日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「年の暮れ」。「休み中の学生達、留学生として」

2010-12-30 12:54:20 | 日本語の授業
 暮れも、どんどん押し詰まってきました。余すところ、ん十時間(二桁です)。今年も去年と同じように、あっという間に終わった(まだですが)ような気がします。けれど、「押し詰まる」ってどこかおかしいですね。ギュウギュウ詰めにされているような…。多分若い頃は、そういう気持ちになりもするのしょうが、私には、どこかちぐはぐ感が否めません。気持ちの上でも、ギュウギュウ詰めにされていない…いえ、多分、されなくなったのでしょう。

「去年今年(こぞことし) 貫く棒の如きもの」 (虛子)

 時間には「切れ目」なんてありません。ただこの「貫く棒」をどう読み解くかで、この句も意味が多少異なってくるのでしょうが。この「棒」を、「野太い意志」と、とる人も(「貫く」に力点を置けば)いますし、もう少し軽く、時間の流れゆく様とだけ、とることも許されるでしょう。

 カレンダーなんて人が勝手に作ったもの、それに支配されて、オタオタしている自分が情けないし、馬鹿らしく見えないことも…ない。とはいえ、人は生まれた瞬間から、死へと旅立ちを始めているわけで、時間は、老いと若きを見分けることも、どちらかに手加減を加えるなんてこともしませんし。

「門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」(一休?)
こうなりますと、新しい年になることを喜んでばかりもいられません。

 さて、学生達です。留学生の大半は、学校の近くに住んでいるので、普段でも、スーパーへ行った時に鉢合わせしたり、歩いている時に声をかけられたりしているのですが、特にこういう長期休暇ともなりますと、先輩連(大学や専門学校、大学院などを目指している来年3月に卒業予定の学生)以外は、ディズニーランドへ行った日が最後でしたから、それこそ、道で会うと、懐かしいと近寄ってきてくれます(先輩連は、別です。27日まで、学校へ来て、面接や論文の練習をしたり、計画書などを書いたりしていました)。

 日本語がかなりできるようになると、だいたい半年くらいでしょうか、早い学生では。あまり日本語を必要としない工場などから、近くのコンビニや飲食店でのアルバイトに職替え(?)をし始めます(もちろん、工場の人たちが親切だとか言った理由で、二年間ずっと工場で働く人もいます)。

 ということは、年末の(店の)大掃除の時に、会うということもあるわけで、その時には、向こうから、「先生」と大きな声で呼んでくれます(私は自転車で走っていますから、気がつきません)。ついでに(失礼!)、店主の方に「宜しくお願いします」と頼んだり、働いている様子を見たりできるので、声をかけてもらったときが、ある意味では、別の彼らを知るチャンスでもあるのですが。

 それに、今年から、学生達の資格が、「就学生」から「留学生」に変わりました。それで、休みの間は、目一杯アルバイトができるようになったのです(当然ながら、24時間働くなんてことは許されていません)。

 授業中はそれほどでもないけれど、働くとなったら、俄然、張り切る人がいます。先日、スーパーで会った学生もそうです。彼女とはその前にも、おでん屋さんの大掃除の時に会っており、この休み期間で、二度も会ったことになります。

「先生、今、頑張っています。1月の寮費は、遅れて、15日に払いますってお願いしたけれども、学費は3月中に払うつもりです」

 ちらっと籠を看ると、しっかりビールが入っていました。彼らなりに「お年越し」のお祝いをするつもりなのでしょう。もしかしたら、苦学生と言うことで、おでん屋さんから臨時の、「おでん」というお年玉が入ってくるかもしれません。

 そう言えば、去年「先生、私、食費がほとんどかからないんです」と、レストランに勤めていた学生が言っていましたっけ。

 アルバイトが終わったときに、お腹がすいただろうと(食事を)持たせてくれたり(アルバイト中の賄いも付いていました)、しかも、寮で何人か一緒に生活しているのを知っていたようで、余分に持たせてくれたりしたのだそうです。

 この学生の場合は、本当にラッキーとしか言いようがなかったのですが、これもまじめな仕事ぶりが認められたからなのでしょう。

 日本のルールを日本人と同じように守って、生活していくことは、この国では、とても大切なことです。中には、「自分の国では違う」と言って、ルール無視の傾向が、なきにしもあらずという学生もいないことはないのですけれども。単純なことですが、翌月分を今月中に払ったり(払えなくとも、それはまずいということを知っている)、陰ひなた無く仕事をしたりするのは、彼らがこれから日本人と付き合っていく上で、マイナスになることはありません。

 ルールを守りながら、学校のみならず、職場でも日本人と多く触れあっていき、様々な日本(いいところだけではなく)を身体で感じていく。アルバイトもせずに、親から送られてきた潤沢な生活費で酒を飲んだり、同国人と騒いだりしている留学生達に比べれば、ずっと立派で、有意義な留学生活を送っているのです、今は辛いでしょうが。それに将来、仕事をしていくときにも、これはきっと役立つと思います。

日々是好日、
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「学校の『煤払い』。多分、... | トップ | 「一年の終わり」。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本語の授業」カテゴリの最新記事