このボログは、いつも、もう古くなった話題を持ち出す遅報が普通なのですが、今回は例外的に速報です。
オーストリア大統領選挙のことが、日本のHPにも出てきたのでビックリ・・・でもなかったのですが「なるほど、やっぱり」という感じ
オーストリアは言わば文化大国で、政治的ニュースには、めったに出てきません。今回は例外でした。
オーストリア政府はもう長年、国民党と社会民主党の連合政権。その両与党が立てた2人の候補(二人とも経験豊富な政治家)が大統領選挙で惨敗、立候補者の誰も過半数以上の得票が得られず決選投票となりました。決選投票に進出したのは、環境保護を重点としている「緑の党」と、ネオナチとの関係もある排外的な「自由党」の候補でした。決選投票は5月22日でしたが、当日の開票では決着がつかず、今回特に多かった郵送投票が翌日開票され、漸く「緑の党」の候補が新大統領となりました。
この経過は、2002年フランスの大統領選挙にも似ています。
オーストリアの緑の党についてはこちら
ヨーロッパ中で注目されていたので、私が定期購読しているスイスのNZZ(新チューリヒ新聞)にも大々的に報道されました。
火曜日のNZZ
1面右側に「ファン・デァ・ベレンが新大統領」
水曜日のNZZ
これも1面右側に「オーストリアが選んだソフトなチェンジ」
同日の3ページ目に解説記事
記事の中にオーストリア地図が見られます。得票優勢の地域を「緑の党」は緑、「自由党」は青で表した地図。ちょっと見難いですが、「緑の党」候補優勢なのは都市部で、農村部は「自由党」優勢でした。
ファン・デァ・ベレンという姓からも分かるように、先祖はオランダ出身で、ロシア帝国に移住、ロシア革命の後エストニアに逃れ、更に両親がウィーンに移って、ここで1944年、アレクサンダー・ファン・デァ・ベレン新大統領が生まれましたが、ソ連軍がウィーンに迫ったとき、一家はチロルに逃れました。ファン・デァ・ベレンはインスブルック大学で経済学を専攻し、インスブルック大学とウィーン大学の教授でした。
何年も前に「現在の政治家の中で大統領になってほしい人物は誰か?」というアンケート調査があり、女性回答者の中で1位だったのがファン・デァ・ベレンでした。
NHKサイトの記事が分かりやすいです。
ファン・デァ・ベレンについては英語ウィキをご覧ください
「自由党」の対立候補の発言で私が特に疑問を持ったのは「難民を受け入れるな、難民に援助を行うな」と言い、同時に「難民に就職の機会を与えるな」と言っていたことです。何が何でも「よそ者」は排除しようという感じですね。
真面目な難民が就職して、受入国に税金を納めるようになれば、受入国にとってプラスとなります。ヨーロッパの国々でも少子化・高齢化が大きな問題になっているのですから、難民が定住して新国民になるのは良いことです。
次回は旧市街に戻ります でも乞無期待ね
このニュースはちらちら拝見していました。
アメリカの大統領候補の話でもそうだけど、
移民は追い出せとか受け入れるなとか、
イスラム教徒は全部国外退去だとか...
先々、真面目なひとたちが
根付いて国のために頑張ってくれる、という可能性ではなくて「今失業するのはあいつらのせい」みたいな
考え方って、いかにもネオナチっぽいですね。
自分で冷静に分析するのでなく
感情で反射的に発言する人たちと
それを利用してあやつろうとする政治家は
いつの時代、どの国にもいるもので・・・
今回の選挙でも一般的傾向として
教育水準が高い層がファン・デァ・ベレンに投票しています。
ちょっと考えればデマと分かる話もすぐ信用する
というのは思考の怠惰、思考の放棄ですよね