Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

待降節の漣のような忙備録

2010-12-18 | 
備忘録がわりに書き留めて、クリスマスに備えよう。コスモポリタンな銀行ドイツェバンクがラスヴェガスでガジノを開いたと言うことである。なにもおおぐち顧客から金を巻き上げようと言うのではないようだが、ラジオで話題となっていた。融資した会社が投資したホテル兼カジノの建設後に倒産したようで、その負債の処理として、損失を計上しながらそのカジノ部分を営業するようだ。

昨晩の今年最後のクライミングの機会は逃したが、今朝はまた新雪が上に乗って、タウンシューズで通常よりも十分近くも時間を余分にかけてワインの一等地所を廻った。気温は零下であっても日差しが強く、どこか春らしい雰囲気が出てきている。もう直ぐそこである。明日の朝も山の中を駆け回れたら面白い。

ここのところ、安売りで入手したヴェルサイユの教会音楽集を鳴らしている。とてもお目当てのクープランが素晴らしくて、ラモーの殆どそこまでやってきているギロチンに近い下品さが際立ちその音楽性に予想以上に失望させてくれるが、あまり今まで注目していなかった作曲家がなかなか素晴らしい作品を残していて、それについては改めて語るべきものであろう。

同時に注文したメーテルリンク作ドュビッシー作曲「ペレアスとメリザンド」の演奏が予想以上に素晴らしい。一体何処の管弦楽団かと見直したほどである。廉価版なのでリブレットも付いていないので、ザルツブルク音楽祭の1997年の上演プログラムを引き出す。シルヴァン・カムブランがフィルハーモニア管弦楽団を指揮している。この録音のブーレーズ指揮のコヴェントガーデン座付き楽団よりも遥かにシンフォニックな響きを奏でていたことは耳に残っているが、これだけの雰囲気と音構造の明晰さは到底なかった。踏むと鳴く雪の上の静けさに強い太陽が乱反射する漣のような時間の流れはとても心地よくて、まるでこちらの瞳孔が開いてしまうようである。フランス語のそのメルヘェンの時が思う存分堪能できる。折からクナッパーツブッシュ指揮ベルリンのフィルハーモニカーのRIAS録音集発売の記事が載っているが、二十世紀前半のそれよりもこのフランス人音楽家が二十世紀後半の指揮者として如何に名伯楽かが判る。

PCやらワークステーションの大掃除をはじめている。これから年末年始にかけて危険なシーズンである。ウインドーズを使うようになって一度もそれを阻止するためのソフトウェアーを類を使ってこなかったが、トロージャンからのフィッシング詐欺と遊ぶようになってから、幾つか無料のものを試してみた。やはり使い勝手では、マイクロソフト・セキュリティー・エンセンシャルズが良さそうである。

さてクリスマスに向けてメール挨拶状の作成もあるが、これから出てくる2007年産グランクリュワインに先駆けて、秋以降開けて来た2007年産シュペートレーゼやプリュミエ・クリュクラスの一望だけを済ましておいたい。

空けた順番からすると、クリストマン醸造所のケーニッヒスバッハSCつまりイーディックの早摘みは、最初のグラス何杯かは新鮮さでよかったが、ジョジョに重苦しい味に包まれてきて、熟成しても枯れてしまうまではそれ程気持ちよく飲めるものではないと判る。土壌以上に醸造法の問題は、この瓶を開けてからのうつろいに色濃く表れているようで、酔いが進むに連れてさらに重くなるようなワインは杯を進める楽しみがない。

半辛口ではシュロース・ザールシュタイン醸造所のものを開けたと思うが、最初のときからすると少し枯れていたが、ワインらしくなったとは言いながらはじめのとき以上に素晴らしいとも感じなかった。

フォン・ジンメルン醸造所のバイケンのシュペートレーゼも開けたと思ったが、殆ど最初の印象と変わらない反面若干糖が分離してきていたような記憶がある。なにもそこまでおいておく必要はない美味いリースリングである。

グリーュン・ホイザー醸造所のアブツベルク・カビネットは、昨年の秋に試飲して購入後はじめて価格相応に十分に満足いく熟成をみた。全てが開いて、もうこれ以上は開きようがないほどで、この時点が熟成の最後と確認できた。その分、糖の浮きも目立つようになって、どうしようもない野卑な臭さと相俟って、熟成というものがどういうものかを十二分に伝えていた。

その点、ビュルクリン・ヴォルフ醸造所のゲリュンペルは、酸が引っ込んで苦味が前面に出ていて、丁度閉じている時期に当たっていたようだ。全く崩れはないので、あと二年以内にはもう一度開くだろうが、今度は蜂蜜香が漂うに違いない。夏前に開けてパイロットとして追加購入した時から直ぐに閉じてしまったのは驚きである。

もっとも満足できたのは、レープホルツ醸造所の雑食砂岩Sである。2008年から親仁さんに何度訊いた事だろう。「いったい飲み頃は何時ですか?」と。言い換えれば苦情したのである。そして今完全に花が咲いていた。見事な葡萄で腕前であった。

それに比べれば、ホッホハイムのヴェルナー醸造所のドムデカナイのグローセスゲヴェックスは駄目だった。殆ど成長することなく古びていた。隣りのキュンストラーのそれもかわらないだろう。

そこで今、凍りつくような地下へ行ってシュロース・ザールシュタイン醸造所のシュペートレーゼつまりアルテレーベンを開けた。糖が大分丸くなって、デザートヴァインというよりもアペリティフにも良さそうだ。とても印象がよい反面、はじめから一貫して変わらずフランスの白のように重心が低くその酸が重く、ボディブローのように酔いが廻る ― こういうのを晩酌して「撃沈」とかしている人も少なくないようだ。熟成は今後とも問題ないが、これ以上美味くなるとは思われないのがその時の出来であったのだ。恐らく2009年産以降は更に品質は向上しているだろう。身近に居れば色々とためになる批評もできるだろうと思うと残念である。来年は一度醸造所を訪問してもよいだろう。

通常ならば棚卸と言う所だが2007年産はグランクリュでなくても熟成が楽しめる年度であって、こうした豪華な開陳が可能となったのである。これから年末年始にかけて2007年産グランクリュの吟味と将来への評価がまだまだ続く。


写真:地所ペッヒシュタインからライン平野上にBASFの本社ビルと工場群を望む。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 隠しカメラやスキャナーの使い方 | トップ | 脚絆を巻いての午前中の旅 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿