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『青い鳥』(読書メモ)

メーテル・リンク(堀口大學訳)『青い鳥』新潮文庫

ノーベル賞作家メーテル・リンクの名作。

貧乏なきこりの家の子供、チルチルとミチルが、妖女の誘いで青い鳥を探す旅に出る。ただ、あまり青い鳥に対する執着はなく、「なんとなく」「ノリ」で旅に出てしまう二人。

「イヌ」「ネコ」「パン」「光」「火」「水」「砂糖」の精たちと一緒に、さまざまな世界を巡るのだが、一番心に響いたのは、幸福の花園を訪れて、幸福の精と語るシーン

チルチル:(困って)ええ、だって、ぼく知らないんです。きみたちに会った覚えがないんだもの
幸福:ね、みんな聞いたかい?きっとそうだと思ったが、ぼくたちに一度も会ったことがないんだってさ。(中略)ぼくたちはいつだってあなたのまわりにいるんですよ。そして、あなたといっしょに食べたり、飲んだり、目をさましたり、息をしたりして暮らしているんですよ。
チルチル:ああ、ああ、そうか。わかったよ。思い出したよ。だけど、ぼく、きみたちの名前が知りたいんだよ。
幸福:ほんとに何も御存知ないんですね。ぼくは「あなたのおうちの幸福」ですよ。ほかのものたちもみんな、あなたのおうちに住んでいる「幸福」ですよ。
チルチル:ぼくのうちにも「幸福」がいるの?

本書を読み、自分のまわりにいる幸福たちに気づいていない自分に気づいた。

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