どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ちからもちのおかね

2022年07月04日 | 絵本(昔話・日本)

    ちからもちのおかね/中脇初枝・再話 伊野孝行・絵/偕成社/2022年

 

 「女の子の昔話えほん」シリーズの一冊。昔話の主人公に女性が少ないというのが根底にありそうですが、外国のものでは女の子が活躍する昔話が多いので、日本を意識した編集方針でしょうか。

 ”おかね”は主人公の名前。作者は高知に伝承されてきたいくつかのエピソードを再話しています。


 あるひのこと、おおきな相撲取りが ととさまと 力比べをしに、やってきました。おかねが、大きな臼をかかえてきて、相撲取りの前におくと、相撲取りが、押してもひっぱっても びくともしません。さらに、縁側でどんぶり飯を 何倍も何倍も食べるおかねをみて、年をたずね、三つといわれると、すたこらさっさと、逃げ出します。

 おおきくなったおかねが、米俵を牛に乗せ、まちにでかけたとき、とのさまの行列がやってきました。この時代は土下座するのが当たり前。よけるところがなかったおかねは、片手で米俵を積んだ牛ごと 担ぎ上げ、土下座をします。それをみた殿さまは、びっくりぎょうてんして、これからは もう天下御免、どこであったとしての土下座をしなくてもよいと。いいます。

 やがて腕の良い鉄砲打ちになったおかねは、一発もうたずに、天狗を退治します。さらに結婚したおかねは、化け物退治にでかけた婿の危機を救います。

 

 作者が言うように、昔話に出てくる女性は、若く美しいのが普通ですが、この絵本ではまったくでてこないのが新鮮です。しかし絵本のおかねは、とてもりりしくみえました。