ラン パン パン/マギー・ダフ・再話 ホセ・アルエゴ/アリアンヌ・ドウイ・絵 山口文生・訳/評論社/1989年初版
アルゼンチン民話の再話絵本「こがねのあしのひよこ」、イランの「まめたろう」と類似する昔話ですが、これはインド昔話の再話です。
いい声のクロドリにひかれた王さまは、家来に命じてクロドリをつかませます。いい声はオスなのですが、王さまがつかまえたのはクロドリの奥さんのほう。
怒ったクロドリは奥さんをどうしても連れ戻すと、とがったとげの刀を腰に差し、カエルの皮をたてに、クルミのからでかぶとを作り、残り半分に皮をはってたたかいの太鼓にして、ランパンパン、ランパンパン、ランパンパンパンパンとたたいて王さまのところにでかけます。
途中であったネコ、アリ、木の枝、川を耳にいれて王さまの宮殿へ。
とり小屋にいれられても、馬小屋にいれられても、ゾウの檻りにいれられても、王さまのベッドに柱にしばりつけられてもなんのその、王さまをぎゃふんといわせて、奥さんをとりもどし、それから木の上で、夫婦で仲良く暮らします。
「ランパンパン、ランパンパン、ランパンパンパンパン」という響きや、耳の中からネコ、アリ、木の枝、川がでてくるところでも、ひくい声で歌うのがリズミカルです。
たしかに子どもが口ずさみたくなりそうです。
武装?したクロドリをみて、門番はこんなおかしなものを見たのは生まれてはじめてだ!と笑ったのも当然のこと。しかし、山椒は小粒でもぴりりと辛いのです。
小さな小さなクロドリが王さまに立ち向かうという痛快なお話です。
ゾウがアリにおそわれて死んでしまう場面だけが少し気になりました。
・こがねのあしのひよこ(まめたろう/愛蔵版おはなしのろうそく10/東京子ども図書館編/東京子ども図書館/2010年初版)は、黄金の足を切り取られたひよこが、足をとりもどすため王さまのところにでかけます。ひよこは、途中であったきつね、ライオン、とら、川をひとのみにしますから、お腹の中にはいっています。
・まめたろう(こがねのあしのひよこ/秋野ゆきこ・再話絵/福音館書店/1998年初版)は、おじいさんが昔、王さまのお姫様の靴をつくった代金をもらっていなかったため、この代金を取り立てるべく都に出かけます。途中、パン焼きがまの火、小川、キツネを入れたのは何と心臓です。
このあたりも日本の昔話には見られません。