評価 (3点/5点満点)
自分の考えが正しく相手に伝わり、相手が納得して動いてくれるようになるための説明のコツを100個紹介しています。
説明はキャッチボール。
相手の準備が整っているかどうか、どこに立っているのか、どんなボールなら受け取れそうか。
その相手の観察に本書は役立つでしょう。
【my pick-up】
◎「正しさ」よりも「わかりやすさ」にこだわる
相手にとって大事なのは「正しさ」よりも「わかりやすさ」です。そして、説明する側にとって大事なのは「何が伝わればいいのか」というゴールの設定です。説明上手な人たちを見ていると「何が伝わればいいのか」を徹底的に追求し、それ以外の情報は思い切りよく排除しています。専門的な角度から見たら「少し違うな」と思うことがあっても、相手にとって不要な情報ならば、バッサリと捨てて、伝わって欲しいことを目立たせています。
◎「結論が先」の罠
「ゴール」から先に話すというのは、どこからスタートしたのか、その「スタート地点」を互いに共有しているのが前提です。最初の面談で話をした人と、次の面談で話をする人が変わったりすることがあります。そんなときほど、初めに相手と「スタート地点」を確認し合うことが大切です。「前回のA部長との打合せでは、見積金額を提示するようにとのことでしたので、本日は見積書を持ってまいりました。金額は○○円です」このように、「今日は見積金額の話がスタート地点です」ということを相手と確認し合ったうえで説明を始めれば、話を聞いている相手も迷子にならずに済みます。相手がどこまで話を知っているのか「スタート地点」を確認してから説明を始めましょう。
◎「太字」「アンダーライン」「文字の大きさ」で目立たせる
文字の多い文書でも、相手に「読んでもらう」のではなく「見てもらう」というつもりでパッと見てわかる資料にします。「ここだけはどうしても目を通してほしい」というところは、太字にしたり、アンダーラインを引いたり、文字の大きさを大きくしたりして目立たせます。あまり多くを目立たせると、かえって見づらくなってしまいますので、「ここだけは」というところを厳選して、キーワードの部分だけを目立たせるといいです。目立たせたいところを赤文字にするなど、色で識別する方法もありますが、モノクロ印刷したら逆に色が薄くなって、目立たなくなってしまったということがあります。目立たせるなら「太字」「アンダーライン」「文字の大きさを変える」のが簡単で確実です。
◎グラフにも1メッセージを添える
エクセルなどで作ったグラフをそのまま載せるだけでは芸が足りません。グラフだけを示した状態では「私が伝えたいメッセージはグラフから読み取ってください」と相手に言っているのと同じです。大事なのは、グラフのどこに着目してほしいのか、そのグラフからどんな結論を伝えたいのかを相手に示すことです。具体的には、着目してほしい部分を丸で囲ったり、矢印などの印を加えて強調したり、そのグラフで伝えたい結論をコメントで書き加えたりします。
◎画面上に映った相手の目ではなく、カメラを見て話す
オンラインでは、相手とアイコンタクトを取るときには、カメラを見なければなりません。カメラを見ずに画面上の相手の目を見てしまうと、終始伏し目になって話している状態になり、相手に対して自信がなさそうな印象を与えてしまうのです。まずはアイコンタクトを優先して、カメラを見て話し、カメラを見て相手の話を聞くことに意識を集中しましょう。そして時折画面全体を見渡すようにして相手の様子を確認するようにします。画面表示の設定を変えたりして、参加者が映っている画面の位置をカメラに近づけるという手もあります。Zoomの場合、スピーカービューにすると、参加者が映っている画面は、話し手の画面の上に横並びになります。