評価 (4点/5点満点)
この本では、「自分の意見を明確にする」ことの意義と、具体的な練習方法をお伝えします。
正解のある問題→調べるもの
正解のない問題→考えるもの
上記とは逆に、正解のある問題を考えようとし、正解のない問題を調べようとしていないでしょうか?
どこに就職するか、どんな働き方をするか、どんなスタイルで暮らしていくかなど、人生を左右するような問題にはいずれも正解がありません。
「正解のない問題」について自分の意見が明確にできなければ、自分オリジナルな人生を作っていくことができません。どこに住み、誰と何をなにをして暮らし、なにに時間とお金とエネルギーを注いでいくのか。ひとりひとりの人生は、そういった正解のない問題への答え(選択)によって形成されていくのですね。
「自分自身が感じる自分だけの幸福」を確実に上げるための、自分の意見をもつ必要性とスキルを身につけましょう。
【my pick-up】
◎「絶対」と言えるまで考え尽くそう!
私もよく「絶対こう思う」という言い方をしますが、それは「自分の意見は絶対に正しい唯一の正解だ!」と言っているわけではありません。単に「私はしっかりと考え尽くした。したがって、自分の意見がこういう意見であることに絶対にブレはない!」と言いたいだけです。
ところが、自分の意見を断言できるレベルまで考え尽くした経験のない人は、すぐに「絶対などありえない」などと言いだします。こういう人はおそらく「絶対にこれこそが自分の意見だ!」と確信がもてるまで、なにかについて考え尽くした経験がないのでしょう。このため「絶対」という単語を聞いたとき、「100%正しく例外がない」という解釈しか思いつかないのです。
◎「意見の束」が人格を創る
必要なのは「さまざまなコトに関して、自分の意見を表明すること」です。なにかひとつのトピックについて意見を言えば十分ということはなく、継続的に、さまざまなことについて意見を表明する必要があります。多くのことについて意見を明らかにすればするほど、「他の誰とも違う〇〇さん」として認知されるようになります。
他者と意見が異なることを怖れ、常に周囲と同じ意見を言っていたら、いつまでたっても「その他大勢のひとり」としてしか認知されません。「他者と意見が異なることが怖い」のに、「その他大勢のひとりではなく、私という個人を承認してほしい」と考えるのは矛盾していますよね。
ただ素直に、自分の「こう思う」を、言葉にすればいいだけです。
◎仲間に求められるのは作業ではなく「意見」
本当に「常に他の人と意見が同じ」なのであれば、そのコミュニティにとって、その人が存在する価値はありません。常に「みんなと同じ意見です」としか言わない人がいたら、その人の貢献度はゼロです。
「自分の意見を表明し、議論する」プロセスに貢献できない人は、仲間ではなく、作業担当者に過ぎないのです。
◎オペレーションからイノベーションへ
イノベーションに必要なのは、周りのすべての人から「あいつはバカだ、そんなの無理に決まっている」と言われても自分の意見を変えない、強い意見をもつ人です。何人もいるのに似たような意見しか出てこない、という同質的な組織の弱さが自覚され、「みんなと同じ」であることが求められる時代から、他者と異なる意見をもつことこそ価値の源泉であると認識される時代に変わってきたのです。
◎すべての意見は偏っている
「転職したほうがいい人もいるし、そうでない人もいる」
「大企業が合っている人もいるし、合っていない人もいる」
「不登校が問題かと問われても、一概に問題とは言えない」
これらはすべて「中立的な意見」などではなく、ポジションをとりたくないから=考えるのが面倒だから、考えずに言えるあたりまえの情報を引っ張り出しているだけです。
世の中には「おまえの意見は偏っている!」などとワケのわからないことを言う人がいます。意見は常に偏っています。中立信仰に惑わされず、しっかりと自分の意見を表明しましょう!