TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とPPK(ピンピンコロリ)、無関係のようですが関連あり
今、マスコミをにぎわせているTPP。関税撤廃で輸出企業には大きなメリットがあるが、日本の農業は壊滅する、医療業界もピンチになる、などなど。
各業界が、自分達の損得勘定だけで、賛成だ反対だと大騒ぎしています。
大局的な見地からすれば、世界経済の流れは、国境を無くしてしまうという、グローバル社会へと向かっているのですから、これに逆らって鎖国経済と受け止められ兼ねない政策は、もはや取れないことでしょうね。
医療については、医師会・歯科医師会・薬剤師会が三者連名で、国民皆保険が崩れてしまう危機的状態になるとか、混合診療が増えて患者の医療費負担がきつくなるとか、病院が株式会社化されて営利主義になるとか、薬価がおかしくなるとかで、国民のためにならないから反対だとおっしゃっています。
これらの反対理由の一つ一つがどれも合点がいかないのですが、ビックリしたのは、「営利主義」です。今の日本の医療業界は、“博愛主義”なり“奉仕主義”でもって、“銭儲けなんぞ一切考えていない”とでも言うのでしょうかねえ。
小生思うに、医療業界は、鎖国政策で農業以上に固く守られて“楽して儲けている”としか考えられません。少なくとも、薬漬けと検査漬けで、稼ぎまくっているのですからね。
皆さん、よくご存知なことですが、日本人がどれだけ薬を“食わされて”いるか。
例えば、“インフルエンザか、それタミフルだ”とばかり、世界のタミフルの7割を日本で消費していますし、“コレステロールが高いか、それ脂質降下剤だ”と、これも世界の6割を日本で消費しています。血圧降下剤だって、そうです。
そして、日本人がどれだけ検査、検査で、余計な放射能被曝までさせられながら、高額な検査料を払わされているか。「放射能は危険だ」と医療業界が先頭を切って主張せねばならないでしょうに、検査被曝については、福島原発事故当時にマスコミを騒がせたものの、それから一月もしないうちにパタッとマスコミから消えました。なんで?です。
検査被曝させる高額機器のCTとMRI。日本にある台数はダントツに世界一で、世界の3分の1を日本が買占め、人口当たりでドイツと比べると、CTは6倍、MRIは5倍もあり、その稼働率を上げるために“さあ、検査しましょうか”と勧められ、“いや、けっこうです”などど言おうものなら、お医者様に“いやーな顔”をされますから、“はい、よろしく”と、言わざるを得ません。そして、度々検査していれば、何かが見つかり、“はい、お薬を出しておきましょう”となって、飲まされる薬がまた増えます。
投薬と検査で保険点数の大半を占めるという日本の医療制度をぶち壊し、「病気を治癒させ健康体にした」という、欧米方式の成功報酬型の医療制度に改革せねばならないのですが、内からの改革はとても不可能でしょうから、外圧によって変えてもらうしかないでしょうね。TPPが、それにどれだけ役立つか分かりませんが、鎖国政策よりはマシでしょう。何せ、今が最悪ですので、これ以上悪くなることはないでしょうから。
しかし、黒船到来によって医療の面において開国政策が取られるとなれば、あわせて国民も、医療のあり方に対して目を開かねばなりません。自分の健康を“お医者さん任せにする”という、悪しき風潮を根本的に改めねば、医療改革も進まないからです。
と言いますのは、今のお医者さんは、一面、かわいそうでもあるからです。
“何で毎日、こうも大勢、年寄りが生活習慣病を何とかしてくれんかとやってくるのか。これでは、働き盛りの人で健康を害している、本当に困っている患者をゆっくり診察することもできない。治るものも治せないじゃないか。”というのが現状のようでして、年寄りには“歳を食ったのだから、しゃあないわ。病気と上手に付き合えや。何とかしたかったら、生活習慣を改めろよ!さっさと帰れ!”というのが、真面目に医療に取り組んでいるお医者さんの本音のようです。
欧米では、こうしたお医者さんが本来の医療を行うことができる態勢が整っていて、保険点数の付け方にも根本的な違いがあり、1日当たりの診察患者数は日本の数分の1以下で、診察にもカウンセリングにもたっぷりと時間がかけられているようです。
今般の医療に関するTPPに対しては、国民が、「自分の健康は自分で責任を持つ」のが当然であり、「生活習慣病は、生活習慣を改めるしか治しようがない」という考え方をしっかり持つための良い機会ではないでしょうか。
この取り組みは、所によっては、既に随分前から進められています。
TPPという言葉を最初に聞いたとき、小生は一瞬PPKとごっちゃになってしまいました。
ティーピーピーとピーピーケー。よく似てますからね。
このPPKは「ピン・ピン・コロリ」のローマ字表記の頭文字3つを連ねたものです。
「いつまでもピンピンと健康で、コロリと死ねたら幸せ」というのものです。
PPKが言われるようになって、もう30年になります。8年前に当店発行の生涯現役新聞でそれを取り上げましたので、まずそれをここで紹介しましょう。データなどは10年前のもので、最新のものは一部不明ですが、ほとんど変化していないと思います。
「ピンピンコロリの里」それは長野県です。
数字がはっきりと物を言っています。全国47都道府県の順位を見てみましょう。
・入 院 率 最下位
・在院日数 最下位
・老人医療費 最下位
・自宅での死亡 1位
なぜにこんなことになっているの?
はっきりした理由は分かりませんが、長野県民が張り切ってPPK運動にいろいろと取り組んでおられるからとのこと。とばっちりを受けたのがお医者様。病院病床利用率は全国で40位と低く、延命治療費もグーンと少ないそうです。よって、お医者さんは儲からない。
そんなことから、人口当たりの医師数は全国で38位の低さで、医者いらず。
長野県の各界でPPK運動が展開されているようですが、仕掛人は、一高校の先生で、昭和54年のこと。今では長野県民の健康への関心は非常に高くなっているようです。
でも、「住民検診を必ず受けよう」は、正解にあらず。進んでいる長野県のある村では、「住民検診をいくら強化しても生活習慣病は減らないし、早期発見もできない。やっても無駄だ。」と、政府の方針に反する考えを持って、やっているのは、「生活習慣改善を啓蒙するのが一番。」と、これに精力を投入しているとのことです。
(2013.5.6補記:その村は、長野県泰阜(やすおか)村で、1989年からのこと。村診療所の網野医師の強い方針のもと、村がこれに従ったのが切っ掛けです。)
霞ヶ関の中央官庁の言うことは机上の空論。地方がそれぞれの実態をしっかり把握して、その地方にピッタリの施策を打たなきゃ間違ってしまいます。そういう地方の勝手な行政が住民に幸せをもたらすのです。
さあ、私たちもシッカリと足下をみて、どうしたら「ピンピンコロリ」といけるか、良ーく考えてみましょう。その一つは「食」です。
明治初期、日本に来た欧米人は、日本人の健康さに圧倒されました。「毎日50Km以上走る人力車の車夫が皆、ケロッとしている。誰一人全く疲れた様子がない。」
調査した欧米の栄養学者は、食生活によるところが大きいと言っています。
戦前まで、ほぼ同様な食生活を続けた日本人です。伝統的な食、おふくろの味を見直そうという「スローフード」運動が今、起きています。食文化の復活こそ、健康づくりの源ではないでしょうか。
そして、適度なストレスを持つことがボケ防止に効果絶大です。特に女性の場合「いつまでも若くありたい。毎日、お化粧しなきゃ。」と思うこころがボケない最高の秘訣です。
さあ、あなたもピンピンで長寿美肌。頑張りましょう、コロリまで。
さて、これより最新の話題を紹介しましょう。
高齢者福祉の進んでいるスウェーデンでは、近年、寝たきりにさせないために、大型の特別養護老人施設を全廃して、グループホームに変換させたとのことです。そして、女性の寝たきり防止のためには「口紅、化粧、身だしなみ」が最重要であるから、これを積極的に指導しているとのこと。
一方、長野県が進めているPPK運動で、現在目立っているのは、生涯学習に力を入れていることだそうです。これによって、いくつになっても仕事をし、趣味を持ち、奉仕活動もするという気構えが持てるから、あらゆる生活習慣病が逃げていくようです。現に、働いている高齢者の率は長野県が日本一です。
よって、病院通いする人や入院患者の割合が日本一少なく、県民一人当たりの治療費も日本一少ない。よって、医者の収入が一番低い県とのことです。
その長野県で目立つ死因が、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害。これは、小生の推測ですが、病院が少なく、遠くにしかないから、即治療とは参らず、手遅れでご臨終。よって、寝たきりや半身不随にならず、延命させられて別の病名で死ぬことは少なくなる。
でも、長野県民は長寿ですから、お年寄りたちの最新の合言葉は「脳血管障害で95歳で死のう!」とか。これぞ正しく「ピンピンコロリ」ですよね。
そして、新しく作られた言葉がNNK(ネンネンコロリ)。長-くネンネンしてやっとコロリではあかん、というものです。こうしたお年寄りが日本にはいかに多いことか。
参考までに、死因として脳血管障害が目立つのが欧米諸国です。そして、入院期間、病床数ともに、欧米は日本の4分の1です。ということは、欧米人は、長野県民以上にPPKが多いということでしょうね。でも、欧米でPPK運動をしているなぞ聞いたことがありません。このことからも、日本の高齢者医療は、どこかおかしいとなります。
よって、医療においては、この際、TPP、いやそのずっと上を行く、正真正銘の黒船到来が待ち望まれるのですが…。
(2013.12.14追記:米国在住の日本人の方からの情報などを元に)
TPPのその後の交渉において、医療分野ではどれだけも門戸が開かれることはなさそうです。実に残念です。
薬漬け・検査漬けを解消するには、米国のように民間会社による健康保険制度の導入が一番です。民間会社は健康保険料を低くして加入者を増やし、なおかつ利益を上げねばなりません。ここに良い競争原理が働きますし、生命保険と同様に、加入者としても、手厚い保障を得たければ高額の保険料を払い、最低限の保障でよければ安い保険料で済み、幅広く選択することができます。
よって、米国の保険会社は、保険診療する医療機関を厳しく査定することができ、検査数値がどれだけのこともないのに薬をやたらと処方すれば、保険会社はその医療機関との契約を解消してしまいます。例えば、血圧は180を超えないことには簡単には降圧剤を処方できないようですし、更年期過ぎの女性には基本的にコレステロールの降下剤を処方できないようです。無駄な検査も認められず、MRIやCTなど1回5万円以上要する検査は保険会社の了承が得られないと実施できないとのことです。
そうした仕組みになっています。
一方、日本の場合はというと、健保組合が医療機関の水増し請求を調べるだけで、こうした米国のような査定は全くなされていません。これでは薬漬け・検査漬けはブレーキの掛けようがなく、生命保険への外資の参入と同様に、健康保険にも米国式制度に乗っかった外資の参入が待たれるのです。
TPP交渉によって、こうした黒船到来があれば、老人医療費は半減、いやそれ以下になり、老人は皆元気を取り戻し、PPKで安心してあの世に旅立てるのですが…。
夢がはるか彼方に遠退きました。NNK(ネンネンコロリ)。
全くおっしゃるとおりです。感動しました
影響の大きな三宅先生のブログ。。これからも世界に広く知らしめてください。
ppkですが私はまさしくそこの佐久地方が実家です
おっしゃるとおりご高齢者は元気です。
わたしが リタイアで東京からU ターンしたときには
60代が村の青年団なんだよ。。と言われ
各行事の度にそれを実感しました、
少年のころお世話になった床屋のおじさんは最近まで85才までカミソリをにぎっていました、パーマ屋のおばさんは83才まで現役でした。
農村医学で有名な佐久病院の看護師の言葉。。。。
検診に行くと病気になるよ!!
わたしは歯医者いがい医者にはいきません。