Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

石が溜まるような低い外気温

2009-02-22 | 試飲百景
クリスマス以降気になっていた赤ワインを取りに行った。A・クリストマン醸造所のシュペートブルグンダーSC2007である。秋口に買ったその下のクラスのシュペートブルグンダーが、若いわりに、フォン・バッサーマンのピノノワールとも共通する獣臭さに近い香味があり、例年のものよりも面白いと感じたので、上のクラスも見逃せないと思った。

さて、その時以来の訪問で、今は仕事が少なくひっそりとしている。いつものように先代にご挨拶して、新しい試飲室の方へと向う。

先ずは、最近話題としている2007年産のキャビネットクラスの酸の落ち方と弱り方を調べるために、お気に入りのオルツヴァイン・ギメルディンゲンを試す。流石に、ビオデュナーミックのおかげというよりも収穫量を落としてあるからか、天然酵母を使っているからか色合いも強かった分だけ味があり、何時もは批判点となる面がこの考察においては有利に働いている。まあ、一本九ユーロを計上しているワインであるから当然と言えば当然なのである。

それでも酸が丸くなっていて、昨年の黄色い果実が弾け弾けた感じはなくて通常のリースリングとなって来ている。酸が丸くなってきていることは周知されていて、やはり2007年産の系年変化の特徴であることがここでも確かめられる。2007年産の収穫は、葡萄の熟成の十分で無い時から過熟成までの幅が大きく、今後市場に出るリースリングにおいてもクラスが高いものは今後も末長く素晴らしいが、下位のものは特別に良くはないだろう。2007年にしてはじめて新しいVDP格付けの実力差が如実に出たに違いない。

これは、2008年産において更に手間暇掛けた清澄感の差として表れる予想で、上位のクラスを十分に供給できる大手の醸造所が世界市場にて生き残っていくのだろう。アダム・オペル程度ではどうしようもない自動車産業とどこか似ている。

そして2008年産の場合、外気温が低い事からゆっくりと樽にて熟成されている意味ある別な視点を聞き及んだ。つまり低温の中で瓶詰めすると直にヴァインシュタインが沈殿してしまうと言うのである。それを避けるために薬品を塗布しないバイオ意識の高い醸造所では、新しい瓶詰め直後のワインとしては決して見た目の良く無いそれを避けるために、瓶詰めを見合わせているというのはまさに現場の思考形態である。醸造所内でも地上からみれば一寸でも長く樽で熟成させるので旨くなると言う視点との相違なのである。

さてお目当てのSCピノノワールは、やはり一種の獣臭さのようなものがあり、2003年度ものに続いて興味あるピノノワールであるように思う。現時点ではバリックの木の臭さがあるというが、それも蔵の中からの声である。そのバリック樽は七割方は複数年度で、三割方が新しいものが使われているようだ。更に寝かすオェールベルクなどは完全なバリックであるからそれが消えるまでに数年寝かしていることになる。

その寝かしている2005年も瓶詰めされていて試す。なるほどその地所らしく濃くが強く、なんと言ってもそのタンニンの強さが特徴である。恐らく2007年産の方が興味深いが、2005年産のこれを何本買うかは熟考が必要である。もう少し寝かしてみたいピノノワールである。ただ味の面白さはやはり2007年産だろう。

2008年産が例年に比べ色も強く香味が強いのはリースリングやピノブランなどでも確認されているので、シュペートブルグンダーも楽しみである。ドイツの赤は、2003年に飛躍の年を迎え、2005年で再びその継続を示したが、2007年も一寸面白さが加わり、もう一息で新たな飛躍も期待出来る。



追記:重要な質問事項であった嘗てのシュペートブルグンダーSCにあったムスバッハーの地所エーゼルスハウトの表示は、実態はカペーレンベルクを混ぜていたようで実際にはそのコンセプトは変わっていないと言う。つまり、何時ものようにマニアの緑家さんの感想などを読んでいると、2002年の同じ商品の写真の見た目の色も濃くてやはりどこか違うと言う印象である。やはり飛躍の年の前の出来事か?現在は大分繊細さに長けているのである。



参照:
ゲマインシャフトの人種 2008-09-25 | 生活
カテキン豊富に大満足 2008-12-25 | 試飲百景
疎まれるようでありたい 2009-02-20 | 試飲百景
フリッツ・ハークのグーツワインと雑学!の巻 (テンカワのワイン日記)

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4 コメント

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どちらが特徴が出やすいと思われますか? (Saar Weine)
2009-02-22 09:44:55
pfaelzerwein様、こんにちは。今回のテーマはシュペートブルグンダーなのですね。Pfalzも僕も赤も色々(お金に余裕さえあれば)飲んでみたいと考えています。さて今回の質問なのですがレープホルツの赤ワインで最近良かったのは何かありましたでしょうか?いや、というのもここのはRieslingとMueller‐Thurgauくらいしか日本では購入したことがないので‥‥‥‥‥
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レープホルツはヘタレ易い (pfaelzerwein)
2009-02-22 13:36:06
レープホルツの講話会や試飲会で色々との増して貰ったと思いますが、たいした赤は作っていなかった様に思います。

一体誰がそんな嘘を言っているのでしょう。そもそもレープホルツのワインはヘタレ易いのであまり長くおくものはお勧めできません。

土壌の特徴はどちらもそれなりに出ますが、旨いピノノワールを作るのは土壌の凝縮では決してないでしょう。リースリングでも「特殊な土壌の味」を出せば出すほど卑しいリースリングになってしまいます。

レープホルツがまともな地所を持っていないというのは、そうした観点から証明されています。彼は大変素晴らしい職人ですが、五つ房とは笑わせるなと言いたい。如何に評価本の連中が本当に良いリースルリングを分かっていないかです!
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参考にさせて頂きたいと思います。 (Saar Weine)
2009-02-22 19:59:12
pfaelzerwein様、こんばんは。なるほどレープホルツのワインは基本的に熟成能力があまりないということなのですね。購入する時の参考にさせて頂きたいと思います。

確かにおっしゃる通りロバートパーカー然りゴーミヨ誌然りその生産者の力量だけで評価や賞が与えられるものではないのでしょうね。mosel2002様から聞いておられるとは思いますがエゴンミュラー4世氏も自分のワインがロバートパーカーによって評価されない事を悔しがるどころか寧ろ喜んでいるくらいですしね。

結局は自分の経験と舌の記憶がどのくらい活かせるかということに尽きると思います。
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習うより慣れろしかない (pfaelzerwein)
2009-02-22 21:05:20
「生産者の力量だけで評価や賞が与えられるものではない」のはパーカーが裁判沙汰になったように悪質な場合もあるでしょうが、そもそもある地域だけでも網羅する事など不可能だと私は繰り返しています。

レープホルツの講話会も一度しか参加していませんので、上のような言い方はどんな馬鹿にも分かるように発言するワンセンテンセス・ポピュリズムと同じで意味はありません。習うより慣れろしかないのです。

本文にあるように蔵の中と上ですら視点が異なることを知れば、その時点で如何にああした点数や評価が馬鹿げているか分かるのです。

謂わば、漫画的短絡的に「ロレックスは高価だ」としか発言していませんので、なんら参考にもなりません。
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