スムート/文・ミシェル・クエヴァス 絵・シドニー・スミス 訳・いわじょう よしひと/BL出版/2018年
絵本の着眼点もさまざま。影が、自由になれたら?
スムートは、七歳半の男の子の影。歯をみがくのも、絵を描くのもいっしょ。
男の子はあまり笑わないし、とんだりはねたり、いたずらもしない。だからスムートも笑ったり、色がいっぱいの楽しい夢もみることができません。
ある日、スムートが、青い空のことを考えていると、あれっ? 男の子から はなれてしまった。
チャンスだ! くらやみと、月明かりと、かえのパンツをもって、外にとびだした。
スムートは、縄跳びしたり、木登りしたり、メリーゴーランドにのったり。
楽しそうなスムートを見て、ほかの影たちは思った。
「あのこに できるんなら」 「ひょっとして わたしたち・・・」
いろんな影が自由にうごきはじめます。
タンポポの影は空に、カエルの影は、マントをつけた王子さまに、トンボの影は、大きくておそろしいドラゴンに。石ころの夢は、おおきくなること。影は雲までとどくほどの立派なお城に。
でも、スムートは心配です。もし、動物園の影たちが、町をパレードしたり、空を泳いだりしたら?
つかまえようたってロープや網じゃ無理。するする逃げられてしまう。
そこで、スムートは、石ころに小さなお城をつくってあげ、トンボは、お城をまもるドラゴンに・・・・。
夢がかなった 影たちは、みんな元の場所に、かえっていきます。
そしてスムートと男の子も・・・・。
もし、夢や希望が、かなえられるとしたら 冒険したくなります。冒険する第一歩は、何がきっかけになるでしょうか。