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教養と独創性

ルネサンス期を代表する画家にして科学者でもあるレオナルド・ダ・ヴィンチは、意外にも独学の人であったらしい。

なぜか?

それは、公証人の父と農家の娘の間に生まれた婚外子であったため、ラテン学校に通えなかったからである。

レオナルドのノートには次のような言葉が。

「私が教育を受けていないために、一部の口さがない人々が『教養のない男』と批判するのはよくわかっている。(中略)しかし、私の専門分野に必要なのは他者の言葉ではなく経験であることを、彼らはわかっていないのだ」

ダビンチの評伝を書いたウォルター・アイザックソンは「数百年にわたって幅を利かせていた中世期の教義やスコラ哲学を学ばずに済んだ」と述べている。

つまり、レオナルドは、当時の教養教育を受けなかったがゆえに、独創性の高い芸術や研究を残すことができたのだ。

今の世の中にも、こうした天才がいるはずだが、どこかで潰されているのだろう。

出所:日本経済新聞2019年8月18日号



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