リーダーは話を1分以内にまとめなさい 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2011-02-24 |
評価 (4点/5点満点)
人財開発育成をメインに企業研修や公開セミナーの講師を務めている㈱CHEERFUL代表取締役の沖本るり子さんが、ビジネスの現場でよくある具体的なシチュエーションのなかで、どう話せば相手に聞いてもらえるのか、その伝え方、話し方をまとめたのが本書です。
そのポイントは、「1分以内に、何をどう伝えるか」ということ。話を聞く側が人の話を集中して聞ける時間は、長くても1分です。
ただし、話を短くするだけではなく、相手への思いやりを持って自分の気持ちもその話に乗せることが必要です。
この本では、部下の立場、上司の立場双方の気持ちが実にリアルに反映されています。ある程度経験を積んだビジネスパーソンであれば、「なるほど!」と感じるところが多いはずです。
【my pick-up】
◎部下は「話を聞きたいとき」にしか話を聞いてくれない
「こんなリーダーになりたい」と思われていたり、「このリーダーは頼りがいがあるなぁ」と思われていたりするなら、部下は自然にアドバイスを求めてきます。それがないうちは、こちらがどんなアドバイスをしても、まったく無駄です。相手が聞く耳を持っていないからです。
◎「結果だけしか見ないリーダー」になっていないか
「あの仕事はできた?」と、リーダーから結果しか問われないと、部下は寂しい気持ちになります。しかし忙しくなればなるほど、リーダーは「できたか、できなかったか」にしか興味、関心を持つことができなくなります。
部下として働いているときには、結果しか見てくれないリーダーに対しては「嫌だな」と思うのですが、いざ自分がリーダーになってみると、「部下を育てる」どころか、「部下を見守る」ことすらしなくなってしまうのです。
◎「つるし上げ」をするために放任していないか
途中での結果をうながさずにおいて、結果報告を聞いたあとで、つるし上げの行動をとるリーダーになっていませんか?
その後、部下は行動を改めてちゃんと報告をしようという気持ちにはなりません。
◎休暇の管理もリーダーの仕事
従業員が有給休暇を取得したいと申し出たときは、原則として断ることはできないのです。リーダー自身が有給休暇を取らないからといって、部下にまで有給休暇を取得させないのは言語道断です。
部下の有給休暇取得の管理もしないリーダー、つまり無関心なリーダーに限って、年度末になってから、人事からの連絡で慌てて事を進めようとする傾向にあります。
◎残業を頼む前に、「本当に必要な残業か」を吟味する
あるとき、部下の不満が爆発しました。「私は稼ぐために仕事をやっているだけなので、時間外は自分の趣味の時間にしたい」と言われてしまったのです。その後、この部下と同じように考えている人が多いことを知ったのです。それから私は、「残業して当然」という考え方を改めました。もし本当に残業をする必要があるときは、「当然」という姿勢の命令口調ではなく、「依頼」をするようにしました。
緊急・重要ではない限り、むしろ可能な限り定時で帰るようにうながすほうが、仕事の集中力ややる気にもつながります。
厳しいことを言わせてもらえれば、多くの残業は、リーダーが部下の仕事ぶりに無関心であったり、部下の仕事を把握していないために起こります。そもそも残業は、リーダーが判断をし、部下に行わせるものです。自主的な残業を自動的に認めているというのは、ちょっとおかしな話なのです。
「部下の残業が多いことでリーダー自身の評価が下がるのは困る」という自己主義になっているうえに、「計画性のない仕事の頼み方が残業の原因になっている」ということに気づいていないのです。人事から部下の残業を指摘されて初めて気づくようでは、リーダー失格です。「部下の残業が多いのは、すべてリーダーの責任だ」と思うことから始めてみましょう。
◎提案を途中でさえぎってはいけない
その意見のいい点をひとつ見つけて伝えると、「この意見を言ってよかった」と思うでしょう。部下の意見を否定するのではなく、認めることです。そのうえで、その意見の「反対」として述べるのではなく、「こんな考えもあるのではないか」と自分の意見を話すのです。
◎やんわりと「時間が限られている」と伝える
聞き上手の対応をしてしまうと、上司は延々と話を続けてしまうため、逆効果となることがあるのです。
「会議と同じように、時間を指定する」のが効果的です。要は伝え方なのです。ふたりで開催する短い会議だととらえて、上司に対応するのです。