うちのジムは格闘技でもユニークなジムだ。女性が半数いるし、女性のほうが実績がある。会員もおたくっぽい人やけんかはからっきしだめというのがほとんどで、ここにきたら本当に強くなるのかとさえ疑問さえ抱かせる場所である。しかしここにもそれなりのメリットはある。それはそれだけへたれが多いぶん、めちゃめちゃ強い選手やこわいDQNに気をつかわなくてもいい。へたれでも堂々と自由に練習できるのである。プロのジムで会員がプロに気を遣い、サンドバックをたたく時もプロや強い奴が優先とかありがちな話であるが、そりゃ競争の原理が働けば当たり前のことである。しかしここには小競り合いはあっても、競争の原理などないに等しい、だからへたでもへたれでも堂々と練習ができるのだ。実際そういう奴らに気をつかうことなく、まわりが親切に教えてくれるし、堂々とトレーニングできるので全体的にレベルが上がることは確かなことで、それは女性も同じことである。
私はここに来てくれる人たちにはボクシングをすることをひとつの楽しみにしてほしい、そしてそれを生きる活力としてほしいと思っている。うちのジムは究極の強さを求めるには物足りないジムかもしれない、けれどもここに来てトレーニングする人たちの顔はすごく楽しそうで、本当にそこは助け合い支えあうコミュニティだ。そういう面では私はどこよりもすぐれたボクシングクラブであると思っている。