、200年産のお花畑の様相を呈しており、これも完全に開いたときにはとても楽園のようなリースリングになる筈である。究極の高級熟成リースリングとなる。

ガイスビュールも重心が低くならずに丸みがあって万人向きで、カルクオーフェンは年内に十二分に楽しめるグローセスゲヴェックスの中で最高のものに間違いない。初夏と比べてもっとも変わっていたのはプリュミエクリュのアルテンブルクかもしれない。薬草のような独特の土壌感はスレートのそれに近づいている。これも早めに飲んでしまう方が楽しめる。ランゲンモルゲンも徐々に開いて来ていて、期待を裏切るどころか、CPにおいて2009年産の最高のリースリングかもしれない。古い年度では、2005年産のペッヒシュタインなども思ったほど悪くはなかった。

オルツヴァインでは、やはりルッパーツベルガーがよく開いていて飲み頃である。ヴァッヘンハイマーは暮れぐらいまで待った方がよさそうであるがポテンシャルは高い。グーツリースリングは、なるほど上手には造ってあるがやはり焦点が暈けていて、ケーニグスヴィンゲルトなどのものに共通するような一種の苦味もある。

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