厳選!ビジネス書 今年の200冊

2008年ブログ開設から、紹介したビジネス書は3,000冊超。
1日2,000PVの仕事力を上げる書評ブログ。

今年65冊目『任せる技術』

2011-03-22 22:27:34 | おすすめビジネス書
任せる技術―わかっているようでわかっていないチームリーダーのきほん 任せる技術―わかっているようでわかっていないチームリーダーのきほん
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2011-01-25

評価  (4点/5点満点)

リーダシップ開発と理念浸透に特化したコンサルや教育研修を行っている小倉広さんが、「任せられない」を「任せられる」ようにする具体的な方法論を提示します。

任せた方がいいことは言われなくてもわかっているのに、なぜ任せることができないのか。それは、「できるようになってから任せる」と考えているからであり、「できなくてもムリして任せる」と発想を変える必要があります。

人を育てる任せ方7つのポイント

①ムリを承知で任せる、②任せる仕事を見極める、③「任せる」と伝える、④ギリギリまで力を発揮させる、⑤口出しをガマンする、⑥定期的にコミュニケーションする、⑦仕組みをつくって支援する

本書での方法を試して経験を積み重ね、部下の自主性と上司のサポートをうまくバランスよく組み合わせましょう。その際、以下の「フィードバックの5段階」(P151)はとても参考になりました。

第1段階:事実のフィードバック:「チャックが開いているよ」

第2段階:主観のフィードバック:「チャックが開いているよ。おかしいよ」

第3段階:評価のフィードバック:「チャックが開いているよ。だらしないな」

第4段階:提案のフィードバック:「チャックが開いているよ。気をつけた方がいいよ」

第5段階:命令のフィードバック:「チャックが開いているよ。早くしめろ!」

段階を追うごとにフィードバックが命令的になり、その分相手の主体性を奪うことになる。逆に段階が浅いほどに、相手に判断を委ねる中立的なフィードバックとなり、相手の主体性を奪うことは少なくなる。

部下に仕事を任せる際に、部下の主体性を大切にするならばフィードバックは浅めがいい。僕のお勧めは第1段階と第2段階にとどめること。その他はガマンする。

どうしても第3段階、第4段階に踏み込みたい時には「独り言」をつぶやくことだ。それを受け入れるかどうかは部下に委ねる。そんな姿勢で臨みたいものだ。

【my pick-up】

◎任せない上司は上司失格

そもそも部下の仕事とは、「今日」の食いぶちを稼ぐことにある。一方で上司の仕事とは、「今日とは違う明日」をつくることである。

「高い給与で部下の仕事を奪うこと」が目に見える損失だとすれば、「今日とは違う明日」づくりを放棄するということは目に見えない大いなる損失だと言えるだろう。

部下に仕事を任せない上司は2つの意味で上司失格である、と言えるのだ。

◎信頼関係ができていない部下に無理難題は言えない

組織の矛盾を受け入れ解決していくことこそが管理職の役割なのだ。その一部を部下に任せる、ということは、部下にも矛盾の解決を求めることになる。つまり、部下にとって、上司の仕事を任されるということは、上司から無理難題を言われるに等しいのである。

僕たちリーダーは、部下に仕事を任せる前に、十分に部下との信頼関係を築いておく必要がある。そうでなければ、任せることはうまくいかない。

たくさんの部下と信頼関係がある上司は、たくさんの選択肢を持っている。逆にわずかな部下としか信頼関係が築けていない上司の打つ手は限られることだろう。

◎同僚への影響力・リーダーシップを求める

例えば会議室に15人のメンバーが集まったとしよう。発言はベテラン・メンバー数人のみ。残りの十数人は皆、眠そうな顔をしてうつむいていたとしよう。この覇気のないチーム会。僕がその場にいたとすれば必ずやこんな声をかけるに違いない。

「黙って聞いている人もこの場に対して影響を与えているのです。こちらを熱いまなざしで見つめて、ウンウンとうなずいている君。あなたはこの場にプラスの影響力を与えています。暗い表情でつまらなそうにあくびをしている人。その人は確実にこの場に対してマイナスの影響を与えています。影響力にゼロはない。プラスもしくはマイナスのどちらかです。」

◎何かを得るためには何かを捨てなければならない

たとえ業績が下がったとしても、部下に任せるのをやめない。僕は我が社の管理職を育てるために、売上を捨てる覚悟をしている。

部下に仕事を任せる時に一番大切なこと。そして上司として一番つらいこと。それが「口出しをガマンする」ということなのではなかろうか。僕は最近そう思う。

それはいくばくかの淋しさだ。第一線から手を引くことによる孤独だ。しかし、それでいいのだ。それが任せる、ということなのだ。

自分自身が活き活きとするのではなく、部下が活き活きとしている姿を見て喜びを感じる。そんなふうに自分の価値観を変えていかなければならない。

◎取り調べ尋問は部下の主体性を奪う

取り調べ尋問を行うことにより、面談の大切な機能がすべてぶち壊しになってしまうだろう。まず、面談を繰り返すほどに醸成されるはずの信頼関係が逆に壊れていく。さらには心を開いた本音の相談が出てこなくなる。それだけではない。取り調べ尋問をすることで大切な部下の主体性を奪ってしまう。部下のやる気を削いでしまうのだ。

当然のことながら、話の内容は緊急かつ重要事項へと絞り込まれていく。本来行われるべきである緊急でない重要事項の話題が出てこなくなってしまうのだ。

◎緊急でない重要事項、2つの特徴

緊急でない重要事項には2つの特徴がある。

1つ目の特徴は、緊急でない重要事項は「大きなかたまり」である。緊急でない重要事項はどれも複雑かつ複合的だ。これを前に進めるためにはブレーク・ダウンという技術が必要だ。上司は部下のブレーク・ダウンをお手伝いしてあげる必要があるのだ。

2つ目の特徴は、当たり前のことではあるが、緊急でない重要事項には締め切りがない。ならば、締め切りをつくればいい。締め切りがない仕事に「自分の意思」で部下に締め切りをつくらせるのだ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする