読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

秋の野菜を描く

2022年11月28日 | 水彩画

◇ カブ、ブロッコリーなど秋の野菜を描く

                                 clester      F4

       先週の水彩画教室のテーマは「秋の野菜(Ⅲ)。
  旬の蕪(カブ)、サツマイモ、ブロッコリー、ニンジン、シシトウ。里芋は登場しません
 でした。
  ブロッコリーの花芽はむつかしいです。雰囲気でとらえるしかありませんでした。
 ししとうはハハイライトが不規則でこれも雰囲気の勝負です。
 カブは肌色の白さが特徴で、結局ガッシュ(不透明水彩)白を置くことにしました。長い根
 はそのまま。ご愛敬ですが左上の空白部分を埋めてくれました。
 さつまいもは皮が繊細で実際はところどころ白く剥けていましたが、結局荒れていないまま
 の状態にしてしまいました。

                              (以上この項終わり)

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ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド(下)』

2022年11月25日 | 読書

◇『ラスト・チャイルド(下)』(原題:The Last Child)

      著者:ジョン・ハート(John Hart)
        訳者:東野 さやか   201.4 早川書房 刊 (ハヤカワ・ミステリー文庫)

  

  上巻では第2の誘拐事件で誘拐されたティファニーが犯人のバートンを銃で撃って死亡
 させ、ジョニーも重傷を負うというショッキングな出来事で驚いたが、後半でもショッキ
 グな事態が続々という展開で驚く。
  神との対話という異世界に生きるリーヴァイ・フリーマントルの存在は言動が不可解だ
 がジョニーは彼が奴隷解放時代のインデアンの奴隷の末裔(ラストチャイルド)であるこ
 とを知っている。彼は母親と娘が神の祝福を受けずに埋葬されたことを悔やんでいてた。
 不思議とジョニーとは心が通じ合っている。

  驚いたことにバートンの隣接地に女児の死体がいくつも見つかった。アリッサの死体は
 なかったが、なんとアリッサの父親の死体が見つかった。
  驚くべき展開は妻になじられて家を出て行ったと思われていたジョニーの父親は、娘を
 捜し歩き真実を探し当てた段階で殺されていたという意外な事実が大量殺人犯の埋葬地で
 明らかになる。
 
  ジョニーの無二の親友ジャックはアリッサの捜索時からほぼ行動を共にしていたのであ
 るが、事故に関わった悔恨についに耐え切れずジョニーにアリッサ誘拐の真相を告白する。
  アリッサはずっと前に死んでいた。
  ジャックはアリッサと一緒に勉強していたが、父親の迎えが遅れたので自分の自転車を
 貸してやった。ジャックは兄に車で迎えを頼んでいたが兄は酒を飲んでいて、アリッサに
 接近しすぎて転倒させ 轢き殺してしまった。ジャックの父親クロスはハントの部下である
 が、プロ野球選手として将来がかかっている息子を庇いもみ消しを図り、金鉱山廃鉱の坑
 道に死体を捨てていた。

  ジョニーは妹のアリッサはまだ生きてどこかにいるという思いだけで必死に探し続けて
 いたが、空しかった。それも妹の死に親友のジャックが関わっていたとは。
  金鉱廃坑に鉄板の標識があった。フリーマントルが何度か口にしていた「No crowz」
 (カラスがいない)

  終段でジャックの兄が運転していたトラックにはハントの息子が助手席に乗っていた
 のだとクロス刑事が告げる。ハント刑事は愕然とする。しかしハントは息子に自首を選
 ばせた。
  
  ジョニーはアリッサを探しているころ3つの願いを神に祈った。母が薬を止めますよ
 うに、家族が戻ってきますように、ケン・ホロウェイがゆっくりと時間をかけて、悲惨
 な死に方をしますように。恐怖に怯えながら死にますように。
 
  ここではミステリアスでサスペンスフルなストーリーの中にいろんな家族の深刻な姿
 が描かれているのが一つの特徴である。
  ジョン・ハートは喝破する。「家庭崩壊は豊かな文学を生む土壌であり、この肥沃な
 土壌は、秘密や犯罪という種を蒔いて緊迫感あふれる物語にまで育てる、うってつけの
 場所だ」『川は静かに流れ』の謝辞より=池上冬樹の解説から。

                             (以上この項終わり)
  

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ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド(上・下)』

2022年11月21日 | 読書

◇『ラスト・チャイルド(上・下)』(原題:The Last Child)

    著者:ジョン・ハート(John Hart)
         訳者:東野 さやか       2010.4 早川書房 刊 (ハヤカワ・ミステリー文庫)

  
  この小説は文句なしに面白い。2008年『川は静かに流れ』でアメリカ探偵作
 家クラブ賞最優秀長篇賞、英国作家協会賞最優秀スリラー賞を受賞している。

  面白さのポイントは3つある。第1点は主人公のラスト・チャイルド(双子で残
 された一人の子)ジョニーの幾多の困難にめげない妹アリッサ探索力である。ジョ
 ニーは警察の捜索が手ぬるいとばかりに自力で妹を探す。警察が調べた性犯罪常習
 犯の最近の日常行動、近隣全ての住民の日常をも調べ上げる。揚句、キリストは助
 けてくれないと先住民の呪術に頼り魔力を得る儀式を行ったりする。
  第2点は少女誘拐事件担当班の刑事ハント。捜索成果ないまま苦境にありながら
 ジョニーを暖かく見守る。始末が悪いことにジョニーの母キャサリンに心を寄せて
 おり、同僚の刑事ら注意されながらも陰に陽にこの家族の力になろうとする。実は
 それが因で妻は家出し、息子には白い目で見られている。
  第3点は物語ののっけから車両事故を装う殺人事件があり被害者がジョニーに
 「あの子と会った」と言ったり、逃亡した囚人がこの被害者を看取ったり、第2の
 誘拐事件が起き被害者少女ティファニーによる犯人射殺、逃亡囚人の殺害など不可
 解な事件が連続的に起きること。のちのち回収される布石と思われるが、スリリン
 グな事態が連続して展開されるので息が付けない。
 
  1年前。ジョニーの妹アリッサは下校時に父の迎えが遅れたことから歩いての帰
 り道で車に誘拐された。妻になじられた父はこれ以上の苦しみと罪悪感には耐えら
 れないないと家を出た。警察は捜索チームとボランティアの助けで徹底した捜査を
 続けたがアリッサの行方は杳として行方が知れない。こ れがこの作品の核心の事件
 である。

    傷心の母キャサリンに抗不安薬、抗鬱薬などの薬剤手当を口実にケン・ホロウェ
 イという町の有力者が言い寄ってきた。当然反抗するジョニーにケンは暴力をふる
 う。
  ジョニーは目星をつけていた性犯罪常習者ジャービスの家を強襲するが逆に手痛
 い逆襲を受ける。そこにはジョニーの妹ではなく第二の誘拐事件の被害少女が匿わ
 れていて、ジャービスはこの少女に銃で撃たれ死ぬ。
  ジョニーは病院で 治療を受けながらハントから尋問を受ける。

        キャサリン宛に段ボールの箱が届いた。中には猫が1匹。背筋が折れた状態で。
 そして「お前は誰も見ていない。何も聞いていない。その口を閉じていろ」という
 手紙が入っていた。一体誰が…。
 「ハント助けて」キャサリンはハントに電話するが通じない。(以上が上巻)

                           (以上この項終わり)

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手賀沼「道の駅しょうなん」で写生

2022年11月19日 | 水彩画

改装なった「道の駅しょうなん」(沼南)写生会

  
    clester    F8(中目)

  水彩画の同好会秋の写生会は改装なった「道の駅しょうなん」(沼南)で写生会という
ことでしたが、なんと集まったのは男性4名だけ。好天に恵まれ、絶好の写生会日和でした
が、ほかの予定と被った人、風景の写生が苦手の人などいろいろ事情があると思いますが、
残念でした。
 手賀沼ではこれまでも手賀大橋、水の館、ボート乗り場、湖面の船などずいぶん写生し
ましたが、今回はボート乗り場から我孫子市側の家々などの遠景を描きました。描き始め
の時は雲一つない青空でしたが、気が付いたら大きな雲の塊が現れていて慌てて青空にグ
ァッシュで雲を描きました。普段は画用紙の青空を白抜きする技法だったのでやや抵抗感
がありましたが、何とかくもらしくなりました。遠方のビルなどはできるだけ省略するス
タンスで臨みましたが、存在感との妥協が勝負です。
                              (以上この項終わり)



  

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黛まどかの『引き算の美学 物言わぬ国の文化力』

2022年11月15日 | 読書

◇『引き算の美学 物言わぬ国の文化力』

   著者:黛 まどか  2012.2 毎日新聞社 刊

  
       
   俳人黛まどかの書下ろし(一部過去の寄稿を含む)文化論。
   筆者が言う「引き算」とは何か。一言で絵言えば、日本のあいまい文化。
  日本国内では美徳であっても白黒明確を求める合理主義の欧米では悪弊、
  不可解とされる日本特有の文化のことである。
   しかしながら日本が世界に誇る伝統文化の多くはこの「引き算の美学」
  の上に成り立っているというのが筆者の指摘である。
   
   筆者は諸外国での見聞を経て日本人の引き算、省略、余白から生まれる
  文化の生み出した力を高く評価する。もちろん俳人としての感性で自然へ
  の畏怖・畏敬を基盤とする日本文化の特性を古人の和歌・俳句などから証
  明しているのであるが、韓国釜山からソウルまでの五百キロ踏破、北スペ
  イン・サンティアゴ巡礼道八百キロ踏破など、異国の人々との交流を通じ
  て肌で感じた日本人の文化的特性に思いを致した文化論であることに感銘
  を受けた。

   言わないこと、省略することによって育まれる余白の豊饒さを私たちは
  忘れてはならない。また日本人と自然が実にのっぴきならない深い関係に
  あり、日本人が日本人たる所以はこの自然観にあるのではないかというの
  だ。

         俳句を主軸とする日本文化論であるが、同種圏内にある茶道、華道など
  についても共通する型の解説があり勉強になった。
   「茶道、華道など、道のつくものは「構え」から出発する。構えとはあ
  らゆる動作、今後起こったり、あるいはすでにあったものを含め、すべて
  の動きを「縮めた型」である。そこから始まりそこに終わる構造を持った
  一瞬の動きのことである。日本で稽古というのはこの「構え」を身につけ
  ることだ」(「縮み志向の日本人」著者李御寧から)
   また東日本大震災で被災地を訪問した際に、思わぬ震災に遭遇した多
  くの人たちの、災禍を乗り越える強靭な精神力を目の当たりにし、日本
  人の持つ自然に対する畏怖と静かな諦めの中で他者との共存、自然の一
  環としての存在という自覚を持つ日本人の特質や美徳が濃く残っている
  ことを確認したと語っている。
                       (以上この項終わり)

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