まるぞう備忘録

無題のドキュメント

無意識醸造。その1。

2014-01-30 09:56:53 | まるぞう経営学

ある電機メーカー研究所の責任者だった方の講演を聴きに行ったことがありました。
もうだいぶ昔のことです。
日本製の電機メーカーのブランドが世界の憧れだった時代でした。
スティーブ・ジョブズがSONYに憧れていた時代でした。

その研究所では人のアイデアはどこから生まれるのか。という研究も行っていました。
その企業が生み出した世界に誇るたくさんの発明の過程を調べあげました。

もしそのアイデアの共通点がわかれば、それを定量化すれば、もっともっと素晴らしいアイディアを生み出すことができる。
それがそのプロジェクトの目的でした。

現役の研究者から退職したOBまで、それらの発明を生み出した担当者に細かいヒアリングが行われました。
そしてついに彼らの共通点が導き出されました。
しかしアイディアが生み出される共通点はわかりましたが、そのアイデアのエッセンスは会社の制度としては取り入れにくいものだったのです。残念ながら。^^;

その共通点はとは、二つありました。
どの発明も必ずアイデアが生まれる過程でその二つの要素が重なっていました。

一つは、その時の開発担当者は本当に追い込まれていました。
性能的に絶対無理だと言われていることをクリアしなくてはならない。とか、
コスト的に絶対無理だと言われていることをクリアしなくてはならない。とか。
とにかく従来の常識では不可能だと言われている難題を解決しなくてはいけないと追い詰められていたということです。
それはその会社の事情も大きなファクターでした。
それを達成しなくては会社が潰れるとか事業を撤退しなくてはならない。とか。とか。
とにかくもう生き残るために担当者は大きなプレッシャーを感じていたということです。
これは担当者本人の責任感の強さでもあります。

会社がぬるま湯であればこういうことは起きません。
あるいは社員がみんな他人事であってもこういうことは起きません。
自分は貧乏くじを引きたくないという人にも決して起こりません。

とにかく会社や事業の存続を自分のことのように心配して、私生活でも忘れることなく、寝食を忘れて考え続ける人にそれは起こりました。
エポック・メイキングな発明をした人の多くの共通点は「その仕事の課題が夢にまで出てきた」ということでした。
とにかくそこまで追い込まれていたことが発明の条件の一つでした。


そしてもう一つが、完全にリラックスした状態でした。
このリラックスした状態に、天啓とも言うべきアイデアが生まれています。
降りてきていますと言ってもいいかもしれません。

ある人は通勤電車でぼおっと窓の外を見ているとき。
ある人は自動車運転の信号待ちのとき。
ある人は休日の入浴のとき。
ある人は会社のトイレで用を足しているとき。

とにかくず~っと抱えていたプレッシャがある一定のレベルを超えたあと、何かのはずみでプレッシャーがはずれたリラックスした瞬間にアイディアが降りてくるのでした。

緊張と弛緩がアイディアの二大要素だったのでした。


そんな昔の話を思い出したのは、先日Aさんと呑んでいたときのことです。
Aさんは今ある案件で一緒に営業を組んでいる人です。
誠実そうで温厚そうで非常に人柄の良い人でありますが、ただ一つの欠点はプレッシャーに弱いということでした。

お客さんから「これどうなっているの?」という不満メールや電話があるだけで取り乱してしまうのでした。
2~3件そういうクレームが重なると、もうメールに誤字脱字言い間違いが多発するのでした。
相手のお客さんの会社名や名前を間違えるのはさすがにだめでしょう。
見積りも金額がもう全然あっていませんよ~。
落ち着いて。落ち着いて。一呼吸おいてからメール書いて下さい。

そのように伝えてもなかなか本人の焦り癖はそう簡単には直りません。
とにかくいつも何かに追いかけられているような、焦っている仕事ぶりでした。

つづく






上記は静止衛星軌道上で観測される太陽からの電子密度グラフです。急な変動がある場合は地震や事故に備えて防災意識を心掛けましょう。特に注意が必要な期間は、メールやTwitterで防災意識リマインダーを受け取ることができます。詳しくはこちら

おひさま、ありがとうございます。